Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ginzi_O5

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 43

    ginzi_O5

    ☆quiet follow

    博の死後、皆を守りたいという念が歪んで地縛霊になった博の元に転生した炎が迎えに来る話

    ※某S⊂P報告書風

    #炎博
    yanbo

    Object No:4318
    class:None

    収容手順:No-4318と当該オブジェクトの出現範囲である金属製構造物群(No-4318-A)を含む周囲1kmは高さ4mのフェンスで封鎖し、「文化遺跡保護」の名目で一般人の立ち入りを制限してください。警備員を配置しNo-4318及び収容区域周辺を常に監視してください。

    補遺:インシデント-4318-1によって当該オブジェクトは非異常化及び消滅し、収容の必要性は無くなりました。

    内容:No-4318はレベル4霊的異常存在です。体長はおよそ170cm前後と見られ、非常に解像度の低い破損した黒色の電子画像の靄のような外見です。画像データが破損した際に見られるような多色光が常にモザイク状に発生しているため対象の正確な観察は困難です。オブジェクトに対し物理的な接触を行う事は不可能ですが、No-4318は何らかの手段で干渉を行うことが出来ます。
    No-4318は後述の金属製構造物群の周辺の地上から10m~180mの範囲を常に徘徊しています。ドローンを用いた接近調査ではNo-4318の周囲20mに侵入した時点で原因不明の故障を引き起こすため有意的な調査は成功していません。

    No-4318は民間の事業団体が⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年に⬛︎⬛︎⬛︎に位置する未知の海洋生物の骨格を含む金属製構造物(No-4318-A)の調査を行った際に発見されました。
    No-4318-Aは起源不明の金属製構造物であり、現在全体の▇▇%が損傷していると推測されています。そのため元の全体像の把握は非常に困難で、また残骸への接触はNo-4318の攻撃性の増大に繋がる恐れがあるため復元の試みは現在停止されています。回収されたサンプル解析の結果、No-4318-Aは施工より⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年が経過していると推測されています。No-4318-Aの損傷の主な原因として長期の経年劣化(錆、腐食等)による崩落の他、外部からの強い衝撃による致命的な損傷が見られます。No-4318-AとNo-4318の関連については現在調査中です。※調査は終了されました。

    人間(以下対象と表記)がNo-4318-A内部に侵入した際、No-4318は対象に対して不明瞭なノイズを発しながら接近し、敵対的な行動を行います。発見時の民間調査員によればNo-4318-A内部を探査中No-4318が接近し対象に攻撃を行い、これにより2名が転倒し擦り傷などの軽傷を負いました。その際「見えない何かに押された」との証言があり、No-4318は何らかの不可視の攻撃方法を持つと考えられます。攻撃は対象がNo-4318-A外へと退出するまで継続されます。
    No-4318による攻撃は先述の物理的干渉が不可能という異常性により回避することが困難ですが、No-4318の力は一般の成人男性以下であり、攻撃による損害は軽微なため適切な装備などにより容易に対策が可能です。No-4318-Aに対して損害を与えたり、サンプルを回収したりする行為はNo-4318の攻撃性を増加させ、突き飛ばしに加えて殴打と思わしき攻撃方法が加えられます。しかし、どちらのケースでも装備による対策は可能です。

    No-4318-Bは特異性を持たない非異常性の身長⬛︎⬛︎cm体重⬛︎⬛︎kg⬛︎⬛︎歳の男性です。⬛︎⬛︎⬛︎年⬛︎⬛︎月⬛︎⬛︎日にNo-4318-Aを囲うフェンスを乗り越えて敷地内に侵入し、警備員が退去を勧告するため接触した際自身のNo-4318への関連を示唆したためインタビューが行われました。また注意点としてNo-4318の収容作戦はNo-4318-Bの誕生以前に終了しており、これまでNo-4318とNo-4318-Bに接点は無いため、どのようにしてNo-4318の情報を得たのかは不明です。

    《インタビュー記録》⬛︎⬛︎年⬛︎⬛︎月⬛︎⬛︎日
    質問者:研究員⬛︎⬛︎
    回答者:No-4318-B

    〈インタビュー開始〉
    研究員:「では、まず貴方について自己紹介をお願いします」

    No-4318-B:「名前は⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎年生まれ。⬛︎⬛︎⬛︎年からは⬛︎⬛︎のフラワーショップ⬛︎⬛︎⬛︎で勤務している」

    ※No-4318-Bの発言した経歴に齟齬及び不審な点は見られませんでした。

    研究員:「はい、ありがとうございます。それでは何故貴方がNo-4318に接触をしようとしたのかお聞かせ願いますか」

    No-4318-B:「No-4318」

    研究員:「あの遺跡に出現する黒い霊的存在の事です」

    No-4318-Bは俯くと肩を揺らして笑う

    研究員:「あの……」

    No-4318-B:「あんな物に成り果てても奴はまだコードで呼ばれているのか。あれの不眠症もここまで来ると業病だな」

    研究員:「No-4318に名前があるのですか?」

    No-4318-B:「さあな、結局俺も最後まで知る事はできなかった。奴とて己の名前を覚えてはいなかったぐらいだ。知っていたとしたらあの女医か、子兎ぐらいだっただろうが今になってはわからんな」

    ※言及された「女医」「子兎」について回答を求めましたが有意な回答は得られませんでした。

    研究員:「では、貴方とNo-4318の関係性についてお願いします」

    No4318-B:「なぜ答えなければならない」

    研究員:「調査の為ですので」

    No-4318-Bは12秒間沈黙

    No4318-B:「わからん」

    研究員:「はい?」

    No4318-B:「上司、仇、持ち主……だがそれであいつが俺にとって何であったか、あいつにとって俺がなんであったか、形を得る前に終わってしまった」

    研究員:「もう少し具体的にお願いします」

    No-4318-B:「……俺から言える事はあいつは文字通り「死んでも」守りたかったんだろうという事だけだ。これ以上話す事は無い。」

    No-4318-Bは回答を拒否し以降No-4318に関する有意的な情報は得られませんでした。

    研究員:「分かりました。では最後に一つ、ここへ来た理由をお聞かせください」

    No-4318-B:「――花を手向けに」

    〈インタビュー終了〉

    No-4318-Bは侵入時エーデルワイス、シオン、クリスマスローズなどからなる花束を所持していました。上層部による審査の結果No-4318とNo-4318-Bの接触試験が行われました。花束の持ち込みは許可されました。
    試験の結果、インシデント-4318-1が発生し、No-4318は無力化、当該オブジェクトが消失する事件が発生しました。

    《試験内容》
    No-4318-Bに標準的な対物装備とハンディカメラ及び録音機器を所持させ、No-4318に接触させます。
    遠隔通信機器によってNo-4318-Bに対してNo-4318顧問研究員⬛︎⬛︎が指示をします。

    〈記録開始〉
    研究員:「では、No-4318-A内部へと侵入してください」

    [No-4318-BはカメラをNo-4318-A構造物群に向ける]

    No-4318-B:「なら入り口から入るべきだ」

    [映像にはNo-4318-A群が映っている。そのほぼ全てが劣化、破損により壁面の一部や枠のみが残存しているため言及された「入り口」は確認出来ず、また崩落により何処からでも侵入できる状態である]

    No-4318-B:「ここだ」

    [映像には一辺520cm×700cmの金属製の枠組みのみが残存しており、周囲の壁面は崩壊している。No-4318-Bは枠内を潜る。No-4318-A内部は複層構造になっているが大部分が損傷しており、天井部の崩落や階段部分の欠損などが見られる]

    No-4318-B:「あいつは今何処にいる」

    研究員:「地点⬛︎⬛︎の地上180m付近を周回しています」

    No-4318-B:「甲板か」

    [No-4318-Bは階段を使い二階へ上がる。前方の廊下は一部床が崩落し、穴が空いている状態である]

    研究員:「前方の廊下は崩落しています。別のルートを探してください」

    No-4318-B:「問題は無い」

    [No-4318-B:は崩落部分に差し掛かるが前進を続ける。

    研究員:「あっ、危ないですよ」

    [No-4318-Bは右足を崩落部から空中へ踏み出す。しかしNo-4318-Bは落下せずに問題なく歩行を続け、破損した空中部分を歩いている様に見える。(以前の探索ではこの様な現象は起こりませんでした)]

    研究員:「今のは……」

    No-4318-B「あいつにとってこの艦はあの頃のままなのだろう」

    [No-4318-Bは問題無く探索を続行し、明らかに欠損している箇所も通行しながらさらに上層部分へと侵入する。(壁面が崩落しているにも関わらず内部が無風状態である事からもNo-4318による何らかの働きによりNo-4318-Aの崩壊以前の三次元的物理イメージが崩壊部を補う形で現在のNo-4318-Aに重複して出現している事が推測されます。)]

    以下No-4318との接触まで省略
    ――――――――――――――――――
    [現在複数の階段を上りNo-4318-Bは地上180mに到着している。No-4318は現在No-4318-Bから約50m先に位置しており、接近に気付く様子は無い。
    No-4318-Bが戸枠を潜ると風速10.2mの風が吹き、屋外へ出たと推測される。]

    研究員:「ではNo-4318に近づいてください。No-4318は敵対行動をとる可能性がありますので直接の接触は控えてください」

    [No-4318-BはNo-4318へ接近する。20m地点でNo-4318はNo-4318-Bを知覚し、不明瞭なノイズを発しながらNo-4318-Bへ接触を試みる]

    No-4318-B:「よお、ドクター」

    [No-4318は驚き、困惑したように停止する。No-4318-Bは更に接近する]

    No-4318-B「そんな姿になるまでこの艦を守っていたのか」

    研究員:「⬛︎⬛︎さん、直接の接触は控えてください」

    [No-4318のノイズ音が減少し始める。No-4318-BはNo-4318を構成する黒色の構造体に右手で触れる]

    研究員:「⬛︎⬛︎さん、指示に従ってください」

    [No-4318-Bは指示を無視し使用している通信機器を取り外す]

    No-4318-B「悪いがこちらは久々の逢瀬なんでな」

    [No-4318の発しているノイズに僅かに判別可能な音声が混ざり始める]

    No-4318:「⬛︎⬛︎⬛︎が⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎守⬛︎」

    No-4318-B:「ああ、随分と永い事頑張ったな」

    No-4318:「⬛︎、みん⬛︎を守ら⬛︎⬛︎と」

    No-4318-B:「もう、いい」

    No-4318:「でも、ふね⬛︎」

    No-4318-B:「もういい、もういいんだ、ドクター。もうこの艦を傷つける者はいない」

    [No-4318の黒色の靄が収束し、灰色のコートを着た未知の人型実体へと変化する]

    No-4318:「……ほんとに?」

    No-4318-B:「ああ。お前は永く働いただろう。向こうでアーミヤが長めの特別休暇を申請しておいたらしい」

    [No-4318-Bは手にした花束をNo-4318へ手渡す]

    No-4318:「わ……綺麗だね」

    No-4318-B:「これは俺からの退職祝いという事にしておけ」

    No-4318:「うん、ありがとう。……少し眠くなってきたかも」

    [No-4318はあくびをする]

    No-4318-B:「疲れただろう、向こうでゆっくり休め」

    [No-4318-BがNo-4318を抱き締め、No-4318も抱擁を返す様子が記録される。No-4318の姿が透明になり始める]

    No-4318:「ありがとう、迎えに来てくれて」

    No-4318-B:「ああ、しばらくはお別れだ、また会う時まで安らかに眠れ」

    No-4318:「またね、エンカク」

    No-4318-B:「またな、ドクター」

    [21秒をかけてNo-4318の体は完全に透明になり、当該オブジェクトの消滅が確認される]

    《試験終了》

    上記のインシデントによりNo-4318は完全に無力化消失しました。それにより当該オブジェクトのクラスはNoneに格下げされます。尚21秒間の消滅プロセスを観測したスタッフの全てが一連の流れを「花か散る様に」と形容した点については現在調査中です。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏😭🙏🌺🌺😭🌼🌷🌸💐🌹🌿🌸💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐💐🐋😭💐💐😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    nbsk_pk

    DOODLEおじ炎博、あんまり美味しくなかったのど飴の話。おじ炎さんが考えすぎている。庭園メンバーいつまでも仲良しだととても嬉しい。
    おじ炎さん一人称にした結果、おじ炎さんの認識がだいぶずれてるのでスズちゃんたちがめちゃ小さかったことになってたり鉱石病があんまり脅威じゃなかったりしてるのに博さんの体調にはすこぶる敏感で、自分で書いてて愛じゃん…て勝手にニコニコしていた。
    「だから置いていっていいよって言ったのに」
     何のことを言われているのかと尋ねられたところで、俺に返せるのは無言だけである。だが目の前の人間はといえばその無言からですら情報を引き出しあっさりと真相へとたどり着いてしまうほどの脳みその持ち主であるため、つまるところこれはただの意味のない抵抗でしかないのだった。

     鉱石病というのはそれなりに厄介な病気で、時間をかけて徐々に内臓の機能を奪っていく。そのスピードや広がりやすい箇所には個人差が大きいとされているが、やはり感染した元凶である部分、俺に取っては左肩から喉元にかけての不調が最近とみに目立つようになってきた。そもそもこんな年齢まで生きるつもりもなかったのだと言えば、目の前の妙なところで繊細な男はわかりやすく気落ちして、挙句の果てに食事量まで減らして回りまわって俺が怒られる羽目になるため口にするつもりはない。たかがサルカズ傭兵というそこらじゅうで使い捨てにされる命ひとつにまで心を割く余裕など持ち合わせてもいないくせに、固く握り込まれるその小さな拳をそこまで悪いものとは思わなくなったのは、まさしく病状の悪化のせいに違いない。決してこの男に感化されたわけではない。決して。
    1956

    nbsk_pk

    DOODLE転生現パロ記憶あり。博が黒猫で花屋の炎さんに飼われている。博猫さんは毛づくろいが下手すぎてもしゃもしゃにされたのを自力で戻せないので、原因にブラッシングを要求しました
    ねことのせいかつ いくら朝から店を閉めているとはいえ、生花という生き物相手の職業であるためやらなければならない作業は多い。ましてや今回の臨時休業の理由は台風、取引先各所への連絡から店舗周辺の点検と補強までひと通り終わらせたときには、すでに窓の外にはどんよりとした黒い雲が広がり始めていた。


    「ドクター?」
     店の奥にある居住スペースの扉を開けても、いつものようにのたのたと走り来る小さな姿はない。しん、とした家の気配に嫌な予感を募らせたエンカクがやや乱暴な足取りでリビングへと駆け込んだとして、一体誰が笑うというのだろう。なにせあのちっぽけな黒猫はその運動神経の悪さに反して脱走だけは得手ときている。植物や薬剤をかじらないだけの聡明さはあるというのに、頑として水仕事で荒れた手のひらで撫でられねば一歩も動かないと主張する小さな生き物に、どれだけエンカクが手を焼いたことか。だがエンカクの心配をよそに、雨戸を閉めた仄暗い部屋の中で黒猫はあっさりと見つかった。キッチンの出窓、はめ殺しの小さな窓には雨戸もカーテンもないため、今にも落ちてきそうなほどの暗雲がよく見て取れた。自身が抱いているものを安堵とは決して認めないものの、やや歩調を緩めたエンカクは窓の外をじっと見つめたまま動かない黒猫の背にそっと立つ。
    1015