朝から浮奇が唸ってる。今日はファルガーが用事があって学校に来ていないから、会いたくて寂しくて仕方ないらしい。たった一日でも寂しくなる気持ちは分からなくもない。だって浮奇はファルガーのことが大好きなんだもん。
「うーきー」
「んんー……なに、サニー」
「今日の放課後アルバーンとユーゴとハンバーガー食べに行こってさっき話してたんだ。浮奇も行こ?」
「……どうしようかな」
ぷくっと膨らんだ頬をつんつん突く。浮奇はジト目で俺を見て、ほっぺから空気を吐き出し少しだけ笑った。もっと元気になってほしいな。いつもみたいに幸せそうに笑ってほしい。
「サニー! あ、浮奇もいた。ねえねえ浮奇、サニー、ユーゴと話してたんだけどさ、ファルガーの用事って夕方には終わるって言ってなかった? だから放課後、バーガー買ってファルガーの家行こうよ〜って! びっくりさせよう!」
「ええ? いきなり行ったら迷惑じゃない?」
「……ふーふーちゃんに会いに行けるの?」
声が、さっきまでと全然違う。キラッと輝く瞳からも浮奇の頭の中が分かるみたいだった。
「……まあ、ファルガーはそんなに怒らないし、いっか」
「大丈夫大丈夫! ね、浮奇、行くでしょ?」
「ん、……行く」
「決まり〜! ユーゴにも言ってくる! 放課後集合ね!」
アルバーンはバーっと勢いよく話してニコニコのまま教室を出て行った。残念、もっと話したかったのに。アルバーンが出て行ったドアを見つめていたら、ちょんっと腕を突かれた。振り向くと浮奇がさっきまでよりうんと機嫌の良い顔をして笑ってる。
「放課後、サニーはアルバーンと二人がいいんじゃないの?」
「……浮奇がふーちゃんと二人が良いみたいにね?」
「ひひ、たしかに。でもいいよ、俺は五人で遊ぶのも大好き」
「うん、俺も一緒。ごはんもみんなで食べたほうが楽しいでしょう」
「……ん、ありがとうサニー」
五人全員がいないとちょっと物足りない。毎日学校で会って、帰ってからも通話しながらゲームして、寝てる時以外ほとんどずっと一緒だ。友達よりも家族に近い、大切な人たち。
「浮奇、元気になった?」
「サニーのおかげでね」
「アルバーンとユーゴも。あと、本当は一番、ファルガーのおかげ」
「何にもしてないふーふーちゃんが一番?」
「仕方ない、浮奇の一番がファルガーだから」
「えへへへ」
浮奇の幸せそうな顔が見られて嬉しい。だからアルバーンと二人きりで遊ぶのはまた今度にしよう。