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    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

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    おもち

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    PsyBorg。深夜一時のフレンチトースト。

    #PsyBorg

    リビングのソファーに横になってスマホをいじっていたらいつのまにか日付を超えていた。かと言って今すぐ起き上がってシャワーを浴びベッドに向かうほどのやる気と眠気は持ち合わせていない。朝早くに起きなくちゃいけない用事もないし、まあ、いいか。何の役にも立たない夜中のネットサーフィンは、他人から見たら時間の無駄かもしれないけれど、その無駄な時間を過ごすのが好きだから。
    ほんの少し体勢を変えて、でもソファーから起き上がることはせずそのままスマホを見つめていた。ゲームアプリを開いて溜まっている体力を消費するため画面を数回タップする。惰性で操作して体力を使い切り、アプリを閉じてSNSをチェックする。一通り見終わると、更新しても新しい投稿はなかなか出てこなくなった。みんな寝ちゃったかな。
    漫画でも読もうかなぁとまた違うアプリを開いたところで、壁の向こうから小さな音が耳に届いた。俺は思わず動きを止めて、スマホを胸に抱いて息を潜めた。
    ドアノブを回す音、それからドアが開き、スリッパが床を擦る音が近づいてくる。目だけをぐるりと動かし部屋の中に視線を巡らせ、時計の短い針が一を指そうとしているところだと確認した。こんな時間に、珍しい。
    足音はまっすぐこちらへ向かってきていて、俺はサッと体を起こしてまるでずっとそうしていましたよというような顔で正しくソファーに座ってスマホに目を落とした。ちょうどよくリビングの扉が開き、パッと顔を上げる。
    「やっぱり起きてたか」
    「おはよう?」
    「ん、ちょっと目が覚めた。この時間ならまだ浮奇が起きてるかと思って」
    「俺に会いたくなっちゃったの? いつでもぎゅうってしてあげるよ、おいでハニー」
    「別にそういうわけじゃないけど、ハグはもらっておくよ、ダーリン」
    くすくす笑いながら近づいてきたふーふーちゃんは、両腕を広げた俺を覆い被さるように抱きしめて、頬を甘く擦り寄らせた。わお、そういえば寝起きのふーふーちゃんは久しぶりだ。
    「まだ起きてるか?」
    「うん? そうだね、たぶんまだ寝ようと思っても寝られないし。あ、一緒に寝たい? それならすぐシャワーを浴びてくる」
    「いいや、俺もちょっと眠気が遠のいてしまったんだ。小腹が空いたから何か食べようかと」
    「フレンチトースト!」
    「フレンチトースト?」
    隣に座ったふーふーちゃんは俺の勢いに目を丸くした。可愛いその表情についキスをしてから、すぐに「あのね」と視線をスマホに落としてさっきまで見ていたSNSアプリを開く。ふーふーちゃんの腕が俺の肩に回って指先が頬に触れるのを感じながら一つの投稿を画面に表示させた。
    「これ、めっちゃおいしそうじゃない?」
    「ん、……ああ、うまそうだな。材料も家にあるものでできそうだ」
    「でしょ。明日起きてから作ろうかなって思ってたんだけど、もしふーふーちゃんが甘いものでも良いなら今作っちゃうのもアリ。どう?」
    「浮奇が作ってくれるのか?」
    「んー、……せっかくだし、一緒にやる?」
    「ん、いいよ」
    ちゅっと、口角を上げたふーふーちゃんは俺の頬にキスをした。ねえ、本当はちょっと眠いんじゃない? 寝起きのダーリンってこんなに甘々だったっけ?
    久しぶりの素直な甘えにドキドキして、ソファーから立ちあがろうとするふーふーちゃんの体をぎゅっと抱きしめてしまった。浮かせた腰を再びソファーに沈め、ふーふーちゃんは俺の背中を撫でて頭に頬を寄せる。髪にちゅっとリップ音までくれるサービスっぷりだ。やっぱり甘すぎる。
    「ふーふーちゃん」
    「うん」
    「……本当に眠たくない?」
    「ふ。眠くない」
    「だって、だってなんか、……可愛くってドキドキしちゃうんだけど」
    「よかったなぁ?」
    「いいけどさぁ! んん〜……一回だけちゅーしよっか?」
    「一回だけ?」
    「……お腹空いてるんでしょ」
    「すこし」
    「二回だけ、ちゅーしたい」
    「ん、二回だけ」
    ふわふわとやわらかい笑い声に俺は目を伏せた。直視したら、ちゅー以上が欲しくなっちゃいそうだったから。
    俺たちはそっと唇を重ねて、幸せを分け合うようにゆっくり舌を絡めた。俺がこっそり瞼を開けるとふーふーちゃんは最初から目を開けていて、俺の視線を捉えてとろけるように目を細めた。ドキドキして存在を主張する心臓と反対に、触れている唇と舌は形をなくして溶けているような心地がした。
    数が数えられない二人で呼吸が続く限りキスをしたあと、お互いの頬にも何度も唇をくっつけてからようやくソファーから立ち上がりキッチンに向かった。材料を揃える俺の後ろにくっついて隙あらばキスをしてくる可愛いヒヨコにいい子にしててと注意しながらキスを返すんだからどうしようもない。これじゃあフレンチトーストが出来上がるまでに、甘いキスでお腹いっぱいになっちゃうかも。
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