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    kurono_666_aka

    @kurono_666_aka

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    POIPOI 29

    kurono_666_aka

    DONE逆転if忘羨の三番目の話。
    口づけが気に入ってしまった魏嬰ちゃん。

    藍家の第二公子だけど訳あって江家育ちの藍忘機と
    江おじさんではなく藍先生に引き取られた魏無羨な設定です
    ※なんでも楽しめる方向け※



    次の話
    https://poipiku.com/5523475/7093713.html

    前の話
    https://poipiku.com/5523475/7091923.html
    階−きざはし−③ 雲深不知処、裏山。心地良い風が吹き抜ける木陰で、探していた人物は穏やかな寝息を立てていた。
    「藍湛。藍忘機」
     声をかけても起きる気配はない。隣に腰を降ろして魏無羨はそっと藍忘機の顔を盗み見る。恐ろしいほど整った造作も、寝顔は年相応の幼さを感じさせた。
    「寝てるとかわいいのにな」
     呟きながら、何気なく軽く引き結ばれた唇に目をやる。途端にざわりと心が波立った。これの熱を覚えている。なんの温度も持たないかのように見えるのに、触れ合ったところから溶けてしまうかと思うほどに熱い。魏無羨は無意識のうちに己の唇に手を当てていた。
    (気持ち良かった……)
     その熱に初めて教えられた感覚が忘れられない。感触をなぞるように指を這わせても、自らの体温では物足りない。あの柔く熱いものにもう一度触れてほしい。もっと激しく満たしてほしい。
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    kurono_666_aka

    DONE逆転if忘羨の二番目の話。
    「気持ち良い」を教えられる魏嬰ちゃん。

    藍家の第二公子だけど訳あって江家育ちの藍忘機と
    江おじさんではなく藍先生に引き取られた魏無羨な設定です
    ※なんでも楽しめる方向け※

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    https://poipiku.com/5523475/7091925.html

    前の話
    https://poipiku.com/5523475/7091910.html
    階−きざはし−② 蔵書閣で雅正集の書き取りをせよと、昨晩の飲酒の罰として言い渡された。
     戒尺で打たれるのもやむ無しと思っていた魏無羨は、ほっと胸を撫で下ろしながら蔵書閣に向かっている。
    (でも、酒って存外美味いんだなぁ)
     意識を失う前に口に含んだ酒の味はなんとなく覚えていた。ふくよかな香りと、わずかに喉を焼く旨み。確か姑蘇の銘酒、天子笑と言っていたか。
    (そういえば彩衣鎮でたくさん売っているのを見たな)
     ぺろりと無意識に唇を舐める。
     雲深不知処内ではご法度だが、飲酒自体は禁じられていないはずだ。
    (予定のない日に町に飲みに行ってもいいか師兄に相談してみよう)
     駄目だと言われたら大人しく諦めればいい。けれど、次期宗主である藍曦臣は意外に話の分かる人だった。もしかしたら許可してくれるかもしれない。それに、今回の罰が思ったより軽いのも、彼が何かしら口添えしてくれたからだろう。にこにこと自分を送り出してくれた姿を思い出して、魏無羨は心の中で感謝した。
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    kurono_666_aka

    DONE逆転if忘羨の最初の話。
    勢いで書いたので唐突に始まってます。
    酔っぱ魏嬰ちゃんの翌朝。

    藍家の第二公子だけど訳あって江家育ちの藍忘機と
    江おじさんではなく藍先生に引き取られた魏無羨な設定です
    ※なんでも楽しめる方向け※

    次の話
    https://poipiku.com/5523475/7091923.html
    階−きざはし−① 卯の刻。起床の時間だ。
     掟通りに目覚めようとして、魏無羨は違和感を覚える。
     妙に身体が重い。頭はすっきりしないし、瞼もくっついてしまったかのように開かない。それに、微かに鼻腔をくすぐる馴染みのないこの香り。
    (……酒?)
     そうだ。昨晩、雲深不知処に酒を持ち込もうとしている藍忘機を見咎めて口論になった。売り言葉に買い言葉で、うっかり酒をひとくち口に含んでしまい、その後の記憶がない。
    (家規を破ってしまった……)
     しでかした失態に青褪めながら、魏無羨は重たい瞼をどうにか押し上げた。押し上げて、視界に飛び込んできたものに息が止まる。
     家規を破る原因となった男が至近距離で微笑んでいた。いや、微笑みといえるほど明確なものではなく、表情だけ見るならば無表情に近い。しかし、明らかに歓喜の笑みを含んだ気配を纏った男がすぐそばに横たわり、自分を見つめていたのだ。
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