贈り物ラプソディ 交番勤務時代の何が嫌だったかといえば、夏場の防刃衣だった。とにかく暑い。あれを着て炎天下に立っているのは、拷問以外の何物でもなかった。
刑事になって、あの暑苦しさから解放されたと思いきや、今度はネクタイに首を絞められる毎日だ。おまけに〝職務にふさわしい服装〟とやらを自分で用意する煩わしさまでついてきた。いったいなにが悲しくて自分で自分の首輪を買わなきゃいけねえんだか。あれのなにがどう〝相応しい〟のか、さっぱり分からねえ。
今だってそうだ。こうして、祓い屋などと呼ばれるヤクザな商売に就いて、今度こそ堅苦しい格好からオサラバできるはずが、「こんな商売だからこそ依頼人に信用されるようにしろ」との凛子サマからのお達しだ。オレは切った張ったの実働部隊だぞ。依頼人に会ったその足で怪異に遭遇することもあるんだぞ。やってられるかってんだ。
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