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    32honeymoon

    @32honeymoongwt

    ◇gw:t KK✕暁人至上主義者
    ◆書くものは癖が強めなものが多いので要注意。
    ◇中の人は30over↑
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    ◇リクエストとか感想とかめちゃくちゃ喜びます。もちろん読んでくださるだけでも感謝🙏
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    32honeymoon

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    #毎月25日はK暁デー ◇お題:匂い
    ・久しぶりのあまいちゃ糖度120ぱーせんとなので苦手な方は要注意!
    ・KKと暁人くんが同棲してる世界のおはなし
    ・相変わらずKKが暁人くん大好きマン

    長編をあげた後だったので、今回は短くさらっと。
    豪雨つづくここ最近、太陽が恋しくなって書いた作品です。
    台風の余波で大変な思いをしている皆さまの地域に、
    はやく気持ちいい秋晴れが届きますように。

    #K暁

    おひさまのにおいはしあわせの匂い。ーそれは秋晴れがさわやかな、とても良い天気のとある一日のおはなし。


    「KKー、布団下ろすの手伝ってー」
    「お?ああ、分かった」

    ソファでくつろいでいた休日のとある夕方。ベランダから聞こえてきた柔らかな声に、KKはよっこらせ、と立ち上がる。

    「布団、干してたのか。いつの間に・・・」
    「そうだよ。気づかなかった?」
    「・・・気づかなかった」

    少しだけばつが悪そうに目をそらす姿にはにかみながら、
    「だって今日はお日様の機嫌が良い一日だったからね。あやからなきゃ」と暁人が言う。

    「お日様の機嫌ねえ・・・また随分と可愛い事言うじゃねえか、」
    オレにしてみりゃただの暑い日って感じだったがな、と続けようとしたのを、KKが済んでの所で飲み込む。
    それは傾き始めた太陽を背に、KKを見つめる暁人の笑顔が、あまりにも優しかったからで。
    急に黙ったKKを見て、不思議そうに暁人が首を傾げた。

    「ん?どうしたのKK?」
    「あーいや、何でもねえよ。ほら貸せ」

    ー愛しいな、という言葉が脳に届くと同時に、気恥ずかしくて顔が火照りそうだ。
    KKは暁人から布団を受け取ると、ベランダから繋がる寝室へとそれを運ぶため慌てて背を向けた。

    ・・・はぁ、コイツといると恥ずかしい言葉ばかり出てきて参っちまうぜ・・・ガキじゃねえんだぞ、ったく。

    そう思いながらも、KKとてそんなところも相手が暁人だからなのだと知っている。そしてそれをどうにかしたいなんて微塵も思うわけがないのだから、厄介なのだ。
    もはや自分は完全にこの年下の恋人に惚れ込んでしまっているのだと、改めて思い知らされることが、どうにもむず痒くて堪らない。

    「ほらよ、と・・・・次はーーーーー??ッ、ま、暁ッ・・・!!?」

    ぞわぞわとする自分の感情を抑え、二つ目の布団も運び込む。くるりと振り向けば、上からシーツが降ってきて、KKは思わずそのままベッドに座り込んでしまった。そのまま暁人がぎゅっと抱きしめてきて、慌ててシーツを引っぺがせば、目の前でもう一枚のシーツを広げる暁人と目が合う。

    「ったく、何すんだよあぶねえだろうがーって、何してんだ、オマエ」
    「いいから。ほら、KK嗅いでみてよ。お日様の匂い」
    「あーーーー??ったく、子供みてえなことしやがって・・・」

    言いながらも、素直に被せられたシーツに鼻をよせる。微かな花のような、シャボンのような芳香を纏わせた寝具に感じる、なんとも言えない懐かしい匂いがKKの記憶を呼び起こす。

    「・・・・あー、じーちゃんちの縁側の匂い」
    「なるほどね。それがKKの幸せの匂いってわけだ」
    「あ?何だよソレ」

    シーツを被ったままのKKに並び、暁人がベッドにそっと腰かけて、頬に顔を寄せる。

    「お日様のにおいってさ、幸せの記憶の匂いなんだって。何かの本で読んだことがあって」
    「成程?・・・・・ああ、そうかもな」

    静かに目を閉じる暁人の長い睫毛を見ながらふと思う。
    確かにその匂いを嗅いだとき初めに思い出したのは、幼いころ祖父と一緒に過ごした田舎でのひとときだった。
    だがそれならばー彼は何を思い出したのだろう?

    ー暁人、オマエは何を。

    そう聞こうとして、KKはまた口を噤む。どうしてか、それを聞くのは憚られた。
    あの夜に触れた、暁人の記憶。それが太陽の光とは無縁の、暗く冷たいものだったのを思い出してしまっては、とても聞く気にはなれなかった。
    代わりに、寄せられた頬をそっと両手で掴んで、唇を合わせる。

    「・・・・KK?」
    「人間は毎日、新しい記憶を更新してる。今。この瞬間も。幸せな事も、悲しい事も、同じように」

    啄むようなキスの後、シーツを抱きこんで、そのままベッドへと体を倒してやる。え、あ、と慌てる暁人の耳元に、KKはそっと言葉をおとしてやった。


    「・・・次に布団を干すときはな、きっと・・・今日の事を思い出すさ。オマエとふたり・・・こうして抱き合ってる時のことを」

    だからオマエの記憶も、一緒に塗り替えてくれよ。なあ、暁人?

    ーああ、本当に、恥ずかしい言葉ばかりが喉元から溢れ出て止まらねえ。
    見れば目の前で、まるで茹で蛸のように顔を真っ赤にした暁人が震えていた。

    「・・・ほん、っと!KKってば、そういうとこあるよねッ・・・!!」

    「なんだ、この答えじゃ不満だったか?お暁人くんよ」

    思わず笑ってしまうのは、許してほしい。決して虐めたいわけではないのだ。
    ただ、愛しくて、止まらない。

    その証拠に今のKKは、暑いから、だけではない熱を帯びはじめた身体を持て余している。
    そしてそれは、自分だけではない事などもうとうに分かってしまっていて。それも口角が上がってしまう大きな原因のひとつなのだから、
    もうこれは、このまま夕飯の支度が遅れちまっても、同罪だよな?


    「・・・・・・不満なわけ、ないだろ・・・バカKK」

    ちいさく、咎めるように唇を尖らせて言った言葉を肯定のサインと受け取って。
    シャツのボタンに手をかけたKKに、仕返しとばかりに暁人が囁いた。


    「・・仕方ないから、さ。煙草の匂いのする洗濯物も、たまには・・・許してあげる」

    ー今日もKKと一緒にいるって実感できる匂いだからね。


    「・・・はは、完敗だよ」

    思わず口に出した、敗北宣言。ふふ、と笑う唇を塞いで、それ以上はもう言葉になんてさせない。塞がれた唇が次に言葉を放つのはもう、自分の名前だと決まっているのだから。

    「ねぇ・・・・KK、いま、僕・・・とっても、しあわせだ」
    「ああ・・・・オレもだよ、暁人」

    お日様の匂いは、しあわせのにおい。
    ならば、お日様を纏うオマエは、オレにとっての幸せそのものなんだろうな。


    END.
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    DOODLE #毎月25日はK暁デー 
    お題【初デート】
    参加させて頂きました。宜しくお願いします。お題が可愛すぎて悩みました…
     渋谷駅前、かの有名な交差点は深夜になっても人も車も途切れることはない。煌々と輝くモニター画面には雑多な情報が流され続け、色鮮やかなLEDに彩られた看板は星の光をかき消すように輝いている。夜の闇さえ寄せ付けない光の奔流は、月の存在までも薄く儚いものに変えてしまったようだ。
     信号が青に変わると一斉に人の流れが動き始め、それぞれの進行方向へと、人々が双方向に入り交じりながら滔々と流れていく。その人混みから少し離れて道路を眺めていた青年が、隣に立つ男に話しかけた。
    「ここだったよね、KK」
    「ああ、そうだったな」
    あの夜、二人が『運命的』に出会った場所がここだった。

     
    「ねぇ、夜の散歩に行かない?」
    暁人がそう声をかけてきた。正直なところ面倒だな、とKKは思った。もう飯も食って風呂もはいって、後は寝るだけ、という状態だ。出来ることならこのまま暁人を寝室まで引っ張って行って、さっさと押し倒したいところだが。まるで飼い主に散歩をねだる犬のような目で見つめられては、異を唱えることなど出来ようはずがない。甘いな、俺も。そう思いながら答える。
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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