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    kago_me__gu

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    enstついんくちゃんのシングルのタグから思いついたフェイジュニのお話再掲です。
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    # 君へ送るLoveletterはショコラ色

    #フェイジュニ

     鼻歌交じりにフェイスがライトに当てる一通の手紙。この後持ち主の元を離れることとなるこの手紙は、果たしてどんな結末へと自分たちを導いてくれるのか。フェイスは高鳴る胸をそっと抑えた。


     事の発端は、とあるアイドルのCD広告だった。
     二日前、ジュニアとフェイスのオフがたまたま重なり、二人はイエローウエストアイランドにある、ニューミリオン一のCDショップ、DISCNEWMILLIONに足を運んでいた。元々好む音楽の方向性が異なる二人は、足を運ぶ先は同じでも、足を運ぶコーナーは全く異なる。着いた矢先に単独行動をとる二人が再開したのは、別れてから2時間以上も経った時だった。
     今日は帰りにダイナーでもよろうか、という話でまとまりそうな時、ジュニアはふと、足を止める。熱心に見つめるその先が気になったフェイスは、ジュニアの視線の先へと目を向ける。そこには、恐らく新しいシングルを出すのであろうアイドルの、可愛らしいMVが流れていた。しかし、その音楽の方向性は、ジュニアが好むものとは違う。はて、何がジュニアの足を止めたのか。
    「おチビちゃん、こゆの好きだっけ?」
    「いや、好きじゃねーけどよ。ん。」
     好きじゃないとはっきりと答えて見せた隣のお子様は、まるで小さい子供が好きな物を他人に押し付けるかのような仕草と表情で、気になる点を明示した。
    「ハッシュタグ…?」
    「おう。このハッシュタグ、なんかクソDJっぽいなって思った。」
     そんだけだ。と、短く告げるジュニアは、頬を赤らめて、さっさと帰路に着く。隠しきれてない紅潮した頬を見て、緩く微笑むフェイスは、先に歩くジュニアの後を追いかけた。


     ジュニアとフェイスが付き合い始めて、早三ヶ月。メンターは勿論このことを知っているし、なんならエリオスタワーで働くもの達のほとんどは周知の事実である。キスをした事も、体を交えたこともあるこの二人は、エリオス内のトップを争うラブラブカップルとして知れ渡っていた。
     しかし、それとは反するかのように、本人たちにしか知られていない、とある事実がある。それは、お互いがお互いに対して、「好き」という、明確な好意を表す言葉を口にしない、ということだ。フェイスもジュニアも、年相応の恋愛を重ねてきたと思われがちではあるが、二人はこれが初めての恋ーつまり、初恋なのである。ウブな二人は、付き合い、一通りの行為を行っても尚、面と向かって「好き」という事が苦手だった。恐らく、最後に聞いたのは三ヶ月前ーつまり、告白の時のみだ。フェイスは何度も言おうとしたが、全て喉につっかえて、次の瞬間には消えてしまう。ジュニアに幻滅されていないのが唯一の救いであり、フェイスは自分に少々腹が立っていた。
     そんな矢先の、今回の件である。ジュニアが「クソDJみたい」と漏らしたハッシュタグには、ラブレターという単語が含まれていた。これを見て閃いたフェイスは、ジュニアが部屋を長時間留守にする間を狙い、こっそりとジュニア宛のラブレターを書いた。それが、冒頭でフェイスが手に持っていた手紙の正体である。これを、こっそりジュニアの私有地に置き、自分が席を外した時にジュニアに見てもらい、自分の好意を大々的にジュニアに伝えるという、なんとも女々しい作戦を、フェイスは決行しようとしていた。今ジュニアはディノとスパーリングをするため部屋にはおらず、閑散としたジュニアとフェイスの部屋には、フェイスの鼻歌が響く。そして、今日の夜、フェイスは元からクラブに行く予定がある。つまり、今日がチャンスなのだ。フェイスは、ジュニアが一番目に留まるであろうギターケースを確認し、そこから少し便箋が見える形で手紙を放置した。数分後スパーリングから帰ってきたジュニアにクラブに行くことを伝え、フェイスは部屋を出る。

     さぁ、明日の朝が楽しみだ。

     クラブに行くフェイスを見送ったジュニアは、汗を流す為先に風呂に入り、髪乾かしてからベッドに寝転んだ。先日フェイスと共に行ったCDショップで買ったCDを流しては、思いついたと言わんばかりに、秘密のノートに旋律をかきなぐる。それでは足りなかったのか、そのフレーズをいざ引こうとギターを手にした時、ケースから1枚の便箋が、ジュニアの目の前に落ちた。チョコがあしらわれたその便箋に、宛名と差出人は書かれておらず、ジュニアは一瞬焦りながらも、そっと便箋を開いた。


     おチビちゃんへ
     この前、チビちゃんが俺みたいって言ってたアイドルのハッシュタグ、あったよね。あれ見て、ちょっと思いついたことがあったから、実践してみるね。
     付き合ってからのラブレターって、なんか変な感じするけど、今の俺にはこの形が一番あってると思う。普段は、恥ずかしくて、あんまり言わないけど、俺、おチビちゃんのこと凄い好きだよ。告白した時にも言ったと思うけど、おチビちゃんが初恋だから。アハ、ほんとほんと。最初は、本当にただのめんど
    くさいルームメイトとしか思ってなかったけど、おチビちゃんのたまに見せる年相応の表情、って言うのかな。それが凄く、好きなんだ。あ、勿論キスしたりエッチなことしてる時もそう思うけど。でも、それ以上に顔を輝かせてるおチビちゃんが好き。
     これからも、沢山可愛い顔見せてね。大好きだよ。
     フェイス

    「な、な、な、なんだこれっっっ!?」
     唐突に綴られる、彼氏からのラブレターに、顔を真っ赤に染め上げるジュニアは、恥ずかしさをかき消すためか、体ごと布団にくるまった。

     明日の朝、どんな顔してあいつに合えばいいんだ……!?

     ジュニアの、長い夜が始まった。


     
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     鼻歌交じりにフェイスがライトに当てる一通の手紙。この後持ち主の元を離れることとなるこの手紙は、果たしてどんな結末へと自分たちを導いてくれるのか。フェイスは高鳴る胸をそっと抑えた。


     事の発端は、とあるアイドルのCD広告だった。
     二日前、ジュニアとフェイスのオフがたまたま重なり、二人はイエローウエストアイランドにある、ニューミリオン一のCDショップ、DISCNEWMILLIONに足を運んでいた。元々好む音楽の方向性が異なる二人は、足を運ぶ先は同じでも、足を運ぶコーナーは全く異なる。着いた矢先に単独行動をとる二人が再開したのは、別れてから2時間以上も経った時だった。
     今日は帰りにダイナーでもよろうか、という話でまとまりそうな時、ジュニアはふと、足を止める。熱心に見つめるその先が気になったフェイスは、ジュニアの視線の先へと目を向ける。そこには、恐らく新しいシングルを出すのであろうアイドルの、可愛らしいMVが流れていた。しかし、その音楽の方向性は、ジュニアが好むものとは違う。はて、何がジュニアの足を止めたのか。
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