両片思い「あ、あのさ、リッツ」
「ん~? どうしたの~?」
『セナハウス』なんて珍妙な名がついたこの学院のスタジオで、いつも通りユニットの練習が終わったあとのことだ。こたつでうだうだしていると、それまで鼻歌交じりに一緒に暖まって作曲をしていた『王さま』の手がピタリと止まって、なんだか神妙な顔で話しかけてきた。
「おれ、セナのこと……す、好きなんだけど……」
「? うん。知ってるよ~」
「!? 知ってたのか? おれ言ったっけ?」
「いや、聞いてはいないけど……『王さま』セッちゃんのこと大好きじゃん」
「えっ……うん、そう……なんだけど……」
ぽっ、と『王さま』の頬が赤くなる。可愛いねぇ。なんて言ったらセッちゃんにぶっ飛ばされそうだけど。
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