Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    sayutaba18

    @sayutaba18
    ライハを愛してる女。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 54

    sayutaba18

    ☆quiet follow

    正月はしゃぐいずレオ。

    #いずレオ
    izuLeo

    「やっほ~セナ! 羽根つきしようよ!」
     そんな小学生みたいなセリフと共に、一月二日、レオが羽子板を持って瀬名家へとやってきた。
    「はぁ? なんで俺があんたと正月早々羽根つきなんてしないといけないわけぇ? ……とりあえず寒いから中に入りなよ」
    「セナ、ありがとう! お邪魔しま~す」
     分厚いダウンを着ている癖に、鼻と頬をリンゴのように真っ赤にしたレオが玄関先に現れたら、何の用かはさておき、暖めてあげないと、なんて思ってしまう訳だ。
     勝手に廊下へと歩み出すレオに「コーヒー入れるから中で待ってて」と声をかけると「はーい!」と返事が聞こえて、瀬名の部屋へと入っていく。
     手早くインスタントコーヒーを入れ、自室へと戻ると、レオはちょこんとテーブルの前に座っていた。
    「はい、コーヒー」
    「ありがと~! あ~温まる……セナの入れてくれたコーヒー……霊感が湧きそう……」
     やれやれと、引き出しからさっとノートとペンを取り出し手渡すと、さらさらとレオは音符を紙に踊らせていく。しばらくそれを眺めながら、瀬名が口を開いた。
    「れおくん何しに来たの? 人の家に作曲しに来たわけじゃないんでしょ~?」
    「あっ、そうだった。羽根つきするために来たんだった」
    「ほんとに羽根つきしに来たの?」
    「ん~……なんかセナに会う口実を探すためのただのアイテムに過ぎないといえばそうなんだけど、あの音霊感湧きそうと思ったのも理由だし、あとセナの顔に落書きしてみたいって思ったから……?」
    「なんなのそれ。いつも理由がなくたって来るくせに……まぁ? 正月からあんたが元気そうで良かったけどぉ」
     レオが憎らしいほどに、にんまりと笑ったので、やっぱり追い返せば良かったと思った。第一、自分が家にいなかったらどうしていたのだろか、この男は。
    「それはそうと、俺の顔に落書きしてみたいってどういうことなのぉ? もしかしてれおくん、テニス部の俺に勝つつもり?」
    「当たり前だろ~? テニス部って……バドミントンならともかく羽根つきはまた別じゃん?」
     確かにレオは運動神経がいい。しかし自分だって運動能力は負けてはいないし負ける気もない。逆にレオの顔を墨だらけにしてやろうか。そんな考えがよぎった。
    「へぇ、いい度胸してるじゃん。そろそろ暖まった? 表出なよ」
    「そういう好戦的なところ、好きだぞ、セナ! 受けて立つ!」
     お互い立ち上がりコートを羽織る。レオの顔を睨み付けると、とても楽しそうに笑っていて、そんな顔も可愛いと思うけれど、それとこれとは話が別だ。せいぜい華麗に負かしてあげるから、楽しみにしてなよねぇ。と羽子板を手に取った。


    「ほらほら、どうしたセナ? 正月で身体が鈍ってるんじゃないのか~!?」
    「うるっさい! かさくんじゃあるまいし!」
     あんたこそ、机に向かってばっかの癖にどこにそんな体力があるわけぇ!? と内心思いながら、懸命に羽根を打ち返す。レオは一歩も動いていないのにも関わらず、右へ左へと打ち返してくるので、自分ばかり動かされて、次第に息が上がってくる。
    「はぁ……あっ!」
    「はい、セナの負け~」
     5分くらいラリーは続いただろうか。あと一歩という所で届かず、無情にもカンッという音を立てて羽根が転がった。
    「あぁ~もう!」
    「やった~! おれの勝ち!」
     天に拳を軽く掲げたレオが、いそいそとポケットから筆ペンを取り出す。キャップをきゅぽっと開ける。真っ黒な墨汁がきらりと光る。うわぁ。そんなので顔に落書きされたら三日くらい落ちなさそう。
    「ほ、ほんとにするの、れおくん……?」
    「ン~? 当たり前だろ。それともセナは、やっぱ止めて欲しい?」
    「~~っ……チッ、さっさとやりなよねぇ!」
     ここで止めてくださいというのも男が廃る。せめてものと抵抗と軽く舌打ちだけして、少しだけ屈んで、目をぎゅっと瞑り、 レオへと顔を突き出す。こうなったら自棄だ。どうせまだ冬休みだし、年始だから仕事も入れてない。パパとママには少し笑われてしまうだろうけれど、それくらいの犠牲だ。
    「わはは。セナ、覚悟しろ~!」
    「……っ」
    「ちゅっ」
    「!?」
     何かが唇に触れたので、驚いて目を開ける。目の前にはキラキラに光るエメラルドグリーンの瞳。
    「は……はぁ!?」
    「いや、なんかあんまりにセナが綺麗だったから……つい」
     レオが頬を赤らめながら、目線を反らし、自分の唇を触っている。何その少女漫画みたいな顔。
    「つい……であんたはキスするわけぇ!? ほんっと信じられないんだけど!?」
     しかもここは家の前だ。誰が通るかもわからない公道。その上相手は自分で。もう訳がわからない。
    「いやぁ、その、ごめん。代わりにおれの顔に落書きしてもいいから……な?」
     おずおずと筆ペンを瀬名へと渡してくるレオ。それを力強く握りしめながら受け取った。
    「とりあえず家の中に入って。あんたの顔に落書きしたり、嫌がらせして外に出られなくしてやるんだから!」
    「それって今日は泊まっていいってこと?」
    「調子に乗るな!」
     ズビシッとチョップをレオへ食らわして、手を引いて家の中へと連れ込んだ。
     部屋ではトランプをしたりすごろくをしたり、いちいち勝負しては顔に落書きしたり、されたり、調子に乗って負けた方が服を脱いだり……ほんと子供みたいに遊んだ。
     時折気が向いたように、視線が絡んで、お互い吸い寄せられるように軽くキスをしてみたり……気づいたら朝になっててそのまま二人で同じ布団で昼過ぎまで寝こけてしまっていた。
     当然お互いの顔に書いた墨は消えなくて、外にも出られなくて、三日もずっと瀬名の部屋でレオと過ごした。

     ま、たまにはこんな賑やかなお正月も悪くない……なんて思ってしまうなんて、ほんとどうかしてるよねぇ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💕☺☺😭😍💘❤😍👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978

    recommended works

    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978