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    Masima2022

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    Masima2022

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    ワンドロより〜桜〜

    #九莇
    jiuBiao
    #くあざなう

    早咲きの桜が咲き誇る帰り道。
    めでたい卒業の日の帰り道も桜たちは何時ものように風に揺れ、薄桃色の花びらを散らし、二人の目の前を悪戯に過ぎる。

    「……わ、」

    ごう、と音を立てたつむじ風が地上から空に向かって抜けていくと副産物の花びらが一斉に宙を舞う。はらはらと、はらはらと、地面に、九門に、莇に降り注ぐそれは視界を優しい桜色へと一瞬で染めていく。

    「すごい」
    「…ああ、」

    見事なまでの桜吹雪に目を細めて感嘆する九門を横目で一瞥した莇はそれだけ返すと唇を結んだ。今日で見納めになる制服の裾が風でふわりと舞う。しっかりとネクタイを締めてる姿なんて初めて見てしまったのは今朝の事、僅かな驚きがまた胸の中に戻ってきてちくちくと刺していく。

    (…桜が、泣いてるみたいだ)

    はらはらと降り注ぐ花びらは、ぽたぽたと落ちる涙に似ていて、代わりに泣いてくれてるのかと錯覚を起こしてしまいそうだ。

    「あ」

    短い声に知らない間に莇を見ていた九門が手を伸ばしてきた。丁寧に切り揃えられた爪先ではなく、少しの丸みを帯びた指の腹が莇の頬骨の辺りをするりと撫でた。
    そして瞼をゆっくりと伏せて、指の先に掬った桜の花びらに落とす。

    「桜の涙だ」

    また、ざぁ、とつむじ風が駆け抜け、指先の花びらも空へと舞った。




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    Replies from the creator

    Masima2022

    DONEリクエストで頂いた「初めてふたりで一緒に寝るはなし」です❣️(少し長くなってしまいました…)
    リクエストありがとうございました…!
    その日は前々から計画していたお泊り会だった。片割れが留守となる106号室にて決行、勿論左京の承諾もちゃんと得ている。備え付けのロフトベッドではなく、テーブルも全部端へと寄せて作った広々としたスペースが本日の会場だ。
    並べて敷いた布団に二つの枕をぽんぽんと置くとそれだけで日常とは少し違う雰囲気になって心が弾んでしまう。だけど、そこに寝転がって学校やバイト先での出来事を話しているとあっという間に時間は過ぎ去ってしまい、莇のスマホのアラームがシンデレラタイムを引き連れてきてしまった。
    「えー…もうおしまい?」
    「時間だしな」
    「…明日は学校も休みだよ?」
    「それはそれ、これはこれ」
    布団から抜け出した莇が壁にある室内を照らす灯りの源をオフへと切り替えた。暗くなった室内に踵を返して枕元に置いてきたスマホの明かりを頼りに布団へと戻ると、あからさまにしょんぼりとなっている九門がそれでも大人しく自分の布団へと潜り込む所だった。可愛いかよ、と思わず出てきそうな声を飲み込むと同時に莇は拳を胸元に強く押し付けた。そうしないとその健気な姿に胸の奥はぎゅっと鷲掴まれたまま破裂してしまいそうなのだ。もう少し強めに嫌だとアピールでもしてくれたら、なんて脳裏に浮かんで顔が熱くなるのを感じた莇は自分の布団に潜り込む事すら忘れて立ち尽くしていた。
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