Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Masima2022

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    Masima2022

    ☆quiet follow

    リクエスト頂いた「莇のヘアアレンジについて」のお話です❣️(解釈が甘く求めていたものと違っていたらすみません…っ😭)
    リクエストありがとうございました…!

    #九莇
    jiuBiao
    #くあざなう

    「莇ってさ、色んな人のヘアアレンジもやってんじゃん?あれって何か参考にしてんの?」
    恒例になっている屋上での昼休み、臣さんお手製の弁当に入っていたエビフライを大きな口でぱくりと頬張る九門から唐突な質問が飛んできた。なんで急に、と尋ねると前々から気になっていた事を今し方思い出したのだと言う。突拍子もないことを口にされるのは慣れたので驚くこともないけど、可笑しくなるのはどうしたって慣れないみたいで俺の口角は自然と緩んでしまう。
    「まあ一応参考っていうか、トレンドとかそういったのはチェックしてる」
    「トレンド…!なんかかっけー!」
    「定番化して根付いてるもんもあるけど、流行り廃りが激しいしな」
    「うわぁ…やっぱり莇ってすげー…!」
    昨夜の残りの焼売をぱくりと口に放り込んだ九門からの感嘆の声と眼差しは少し擽ったかったけど、まあ悪い気はしなかった。褒められる為にやってるワケじゃねーけど、それでも手放しで褒められたら誰だって俺と同じ気持ちになるはずだ。
    「去年の誕生日の時、オレのヘアアレンジめちゃくちゃかっけーのにしてくれたじゃん?ほんとはね、アレンジの話聞いてからちょっとだけドキドキしてたんだ!似合わなかったらどうしようって」
    「なんだよ、俺のことが信用出来ねーって?」
    「違う違う!そうじゃなくてオレの問題!…兄ちゃんみたいにカッコよく決められるかなって少しだけ心配してた」
    空になった弁当箱に蓋をしながら九門は情けないよねと眉を下げて笑う。正直言って、こいつのこんな顔はあんまり見たくねー。いつだって馬鹿じゃねーのってくらい腑抜けた顔で笑ってて欲しい、だなんて少しだけ思う。
    「くも」
    「だけどね!」
    「う、わっ」
    情けなくなんかない、そう声を掛けようとしたらころっと表情を変えてぴかぴかの目ン玉丸くさせた九門が俺の方に前のめり気味に乗り出してきた。反射的に頭を後ろに下げたらゴン、と壁にぶつかって少しの衝撃が後頭部に走る。
    「大丈夫…?!」
    「大丈夫だけど…びっくりするだろ」
    「へへ、ごめん。でもね、その心配は莇が晴らしてくれたんだよって言わなきゃと思ってさ」
    距離の近くなった九門の手が壁と頭の間に伸びて、ぶつけた所を優しく撫でてきた。いや、本当に近い。おい、近いって。ここ学校だぞ。
    むずむずと擽ったくなったけど撫でる手がムカつくくらい優しくて、近いって文句が言葉になるのを拒絶してるみてーに出てこなかった。
    「…へー?」
    「兄ちゃんみたいだけど、兄ちゃんじゃなくてオレに似合うようにって考えてやってくれたアレンジ見たら変な心配吹き飛んだ」
    やっぱり莇は凄いよ、なんて目の前で屈託なく笑う九門に凄いのはお前だよと返したくなって、それを飲み込んだ。自分がやりたくてやってる事をこうやって認めてくれて褒めてくれる、少し前の自分には与えられないものだと思ってたからもう少し噛み締めてもいいんじゃねーか。
    「…今年の誕生日も、……」
    「ん?」
    「…なんでもねー。いい加減この手退かせよ」
    「なんでもなくないじゃん?!つーか退かせって酷くない〜っ?」
    腕を軽く払い退けるように押すと、青い空を背にした九門が情けない声を上げながら目尻を細めて笑った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Masima2022

    DONEリクエストで頂いた「初めてふたりで一緒に寝るはなし」です❣️(少し長くなってしまいました…)
    リクエストありがとうございました…!
    その日は前々から計画していたお泊り会だった。片割れが留守となる106号室にて決行、勿論左京の承諾もちゃんと得ている。備え付けのロフトベッドではなく、テーブルも全部端へと寄せて作った広々としたスペースが本日の会場だ。
    並べて敷いた布団に二つの枕をぽんぽんと置くとそれだけで日常とは少し違う雰囲気になって心が弾んでしまう。だけど、そこに寝転がって学校やバイト先での出来事を話しているとあっという間に時間は過ぎ去ってしまい、莇のスマホのアラームがシンデレラタイムを引き連れてきてしまった。
    「えー…もうおしまい?」
    「時間だしな」
    「…明日は学校も休みだよ?」
    「それはそれ、これはこれ」
    布団から抜け出した莇が壁にある室内を照らす灯りの源をオフへと切り替えた。暗くなった室内に踵を返して枕元に置いてきたスマホの明かりを頼りに布団へと戻ると、あからさまにしょんぼりとなっている九門がそれでも大人しく自分の布団へと潜り込む所だった。可愛いかよ、と思わず出てきそうな声を飲み込むと同時に莇は拳を胸元に強く押し付けた。そうしないとその健気な姿に胸の奥はぎゅっと鷲掴まれたまま破裂してしまいそうなのだ。もう少し強めに嫌だとアピールでもしてくれたら、なんて脳裏に浮かんで顔が熱くなるのを感じた莇は自分の布団に潜り込む事すら忘れて立ち尽くしていた。
    1109

    related works