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    Masima2022

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    Masima2022

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    とある日の、放課後の話

    #九莇
    jiuBiao
    #くあざなう

    ミルクティー真っ昼間だと言うのに吐く息が白い。
    太陽だって鬱陶しいくらい輝いているのに少しも気温が上がらないのは今日が特別寒いからであって、冬だからだと言う事くらい分かっている。でも寒いものは寒い。

    「…ん、これ、」

    テイクアウトしてきたミルクティーを一口含んで思わず声が漏れた。きっと莇の好きな味だから、と嬉しそうに教えてくれた九門の顔が瞬時に浮かぶ。
    ちょっと甘めでミルクの香りがアッサムの中にも感じられて凄く美味しい。二口、三口と立て続けに口にして、広がる味と仄かな喜びに息を吐いた。甘いのはそこまで得意な方ではないけれど紅茶は甘めの方が好きだった。その美味しさもだけどここまで自分の味覚を九門が分かってくれていた事が何故か酷く嬉しい。九門は甘めの紅茶は好まないだろうに自分のために色々吟味してくれたのだろうかとか、たまたま見付けて自分の事を思い出して教えてくれたのだろうかとか、そんな事がぐるぐると頭の中を巡っていた。

    「…あーざみ!」

    半分程ミルクティーの中身を減らした所で己の名が呼ばれると同時に腕が首に巻き付いてきた。こんなことを自分にしてくるのはあいつくらいだ、まあ声で分かったけど。

    「あ!それ!飲んでくれたの?」
    「おー、美味かった」
    「やっぱり?!絶対莇好きだって思ったもん!」

    莇の右手に握られたカップを覆うスリーブを見て九門が嬉しそうな声を上げた。間近で聞こえる嬉々としたそれに動揺していることを悟られぬ様、至って普通に返したつもりだが内心上手く出来ていたかどうか気になって仕方なかった。

    「…なあ、これって」
    「うん?」
    「…あー、なんも」

    近くに感じる温もりに絆されて先程ぐるぐると頭の中を巡っていた問いを口にしかけ、何を聞くのだと我に返って誤魔化す。聞けるわけがない、自分のために探してくれたのかなんて。深く追求される前に、と莇は首に絡まる相手の腕を掴んで解かせるとそこから抜け出て半歩前へと進んだ。こんな距離、直ぐに縮められるのは分かっているけども。

    「これ、教えてくれた礼に今度キャッチボール付き合ってやる」
    「ほんと?!やった、莇大好き!」
    「ば…っ、くっつくな!」

    空けたとも言えない距離はあっさりと縮められ、先程よりも密着の深い両腕で抱き着かれると言う結果となり何とか隠せていた動揺も露わに片腕で相手を突っぱねるように肩を押す。ごめんごめんと笑って回された腕は外されていくけど一度表に出てきた動揺はそう簡単には消えなかった。
    きっと自分の顔は真っ赤に違いない。さっきまで冷えた空気に晒されて寒さを感じていたのに今は少しも寒くないのだから。どうしたものかと思案して、取り敢えずミルクティーを一気に喉に流し込んだ。すっかり温くなったそれは少しも変わらず美味しかった。
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    Replies from the creator

    Masima2022

    DONEリクエストで頂いた「初めてふたりで一緒に寝るはなし」です❣️(少し長くなってしまいました…)
    リクエストありがとうございました…!
    その日は前々から計画していたお泊り会だった。片割れが留守となる106号室にて決行、勿論左京の承諾もちゃんと得ている。備え付けのロフトベッドではなく、テーブルも全部端へと寄せて作った広々としたスペースが本日の会場だ。
    並べて敷いた布団に二つの枕をぽんぽんと置くとそれだけで日常とは少し違う雰囲気になって心が弾んでしまう。だけど、そこに寝転がって学校やバイト先での出来事を話しているとあっという間に時間は過ぎ去ってしまい、莇のスマホのアラームがシンデレラタイムを引き連れてきてしまった。
    「えー…もうおしまい?」
    「時間だしな」
    「…明日は学校も休みだよ?」
    「それはそれ、これはこれ」
    布団から抜け出した莇が壁にある室内を照らす灯りの源をオフへと切り替えた。暗くなった室内に踵を返して枕元に置いてきたスマホの明かりを頼りに布団へと戻ると、あからさまにしょんぼりとなっている九門がそれでも大人しく自分の布団へと潜り込む所だった。可愛いかよ、と思わず出てきそうな声を飲み込むと同時に莇は拳を胸元に強く押し付けた。そうしないとその健気な姿に胸の奥はぎゅっと鷲掴まれたまま破裂してしまいそうなのだ。もう少し強めに嫌だとアピールでもしてくれたら、なんて脳裏に浮かんで顔が熱くなるのを感じた莇は自分の布団に潜り込む事すら忘れて立ち尽くしていた。
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