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    Masima2022

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    Masima2022

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    リクスエストで頂いた「九門くんの匂いが好きな莇くん」です❣️
    リクエストありがとうございました…!(同じリクエストをお二人から頂いたので、その分少し長めになっております)

    #九莇
    jiuBiao
    #くあざなう

    夕刻の通り雨が心配になるのはこの季節の特徴の一つでもある。それは分かっているのだが、来るかどうかも分からない通り雨の為に雨具を持ち歩くだなんてそうそう出来たものではないのが現状だった。
    「すっごい雨だねー…」
    「雷鳴ってね?」
    「うわ、ほんとだ。…止むかなあ」
    「通り雨だとは思うけどな」
    九門と莇も例に漏れず雨具を持ち歩いておらず、見ての通りの濡鼠状態だ。下校の途中にこのバケツをひっくり返したような酷い通り雨に襲われてしまい、何とか屋根のある所まで走ってきたが制服はぐっしょりと濡れて肌に貼り付く始末である。昼間はあんなに晴れ晴れとして陽射しも痛かったのに、と今は黒に近いグレーの雨雲達を苦々しく見上げてみてもその勢いは激しいままだった。
    「ここまで降ってると雨の匂いもしないんだな」
    「あー、確かに」
    莇の言葉に九門の鼻がすん、と鳴った。雨が降るとどこからともなく漂ってくる少し不思議な匂いを感知するためだったようだが、どうやら空振りのようで小さく肩を竦めた。それから思い出したように肩に担いでいたスポーツバックをごそごそと漁ると、あった、と嬉しそうに呟いて何かをそこから引っ張り出す。
    「はい、莇。これ使って。今日の体育、自習になったから使わなかったんだ」
    その手には真新しいスポーツタオルが握られていた。白地に水色のストライプ柄のそれは今朝方忘れ物と言って九門が入れていたものだ。強引に手渡すものだから咄嗟に受け取った莇だったが、訝しげに寄っていく眉を止めることなくぽたぽたと髪の先から雫を垂らす九門を見る。
    「お前のだろ、お前が使えよ」
    「あはは、言うと思った!大丈夫だよ、もう一枚あるし!」
    莇の言いたい事を何となく察していたのだろう、九門はもう一枚のタオルを取り出すとそれを頭から被せて笑ってみせた。どうやら予備のタオルも入れていたらしい。それなら先に言え、と口をへの字にしながらも莇も右に習えでタオルを首へと掛けた。
    「…………………」
    瞬間、ふ、と脳裏が把握している匂いが鼻孔を擽ってほんの僅かの間、莇の動きが停止した。何でと半信半疑のまま、顔を濡らした雨粒を拭うふりをして直にタオルの匂いを吸ってみる。
    「…………………」
    そこで莇は自分の嗅覚は間違っていない事を確信した。タオルから、ほんの僅かだが九門の匂いがするのだ。一度使用しているのなら話は分かるが、そうではない。なのに何故自分の好きな香りがするのか。
    「?莇、どうしたの?」
    答えは明白だ。莇はタオルで鼻から下を隠した状態のまま九門の肩にある大きめのスポーツバックを一瞥した。高校三年生になってから使っていると言っていたそれはずっとタオルや体操服の運搬係になっている為、九門の匂いが染み付いているのだろう。だからこうして匂いが移ったに違いない。
    「…別に。このタオル、肌触り良いなと思って」
    「あ、分かる?!オレもお気に入りなんだ」
    「うん。…俺も好き、これ」
    首から掛けたタオルが運ぶものは冷えた身体にじんわりと滲んでいく温かみと、好きな匂いという安心感だ。
    雨が匂いを掻き消さないように、もう一度莇は深く息を吸った。
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    Masima2022

    DONEリクエストで頂いた「初めてふたりで一緒に寝るはなし」です❣️(少し長くなってしまいました…)
    リクエストありがとうございました…!
    その日は前々から計画していたお泊り会だった。片割れが留守となる106号室にて決行、勿論左京の承諾もちゃんと得ている。備え付けのロフトベッドではなく、テーブルも全部端へと寄せて作った広々としたスペースが本日の会場だ。
    並べて敷いた布団に二つの枕をぽんぽんと置くとそれだけで日常とは少し違う雰囲気になって心が弾んでしまう。だけど、そこに寝転がって学校やバイト先での出来事を話しているとあっという間に時間は過ぎ去ってしまい、莇のスマホのアラームがシンデレラタイムを引き連れてきてしまった。
    「えー…もうおしまい?」
    「時間だしな」
    「…明日は学校も休みだよ?」
    「それはそれ、これはこれ」
    布団から抜け出した莇が壁にある室内を照らす灯りの源をオフへと切り替えた。暗くなった室内に踵を返して枕元に置いてきたスマホの明かりを頼りに布団へと戻ると、あからさまにしょんぼりとなっている九門がそれでも大人しく自分の布団へと潜り込む所だった。可愛いかよ、と思わず出てきそうな声を飲み込むと同時に莇は拳を胸元に強く押し付けた。そうしないとその健気な姿に胸の奥はぎゅっと鷲掴まれたまま破裂してしまいそうなのだ。もう少し強めに嫌だとアピールでもしてくれたら、なんて脳裏に浮かんで顔が熱くなるのを感じた莇は自分の布団に潜り込む事すら忘れて立ち尽くしていた。
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