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    ちまちま

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    社会人×学生

    #若モリぐだ♂

    ノマレの巧妙「ごめんネー?酔いつぶれたから引き摺って来たんだけどキミがリツカくんかい?」
    「え?あ、はい」
    「そっか、そっか。悪いケドこの酔っ払いおまかせしてもいいカナ?」
    「はい。あの……貴方は……?」
    「コレの伯父さんだヨ☆」

    インターホンが鳴り見ていた動画を一時的にしてスマホを置いてとたとた玄関へ。勝手知ったる家ではあるが家主不在の留守を預かる身としては思えば見知らぬヒゲのおじさんに肩を抱えられた彼を見てしまってはどこから質問したものか。
    あまり騒ぐのもアレだから失礼するネ、とロクに会話もせずにヒゲの人はモリアーティを俺に受け渡すと早々に帰ってしまった。伯父?叔父か?新しい発見に色々聞きたい事はあったがとりあえず半分寝かけている彼の脇から手を差し入れてズルズルと引き摺って何とかソファへ。玄関から上がる際に靴をどうしようかと一瞬躊躇したがモリアーティは勝手に脱いだので少なくとも何処に居るのかは把握しているらしい。脱ぎ散らかすことなくちょっと雑に寄せられたそれに彼らしさを感じ、良いのか悪いのか変な息の付き方をしてしまった。

    「(珍し……ていうかモリアーティ酒飲むんだ……)」

    彼は歳上で学生の自分とは違い仕事のストレスなり過労もあるに違いない。それを世間一般で言うアルコールでストレス解消といった具合には事が運ばないのだモリアーティは。

    (アルコール?飲めないワケではないが飲む必要性を感じナイ)
    (頭の回転を阻害する物質を何故わざわざ摂取したがるのか理解に苦しむナ)
    (そんなもの飲むくらいなら紅茶で十分だ)

    過去そのように唾棄すべき行為と言わんばかりに言っていた為家に泊まりに来たり、外で夕飯をとなってもお酒を飲んでいる場面に遭遇しなかった。だからこそソファで大の字になり使い物にならなくなっている彼が珍しくてならない……!
    リツカも成人こそしたがアルコールが解禁になるまであと数年ある。早い子はもう飲んだ話をするが特別法を破ってまで飲みたいとは思わない。時期が来れば諸手を挙げて大義名分を得るのだそこまで急ぐ理由もなかった。

    「モリアーティ?大丈夫?お水飲む?」

    声掛けをしても曖昧な返事しか返ってこずにどうしたものかと頭を捻る。スーツの上着は既に脱いでいたのでハンガーにかけてあるが特にそれ以上のことしていない。普段から身の回りのことは自分でやるし下手に手を出すと嫌がるので本人に確認を取りたかったが致し方ない。

    起きてしまう前にやり遂げてさっさと自分も寝よう。

    そう思い、いつも着ているスウェットを引っ張り出してきて脱がす前に一言「ごめん」と、両手で手を合わせた。体格はそこまで変わらないものの意識があるとないでは筋肉の働きのせいで天と地の差がある。中々に重労働ではあったが何とか着せ替えて一息つくと毛布を取りに寝室へと足を進めた。

    「はいはい掛けるねー」

    タオルケットと薄掛けの毛布を順番にかけて本日の任務完了。



    「ン……」
    「あ、起きちゃった?」
    「?……?…」
    「あはは。こんばんはモリアーティ」
    「!」

    ガバッと大袈裟な音を立て彼は上体を起こす。いきなりの動作に下のラグに座りながらタブレットを弄っていたリツカはビックリして半身を捻って向き直る。状況を把握しようと左右に頭を向けるモリアーティに笑いを隠そうともしないリツカ。やがて理解が追いついたのか頭を抑えながら彼は問う。

    「何時からこっちに……」
    「8時過ぎくらいかな?連絡入れたけど返事無かったから勝手に来た」
    「……、」
    「ごめん勝手に着替えさせちゃって」
    「それは問題ない。寧ろすまなかった、来ると分かっていたら予定を入れなかったのに」
    「うーん、それはそれでいいんだけど……」
    「……けど?」

    歯切れが悪いリツカにキョトンとするモリアーティは自らの失態に罰が下るのではと恐る恐る恐る聞き返した。

    「なんか大変だったのかなって、わざわざ嫌いなお酒を飲むくらいだから」
    「……」
    「あれ程アルコール飲まない!って豪語してたのに」
    「……」
    「俺もここ1ヶ月は予定が合わなくて来れなかったけどにしたってどういう心境の変化…………ってモリアーティどしたの?」

    俯いたまま何も話さなくなったモリアーティを訝しげに見つめる。タブレットをテーブルに置いてそのまま立ち上がると肩に手を置こうと利き手を伸ばす。しかしその手は彼の肩まで届くことはなく途中でパシっと掴まれ硬直する。そのまま腕ごと引かれたかと思えばぽすん、とソファに座らされいつの間にか体にモリアーティの腕が回っていた。

    「……りつか、だ」
    「リツカですけど??」
    「リツカぁ……」

    甘えるようにぐりぐりと頭を擦り付けられては猫のマーキング行動を想起する。そういえばばあちゃん家にいたキジトラ元気かなぁなんてあさってな思考が正常な認識を阻害する。プチ現実逃避からあっさりと戻って来るとやっと彼が甘えている現実に背後で雷が鳴った気がしないでもない。

    「一応聞くけど酔ってるね?」
    「これが酔いというモノに相当するなら僕は二度と酒なんか飲まない」
    「ア、割と頭はっきりでしたかー」
    「……あの耄碌老害め、ソフトドリンクとアルコールすり替えるとか普通に犯罪だろ」
    「(あの人の事かな?)」

    ぶつぶつ文句を言い始めた彼には触れずに実は被害者でしたなんて聞かされてはやはりモリアーティからするとアルコールは不要以外の何物でもないようだ。

    「……でも君に、リツカに会いたかったからもういいや」

    あぁ神様、仏様、イケおじ様。
    素直なモリアーティが見れるならたまにはお酒を飲んで欲しいです……なんてね。
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