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    カリフラワー

    @4ntm_hns

    🐓🐺・🥴🐺
    作品はすべて全年齢向けです。

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    カリフラワー

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    マ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「特別」
    せっかくの一周年なのに、ふわ〜っとした芯のない話になりました🌫️
    ルスマヴェよ、生涯幸せであれ!

    #roosmav
    #ルスマヴェ
    rousmavet

    君は特別、僕も特別『せっかく作ったから、もう一枚あげる』
    いつもよりのんびりとした朝。ブラッドリーはフライ返しにのせたパンケーキを、もう十分に焼き立てが積み重なった僕の皿に追加した。柔らかいパンケーキに背徳感ある黄金色のシロップが流れ、真っ白な湯気は向こう側のマグカップの縁を曇らせた。
    『マーヴには特別ね』
    そう言って笑う彼は、パンケーキの甘い香りがした。


    『マーヴ、次何飲む?』
    任務後の久々の集まりでも、 ブラッドリーは僕の隣を陣取り、僕の肩に腕を回す。騒がしいバーの中でも一際賑やかなテーブルで、彼は静かに囁く。目の前のボトルのラベルを読み顔を上げると、彼は小さく頷きカウンターへと消えた。
    2本のボトルを手に戻ったブラッドリーに、優秀で調子の良い若者たちが声をあげ始める。俺も私もと、一斉に彼に注文を始める光景の賑やかさが喜ばしい。
    『あーあーうるさい、お前らは自分で取りに行け、マーヴは特別なんだよ』
    ケチだとか人でなしだとか、ブラッドリーは好き放題言われていたが、彼は勝手に言ってろと笑い、僕にキスをした。それは意外にも優しく紳士的なものだったが、お互いのアルコール臭さと見知った若者たちのひやかしの声に囲まれて、意識が溶けるような心地がした。


    『マーヴお疲れ様』
    珍しくブラッドリーより遅く帰宅した日は、彼は玄関先で僕を待っていた。制服姿のまま、バイクのエンジン音に耳を澄ませて。
    『僕を待ってたの?』
    『もちろん』
    『デリバリーじゃなくて?』
    『今日は注文してないよ』
    仕事を終えた解放感で、ブラッドリーはけらけらと笑った。
    『俺にはマーヴ以外に待つ人はいないよ、だってマーヴは特別だから』
    風が2人の頬を撫でた。外でただいまのキスをすると、終わりに近づく一日の匂いが鼻腔をくすぐった。
    『うん、君はすぐシャワーを浴びた方がいいね』
    言いながらブラッドリーの頬に手を添えると、彼はわかりやすく口角を下げた。彼の目は、僕の手を握ってシャワールームへと向かう算段を立てていた。


    「マーヴ、マーヴ」
    「ん?」
    「ボーッとしてどうしたの」
    「ああ」
    ブラッドリーはその大きな身体を丸ごとソファに預け、傍らで僕を見上げている。
    「何かあったの」
    「いや、何もないよ」
    彼は険しく目を細め、鼻から深く息を吐いた。
    「言ってよ、気になるじゃん」
    「はは、本当に何もないよ」
    そう、本当に、なんでもない。
    僕はもう恋人に甘やかされていいような歳でもなければ、それに値する人間でもない。だけどね、そうやってあどけない目を瞬かせ、まるで世界で僕のことしか知らないないような声で"マーヴ"と呼ぶ君を見てると、君に特別扱いされない人生には戻れないと実感する。そんなことを考えていただけなんだ。"マーヴは特別だからね"と笑う君は、それなしでいられないほど強く輝いている。
    しかしこんな年甲斐もないことを、どうやって君に伝えればいい?
    「…ブラッドリー」
    「なに?」
    「君も、僕の特別だからね」
    「…唐突でよくわかんないけど、俺がマーヴの特別じゃない日なんてあった?」
    この子はいつも、良い所を突いてくる。
    「ふふ、ないよ。僕が君の特別になる前から、君は僕の特別だった」
    「ややこしい言い方するね」
    ブラッドリーはそう言って目を伏せ、ふと呟いた。
    「マーヴが俺を呼ぶ時って、世界で俺のことしか知らないみたいな声だよね」
    「…君に言われたくないな」
    彼はええ?と首を捻って身体をずらし、僕の太ももに頭をのせると小さな音を立てて深呼吸した。頬に落ちるまつ毛、すぅと音を立てながら微かに動く小鼻、太ももの痺れなど気にしない穏やかな話し声。
    ブラッドリー・ブラッドショー、君は特別だ。世界にとっても、僕にとっても。あと何度、君の"マーヴは特別"が聞けるだろう。あと何度、"君は特別だから"と言えるだろう。僕にもわからないし、君にもわからないだろうね。だけど、それでいい。こういうことはわからないまま置いておく方がいいんだ。

    「僕がブラッドリーにとって特別な人間であるという事実が、この先も変わらないことを願ってるよ」
    「…キスしてくれたら変わらないことをこの場で約束してあげる」
    「もう…仕方ない、ブラッドリーは特別だからね」
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    カリフラワー

    MENU12/17新刊サンプルです。『今日の同棲ルスマヴェ』ツイート群をSSにしたものの第1巻です。(来年作る予定の『同棲ルマ』ツイログ本とは別物になります)
    ・『Past Ties, Present Love / The Diary of Roosmav 1』
    ・A5/62ページ/全年齢向け
    ・400円(予定)
    ・ほぼすべて書き下ろし
    本になっても変わらず低ハードルでご覧ください。
    12/17新刊サンプル3※連続した日々の記録ではなく、ある一日を日付を特定せず抜き出したもの(という設定)です。
    ※二人の薄い設定としては、ルスはノースアイランドでトップガンの教官をし、マーヴは退役後乗り物の知識と趣味が高じて車やバイクの修理店でバイトしている(免許とか取りそうだし…)…みたいな感じです。

    ※上記の設定は完全に筆者の趣味であり、設定を無視しても問題なく読み進められる内容になっていますので、どうしても二人の設定が気になる!という方はご参考までにどうぞ…笑

    ↓以下本文↓


    ―マーヴとの生活は、言ってしまえばとりとめのないものだ。愛する人と生活しているからといって、毎日重大なことが起こるわけではない。ただ、何も起きない日にもマーヴはここにいて、何も始まらず何も終わらない日々にマーヴという唯一の奇跡が光るのだ。
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    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「昼寝」
    同棲ルマツイートの一つを薄く伸ばして書いたのですが、既に投稿として表に出したネタなのでルール違反だったら消します。すみません。
    読んでて集中できない仕上がりになりました…これこそ寝落ちしそうな出来💤
    Sound of Wind, Chips, and Your Dream 昼下がり。なんとなく口寂しい時間。マーヴはガレージに篭っている。つまり今すぐお菓子を取り行けば、マーヴにバレずに小腹を満たせるということ。
    今日の天気は快晴で、気温も風も心地良い。家のところどころで窓を開け、部屋の中まで風の匂いを感じる。こういう日はのんびりと過ごしたい。
    「確かあの棚にアレがあったはず……」
    収納場所を一ヶ所ずつ思い出しながらキッチンを目指した。そうだ、冷えた炭酸水をお供にしよう。シュガーフリーのドリンクなら大丈夫。決意してキッチンに入ると、思わぬ先客がいた。
    「あれ、マーヴ? ここにいたん……あ、」
    見るとマーヴはキッチンカウンターに突っ伏して眠っている。思わず言葉が途切れ、足もぴたりと止まった。ガレージにいると思ってたのに。どうやらマーヴを起こさないようにしておやつを用意するしかないらしい。慣れてはいるが、やはり緊張はする。目当ての棚はマーヴの真後ろにあり、ぐるりとカウンターを回り込まなければならない。そっとマーヴに近づき今一度様子を確認すると、彼は小さな寝息を立てている。
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    DONEお正月にアンケート回答いただいたお題のSSです
    目を開ければ隣に君が 夢を見る。同じ夢を、何度も繰り返し、繰り返し。月はおろか星明かりすらない真っ暗な空の下で、その夜空よりも黒い海の波間に漂っている。腕の中にはぐったりと力なく体を預ける相棒がいる。相棒であり、親友であり、かけがえのない存在。幼子を寝かしつけるようにユラユラと揺すって見ても、何の反応も返さない。妙に冴えた頭の中には、最後に聞いた彼の悲鳴がこだましている。そうしているうちに瞼が重くなって目を閉じる。彼とひとつに溶け合えればいいのにと願いながら。

     Talk to me, ――

     目を開けると、そこは見慣れたトレーラーハウスの寝室のベッドの上だった。窓の外がうっすら白んでいる気がする。明け方だろうか。正確な時間は分からない。ベッドサイドに外して置いた腕時計を見ようとして、ふと違和感に気付く。腹のあたりで組まれた大きな手はまるで錨のようで、波にさらわれないように繋ぎとめてくれていた。後ろからすっぽりと抱き込まれ、温かで規則正しい吐息がうなじをくすぐる。くすぐったくて身じろぎすると、腰を抱く手にギュッと力がこもった。無意識に僕を行かせまいとしている大きな体の愛しい子の仕草に、自然と眉尻は下がり、口角が上がる。大丈夫、僕はどこにも行かないよ、と無骨な指を優しく撫でてやると、ぴくりと指が跳ねた。
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