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    eikokurobin

    @eikokurobin

    レニ/右爆/轟爆
    眠れぬ夜の小さな図書館

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    轟爆/補講中

    #轟爆
    bombardment

    確信犯 初めて爆豪がうたた寝しているところを見たのは補講帰りのバスの中、一緒に寝ていた俺の肩にコトンと落ちてきた甘い匂いのフワフワが爆豪の頭だと認識した瞬間、俺の眠気は一気に吹き飛んだ。だってあの警戒心の強い爆豪が俺に引っ付いてスウスウとうたた寝しているのだ、そんなレアなことが起きたら誰だって過覚醒しちまうだろ、

    惜しむらくは肩に頭を乗せられたせいで爆豪の顔が見えないこと。どんな顔をしているのか、寝顔は天使だって誰かが言っていた、

    (ああ、体育祭の時みんなは見たんだっけな、ミッドナイトの個性で眠らされた爆豪の寝顔を、会場に設置された大画面に映されたそれを)

    俺だけが見損なった、あの時俺は爆豪の個性攻撃をまともにくらって気を失ってしまったのだ、爆豪のいう【舐めプ】をしたツケがこんなところでまた返ってくるなんて、過去の自分に苦言を申し立てしたい位だ。そうだ、せめて写真を取ろう、俺は注意深くポケットからスマートフォンを取り出して爆豪の寝顔に角度を合わせてカシャリとシャッターを切った。

    +++

    (相変わらずブレてんな)

    あれから何度か同じような試みをしたけれど、悪事は上手くいかないらしい、いっそ寝顔を見たいと本人に頼んだらどんな反応が返ってくるだろうか、最近はそんなことを考えながら2人一緒に電車やバスに揺られて補講への往来を過ごしている。粘った甲斐があり段々会話も成立するようになってきた、補講帰りに買い食いを教えてくれたりと俺達の仲は確実に良くなってきている。あと一歩、何か詰め寄るきっかけがあったらいいのに、

    そんなことを考えながらハイツアライアンスのリビングに降りていくと、

    『かっちゃん、起きてよ』

    『意外とこうなると起きないよな、この寝坊助さん』

    寝ている爆豪と遭遇してしまう。なんという幸運、こういうのを鴨がネギを背負ってきたというのだろうか、早速爆豪の隣に座ると上鳴が何か言いたげな顔をする。

    『轟、敢えてそこに座るんだ?』

    ああ、この席が好きだからな、そう返しながらそっと俺の左側を温め始めると、やがてぽすんと爆豪が俺の身体の方に倒れてきた。以前から思っていたけれど寒がりな爆豪は無意識に暖かい方に寄ってしまう性質がある、そしてそれはまんま俺の勝利に繋がる条件。少し身体を爆豪の方に向けておいたお陰で俺の腕の中にすっぽりとハマってくれた爆豪を支えるフリして抱きしめ、

    『爆豪が風邪ひかないうちに部屋に戻してくる』

    ヤダ独り占めする気?という上鳴の叫び声は無視、どうやら爆豪と普段連んでいるこの面子の中では上鳴だけが俺の下心に気が付いているらしい。別に隠しているわけじゃない、寧ろ俺の獲物だと気が付いて、爆豪にベタベタ触るのを遠慮してもらいたいくらいだ。

    そうしてお姫様抱っこしてエレベーターで5階まで昇り俺の部屋に連れ込み、俺の布団に寝かせたところで、

    (やっとこの寝顔を他の奴から守ることができた)

    そう思ったらなんだか安心して眠くなってきた。

    +++

    目が覚めた時、轟の顔が目の前にあったら誰だって悲鳴モンだろう。しかも寝顔って、一体どんなシチュだよこれは?轟の長い手足に巻きつかれているのは兎も角、俺の方からも抱きついているって一体?落ち着け俺、混乱する頭を整理するため一旦目を閉じる。何しろ目を開けたら轟のイイ面、俺の視界は真っ暗か轟かの二択しかねェ、そしてこのツラ見てたら自ずと思考が停止してしまう。

    (経緯はどうであれ、俺が轟にガッツリ抱きついていたのは恐らく暖を求めてだ、認めたくねェが仮免補講の往来ですっかり轟の個性に飼い慣らされちまってる自覚はある)

    バスや電車の中で轟の隣に座っているうちにいつの間にか眠ってしまい、気がつくと轟の肩にもたれていたり、轟が俺にもたれていたり、そういう光景にいちいち文句を言ってられないくらい補講はキツくて俺達は体力を回復するのに精一杯で、その為だったら暖かかったり柔らかかったり(轟は俺の身体を柔らかい枕のようだという)を提供しあってもいいって思ったりしているのだから、

    (あるいはこうして一緒の布団で抱き合って眠っていてもおかしくないのかも知れねェ…?)

    いや、やっぱり可笑しいだろ、距離感バグりまくってるじゃねーか、ここら辺りで関係をきっちり整理しておかねェとマズいことになる気がする。うん、やっぱり一度話し合うべきだ、意を決して目を開けると、グレイとアイスブルーの瞳と目が合った。

    『テメェ寝ていたんじゃなかったのか?』

    『爆豪の寝顔を眺めていたら眠くなっちまった、そうだ、爆豪に頼みがあるんだがいいか?』

    いいかどうかは内容を聞いてからだろーが、

    『寝顔の写真をいっぱい撮らせてくれ』

    ハァ?何だそれ、というかその【いっぱい】ってのが引っかかるな、さてはもうそのスマホの中に収まってんなァ!寄越せって取り上げて画像をスクロールすると、何だコレ?ブレブレでさっぱり解らねェが多分色からして俺の、恐らくは寝顔のショットと思われし物が沢山並んでいる。何だこのブレブレのヘッタクソは?ちっとも上手く撮れねえんだと叱られた大型犬みたいにシュンとする轟が面白くて、ついついサービス精神が働き、

    『いいぜ撮ってみろよ』

    寝たふりをしてやったのに、降ってきたのはシャッター音じゃなくてあろうことかキス、

    『唇を盗っていいとは言ってねェ!』

    解った写真も沢山撮るって、何抜かしとンだっ、全力で拒否ったると思ったのにパワーSで押さえ込まれ、どう転がったのかそこから距離感バグったじゃ済まされないくらい色んなことをし合っちまったし、散々撮られた写真は全部ブレブレで仕方なく俺がお手本にベストショット撮ってやったら速攻待受にしてクラスのメンツに俺達の関係バレてんの、

    『よかった、無事に爆豪と付き合えたな』

    この期に及んで満面の笑顔、クソいいツラしやがってって、何だよその似合わねェドヤ顔、

    (待て、いつ俺達は付き合ったことになったんだ?)

    嘘だろまさかの確信犯…?

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