Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    azusa_n

    @azusa_n

    ☆quiet follow Yell with Emoji ❤ 💜 💛 💙
    POIPOI 69

    azusa_n

    ☆quiet follow

    モクルクとニンジャジャン9 最終回。
    お疲れ様でした。お付き合いいただいた方ありがとうございます!

    「……あの、僕はニンジャジャンしてないときのモクマさんのことも好きなんですが、その……伝わってます…?」
    ルークからどう思われてたかと言うと。
    「そりゃ、好きか嫌いかの二択なら好かれてるとは思っていたけど」
    「けど」
    「……主となるのはニンジャジャンのショーマンって位置付けだと思ってた、かな。」
    「それって…モクマさんの思う僕、相当嫌な奴だったのでは…」
    一気に青ざめたルークを慌てて抱き締める。
    「や、そんなことないから。ルークはいいこだよ。」
    「…いい子…。やっぱりモクマさんの中では僕は子供みたいだなーとか思ってます?」
    「子供だと思ってたらあんなキスしないよ。」
    若くて眩しいなとは常々思ってるけど。

    「……なんかはぐらかされてる気がするような…」
    「いや、ルークが立派な成人だって分かってるって。」
    妙なところで勘がいいから困る。
    まあ、子供っぽいところがあると思わんでもないが、それはまっすぐすぎるルークの良いところだし、可能なら爺さんになってもそのままであってほしい部分だ。
    じっとりした観察するような目がこっちを見ている。
    泣いた後の赤い目は、しゃがみ方の違いで位置の高いこっちから見ると上目遣いになっている。
    「だから、もっかいしていい?」
    顎に手をかけて問う。
    頬が赤くなるのと、視線を外すのが同時で、すぐにこちらを見て「はい」と小さく返して固く目を瞑る。

    呼吸の限界まで求めてくれるのが愛しくて、鼻で呼吸すると楽だと教えるのはもう暫く後にしようと決めた。






    昼に近い朝。
    ルークの部屋。
    腕の中で温かい存在がもぞもぞと動く感触で目を覚ます。

    「……んぅ…、…え?」
    がば、と上体を起こすと、横にいる俺と自分とを見比べて眉を寄せたり頬を染めたり忙しい。夜間はエアコンも控え目にしたから素肌を布団を引き剥がされると空気が冷たい。同じく素肌のルークもそうだと思うが。
    「ルーク、寒いから」
    一言言うなり布団へもう一度引きずり込む。
    「モクマさんっ、あの、僕、どうなって」
    「覚えてないの? あんなに激しかったのに」
    脇腹をつう、と撫でると身体が跳ねた。
    「……えっと…?」
    「どこまで覚えてる?」
    「ニンジャジャンショーの帰りに買い物して、家でお酒飲んで、……告白、して、……キス…を…」
    記憶は残っていたようだ。ここがなくなると色々と辛い。
    「それから?」
    「…もう少しお酒飲んで、……その後…、…ごめんなさい。この辺までしか覚えてません。」
    「そっか…」
    深刻そうに眉を寄せ、溜め息をついてみせた。
    「…すみません…」

    ルークの表情が曇ってきたのを見て、にこりと笑いかける。
    「ん、正解。記憶ばっちりだよ。」
    「へ?」
    「ルークは食べながら寝落ちしちゃったから、ベッドに運んだんだよね。」
    「え? でも、服…」
    「ケチャップついてたから脱がしたよ。…ちゅうか、下は履いてるでしょ」
    「あ、ほんとだ」
    ちなみにこっちまで上半身裸なのは、せめてくっついて寝たかったってのと、こうやって朝からかう以外に理由はない。

    「添い寝しかしてないよ。ルーク、連日お仕事でお疲れだったし。」

    でも露骨にほっとされたのはちょっと不服なので。
    「ところでさ、ルーク。」
    「なんでしょう」
    ルークの身体に覆い被さって、笑顔を消した。
    「……何を忘れたと思ったのか、実地で教えてくれるか?」
    「い、いま、ですか」
    「うん。お誂え向きの状況だろ」
    見下ろす顔は真っ赤。視線に籠もるのは羞恥が大半に見える。希望的観測かもしれないが。
    「…あの、せめて先にシャワーを」
    「了解。んじゃ一緒に入ろ」

    エリントンを出るのは明日の夜。まだ時間は充分にあるが、無限と言う程ではなく。
    今日少し無理をしても明日看病することは出来るし、と皮算用を浮かべてルークが応えるのを待った。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏💒💒❤👏😭❤💖😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    emotokei

    DONE #チェズルク版ワンドロワンライ
    第8回お題「海」お借りしました。
     ――潮騒の音が聴こえる。

     ミカグラは島だから、四方を海に囲まれている。
     それはもちろん知っていたのだけれど、夏場と違って肌寒さを感じる時期しか知らなかったから、あまり実感はないままでいた。DISCARD事件の捜査の合間、海へ足を向ける事はついぞなかったし、労いにとナデシコさんが用意してくれた保養地は温泉で、長い時間を過ごしたマイカの里は山あいだ。
     海沿いの街をそぞろ歩くことはあっても、潮の香りが届く場所には縁がないままこの土地を離れた。
     だからこうやって、潮騒が耳に届く庭先でぼんやりと涼む時間を過ごすことは初めてだ。僕はと言えば、休暇中の穏やかな時間を存分に楽しんでいた。
     久しぶりに訪れたミカグラは、ますますマイカの影響を受けているように見える。朱塗りの電柱にはびっくりした。小さな島で異彩を放つ高層建築が立ち並ぶ中、平屋や二階建ての慎ましやかな家が新たにいくつも軒を連ねていた。事件の直後には、ほとんど木造の家なんてなかったけれど、マイカの里のひとたちが少しでも穏やかな気持ちで暮らせるようにと、ブロッサムの人たちが心を砕いた結果なのだと、コズエさんが嬉しそうに話していたことを思い出す。
    3227