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    azusa_n

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    モクルクとニンジャジャン9 最終回。
    お疲れ様でした。お付き合いいただいた方ありがとうございます!

    「……あの、僕はニンジャジャンしてないときのモクマさんのことも好きなんですが、その……伝わってます…?」
    ルークからどう思われてたかと言うと。
    「そりゃ、好きか嫌いかの二択なら好かれてるとは思っていたけど」
    「けど」
    「……主となるのはニンジャジャンのショーマンって位置付けだと思ってた、かな。」
    「それって…モクマさんの思う僕、相当嫌な奴だったのでは…」
    一気に青ざめたルークを慌てて抱き締める。
    「や、そんなことないから。ルークはいいこだよ。」
    「…いい子…。やっぱりモクマさんの中では僕は子供みたいだなーとか思ってます?」
    「子供だと思ってたらあんなキスしないよ。」
    若くて眩しいなとは常々思ってるけど。

    「……なんかはぐらかされてる気がするような…」
    「いや、ルークが立派な成人だって分かってるって。」
    妙なところで勘がいいから困る。
    まあ、子供っぽいところがあると思わんでもないが、それはまっすぐすぎるルークの良いところだし、可能なら爺さんになってもそのままであってほしい部分だ。
    じっとりした観察するような目がこっちを見ている。
    泣いた後の赤い目は、しゃがみ方の違いで位置の高いこっちから見ると上目遣いになっている。
    「だから、もっかいしていい?」
    顎に手をかけて問う。
    頬が赤くなるのと、視線を外すのが同時で、すぐにこちらを見て「はい」と小さく返して固く目を瞑る。

    呼吸の限界まで求めてくれるのが愛しくて、鼻で呼吸すると楽だと教えるのはもう暫く後にしようと決めた。






    昼に近い朝。
    ルークの部屋。
    腕の中で温かい存在がもぞもぞと動く感触で目を覚ます。

    「……んぅ…、…え?」
    がば、と上体を起こすと、横にいる俺と自分とを見比べて眉を寄せたり頬を染めたり忙しい。夜間はエアコンも控え目にしたから素肌を布団を引き剥がされると空気が冷たい。同じく素肌のルークもそうだと思うが。
    「ルーク、寒いから」
    一言言うなり布団へもう一度引きずり込む。
    「モクマさんっ、あの、僕、どうなって」
    「覚えてないの? あんなに激しかったのに」
    脇腹をつう、と撫でると身体が跳ねた。
    「……えっと…?」
    「どこまで覚えてる?」
    「ニンジャジャンショーの帰りに買い物して、家でお酒飲んで、……告白、して、……キス…を…」
    記憶は残っていたようだ。ここがなくなると色々と辛い。
    「それから?」
    「…もう少しお酒飲んで、……その後…、…ごめんなさい。この辺までしか覚えてません。」
    「そっか…」
    深刻そうに眉を寄せ、溜め息をついてみせた。
    「…すみません…」

    ルークの表情が曇ってきたのを見て、にこりと笑いかける。
    「ん、正解。記憶ばっちりだよ。」
    「へ?」
    「ルークは食べながら寝落ちしちゃったから、ベッドに運んだんだよね。」
    「え? でも、服…」
    「ケチャップついてたから脱がしたよ。…ちゅうか、下は履いてるでしょ」
    「あ、ほんとだ」
    ちなみにこっちまで上半身裸なのは、せめてくっついて寝たかったってのと、こうやって朝からかう以外に理由はない。

    「添い寝しかしてないよ。ルーク、連日お仕事でお疲れだったし。」

    でも露骨にほっとされたのはちょっと不服なので。
    「ところでさ、ルーク。」
    「なんでしょう」
    ルークの身体に覆い被さって、笑顔を消した。
    「……何を忘れたと思ったのか、実地で教えてくれるか?」
    「い、いま、ですか」
    「うん。お誂え向きの状況だろ」
    見下ろす顔は真っ赤。視線に籠もるのは羞恥が大半に見える。希望的観測かもしれないが。
    「…あの、せめて先にシャワーを」
    「了解。んじゃ一緒に入ろ」

    エリントンを出るのは明日の夜。まだ時間は充分にあるが、無限と言う程ではなく。
    今日少し無理をしても明日看病することは出来るし、と皮算用を浮かべてルークが応えるのを待った。

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    emotokei

    PROGRESS第9回お題「野菜」お借りしました。
    #チェズルク版ワンドロワンライ
     分厚い紙の束を取り出すと、つやつやとした様々な色合いが目に飛び込んでくる。
     グリーン、ホワイト、パープル、レッド、イエロー……派手な色が多い割に、目に優しいと思えるのは、きっとそれらが自然と調和していた色だから、なんだろうな。
     大ぶりの葉野菜に手をのばして、またよくわからない植物が入っているな、と首を傾げる。
     世界中をひっちゃかめっちゃかにかき回し続けている「ピアノの先生」から送られてくる荷物は、半分が彼の綴るうつくしい筆致の手紙で、もう半分は野菜で埋め尽くされていることがほとんどだ。時折、隙間には僕の仕事に役立ちそうなので、等と書いたメモや資料が入っていることもある。惜しげもなく呈されたそれらに目を通すと、何故か自分が追っている真っ最中、外部に漏らしているはずのない隠匿された事件にかかわりのある証拠や証言が記載されていたりする。助かる……と手放しで喜べるような状況じゃないよな、と思いながらも、見なかったフリをするには整いすぎたそれらの内容を無視するわけにもいかず、結局善意の第三者からの情報提供として処理をすることにしている。とてもありがたい反面、ちょっと困るんだよなあ。
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