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    funa_314

    @funa_314

    ふかせつレト先生とTOAのじぇいるくとRS2Rの傭兵と第二皇子が好きな人。

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    funa_314

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    宮魔くん達酒弱そうっていう個人的な妄想をサジオラでやった短編です。
    基本右が強いの好きですが全然不安無いって事も無いはずなので内心悩みは抱えてると美味しい。

    #フリーファイター男
    free-fighterMan
    #宮廷魔術士
    courtMagician

    酒は飲んでも呑まれるな。飲ませなきゃ良かったと思った時にはもう遅かった。
    「貴方はいっつもそうなんですよ...!下手に自信と力があるから先走っては皆に迷惑をかけて...!」
    サジタリウスが酒に弱いのはオライオンが皇帝に即位する前の共に帝国に仕える一兵士だった時から知っている。
    早いうちからやんちゃしていた自分と違い成人後に飲み始めたようだがとにかく酒に弱い、小さなコップ1杯で酔えるのはある意味才能だと思う。
    「はいはい、お説教はもう耳が痛いほど聞かされてるからとりあえず水飲め、な?」
    「もっと真剣に聞いたらどうなんですか!」
    なんだろうこのやり取りに既視感覚えるな、なんて事をオライオンが明後日の方向を見ながら思っていると影が降りてくる。
    向かいに座っていたはずのサジタリウスが気がつけば間近に居た。
    「聞く気がないなら相応の対応させていただきますよ...。」
    ダメだこいつ完全に目が座ってるし今自分が何やってるかも分かって無さそうだし多分明日になったら覚えてないだろう。
    長期遠征からの報告書や先々でかかった費用の明細表と記録の付き合わせなど帝国に無事戻って来たからといってゆっくりする暇も無く1週間。
    やっと目処も付いたと皇帝自室に夕食と寝酒まで用意したのだが、疲れも相俟っての今の状況かもしれないと考えると遠征から事務仕事まで終始付き合ってくれているサジタリウスには頭が上がらない。
    「部屋まで戻すにしても悪酔いしてるお前引き連れてってのも難しいし」
    前線に立つ戦闘職であるオライオンだからといって自分よりも上背のある意識朦朧のサジタリウスを自室まで運ぶのは無謀だし、今の立場上そんな事をすれば近臣から2人まとめてお叱りを受けるに違いない。
    ずっと皇帝自室に詰めていた状態で寝るのも今座っているソファで仮眠程度だったのだ、いい加減に柔らかい寝床で寝かせてやりたいという
    思いもある。
    考えてるうちにもサジタリウスはほぼ夢の世界に旅立ちかけだ。
    「あーもう!仕方ない!完全に落ちる前に頼むからちょっとだけ歩いてくれサジタリウスー!」
    ソファからもずり落ちかけているサジタリウスを何とか担ぎ上げて運び出す。
    大した距離では無いが引っ張りあげて支えて皇帝陛下用のベッドに投げ込むには一苦労だった。
    (コイツ弓の技術もあるから意外と体幹しっかりしてるし最近は弓兵に混じって訓練してたりするし割と筋肉付いてて重いんかな...)
    オライオンが皇帝に選出されて以降は術だけではなく弓の技術向上にも尽力していると遠征に同行する事も多い帝国猟兵のルイから聞いた事がある。
    その上で机仕事の苦手なオライオンの補佐として側近のような仕事までさせているのだ。
    「何から何まで頼りにし過ぎなんだよな、オレが...」
    さらりとサジタリウスの瞼にかかっていた髪を指で避ければ濃い色の隈が見える。
    元々彫りの深いタイプの顔だがここまで隈が酷いと良い顔も台無しだ。
    「せめて遠征に同行させなければ少しは楽になるのか…?リリィもルイも居てくれるし他の誰か入れても...」
    ただ他の誰かを入れたとしてもこいつほど自分を分かってくれる奴もいない。
    そうオライオンが独り言ちていると突然手首を掴まれる。
    「...!った...!な、何?起きたのか?」
    「それは、嫌です...!」
    そう言いながらサジタリウスはぼろぼろと涙を零し始めた。
    「お前泣き上戸でもあんの!?めんどくさ...!!」
    もうこいつには酒は勧めない、困るのは自分だとオライオンは心に決める。
    一瞬腕に入った力も酔いに勝てなかったのか力尽きてシーツの上に転がっていた。
    疲れと酒にはやっぱり勝てないのだろう、開いたように見えた瞼もまた閉じられている。
    その縁に見えるのは先程零れたもの。
    「お前がオレの為に無理しすぎるの見てらんないよ...でも...」

    お前がそばに居てくれないで皇帝を背負っていける自信もない。

    「ジェラール帝はこんな気持ちになる事あったのかね...」
    壁にかかる若き日のジェラールの肖像画を眺めてもいつもと変わらない笑みを返してくれるだけ。
    皇家に生まれた生粋の皇族にそんな不安があったのかどうか、自分の中の記憶もそれを語ってはくれない。


    完全に夢の世界に旅立ったサジタリウスの髪を弄んでいるとオライオンも眠りに誘われれくる。
    本来であればもうちょっと飲んでも良かったが身体と頭の疲れも溜まっているのだろう。
    大人しく寝ておくのが良さそうだ。ただ...
    「オレはこの場合何処に寝れば良いんだ...。」
    先程までいたソファに戻っても良かったがもうその動きを取るのもオライオンは億劫だった。
    皇帝用のベッドは兵舎のベッドと比べたら雲泥の差の大きさなので成人男性2人くらいはとりあえず横になれる場所はある。
    「とりあえずやる事は終わったんだ。お疲れサジタリウス...」
    先に寝入ったサジタリウスの体温が意外と暖かいので良く眠れそうだ。






    「ちょ...!起きて!起きてください!!」
    久しぶりの深い眠りについていたオライオンは聞き慣れた大声で現実に引き戻される。
    「な、何でこんな事に...!!」
    サジタリウスはしっかり覚醒しているようだがオライオンは寝ぼけた頭での反応になる。
    「はよ~サジタリウス。楽しい夜だったよな~...」
    「は...!?」
    何故か焦るサジタリウスと朝の支度を整える侍従のノックの音が聞こえるが、こちらは昨日までの慣れない事務仕事で疲れているのだ。
    オライオンはもう少しこの朝に微睡んでいたかった。
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