Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

    文章や絵を投げます

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💕 🍇 🐥 🍣
    POIPOI 682

    流菜🍇🐥

    ☆quiet follow

    TF主ルチ。TF主くんがルチに愛の言葉を囁くだけの話。

    ##TF主ルチ

    愛の言葉 布団の中に潜り込むと、僕は隣へと身体を向けた。二人で眠るには狭いベッドの上には、僕よりも頭ひとつ分は小さい男の子が横たわっている。彼も僕と同じ方向を向いているから、視界に映るのは小さな後ろ姿だけだ。少し乱れた赤い髪を眺めながら、僕は布団の中で手を伸ばした。
     シーツの上で手首を滑らせると、僕の手のひらは柔らかい布地に触れる。少しもこもこした手触りなのは、それが冬用のパジャマだからだ。中央に手のひらを押し当てると、布に覆われた身体のラインが伝わってくる。優しく左右に撫で付けると、彼は小さく身じろぎをした。
     しばらく手のひらを動かしてから、僕はもう片方の手を滑らせた。両手をルチアーノの身体に添えると、そのまま腕の中へと抱き寄せる。身体と身体が密着して、燃えるような体温が伝わってくる。布地を二枚介しているのに、その温もりははっきりと分かった。
     しっかりと彼の身体を固定すると、僕はお腹へと手のひらを滑らせた。身体を包み込む布地越しに、彼の平らなお腹を撫でる。気が済むまで周囲を撫で回すと、今度は腰に手のひらを当てた。両手を左右の腰に添えると、ウエストを包み込むように指を添える。
    「……なんだよ」
     僕の行動が気に障ったのか、ルチアーノが小さく声を発した。感情があまり読み取れない、湿ったような甘い声である。それでも、抵抗するほどの不快感はなかったのか、手のひらを剥がされたりはしなかった。抵抗が無いのをいいことに、僕は彼の腰に指を這わせる。
    「ルチアーノの腰は細いなって思って」
     素直に言葉を返すと、ルチアーノは小さく鼻を鳴らした。さすがに今のは嫌だったのか、腰から僕の手を振り払う。シーツの上で行き場を無くした手のひらを、そっと身体の近くへと引き寄せた。
    「気持ち悪いこと言うなよ」
     目の前から帰ってくるのは、そんな辛辣な一言だった。前を向いているから、彼の表情は一切分からない。声色を聞く限り、機嫌を損ねているわけではないようである。とはいえ、もう一度身体に触れるのは抵抗があるから、もう少し待ってから触れることにする。
     シーツの上に横たわったまま、僕はルチアーノへと視線を向けた。布団からは頭しか出ていないから、訳もなく目の前に流れる髪を眺める。普段はカバーのようなもので覆われている長い髪も、今はそのままに下ろされていた。艶やかで真っ直ぐなその流れは、月の光に照らされて淡く輝いている。
     そんな彼の後ろ姿を見ていると、僕の胸にある思いが込み上げてきた。こうして彼と一緒に眠っていることが、僕には勿体ないほどの幸せに思えたのだ。彼は神の代行者で、本来なら人間と関わることなどないはずである。それなのにこうして一緒にいられるなんて、奇跡か何かのように思えたのだ。
    「ねえ、ルチアーノ」
     彼の後ろ姿を眺めたまま、僕は小さな声で言葉を紡ぐ。もう少し黙っていた方が良かったのかもしれないが、ついつい口が動いてしまったのだ。胸から感情が溢れ出して、どうしても伝えずにはいられない。しかし、そんな僕の気持ちを知らないルチアーノは、淡々とした声で言葉を返した。
    「今度はなんだよ」
    「好きだよ」
     冷たいルチアーノの声にも屈せずに、僕は正面から言葉を紡ぐ。これが今の僕にできる、精一杯の愛の証明だったのだ。唐突な言葉にびっくりしたのか、彼は小さく肩を震わせる。少しの間を開けてから、それでも平然とした声で返事をした。
    「どうしたんだよ、今日の君は、なんか変だぞ」
     空気を伝わって届いた声が、静かに僕の鼓膜を震わせる。語尾が少し震えているところに、彼の動揺が滲んでいた。気持ちが伝わったことが嬉しくて、僕は微かに笑みを浮かべてしまう。目の前の全てが愛おしく感じて、乱れた髪の束に手を伸ばした。
    「変じゃないよ。何となく、伝えたくなったから言っただけ」
    「それが変なんだよ。いつもは、わざわざそんなこと言わない癖に」
     突き放すような言葉で言うと、ルチアーノは布団の中に顔を埋める。顔は完全に見えなくなってしまったが、髪に触れる手を振り払ったりはしなかった。わざわざ隠したということは、顔が赤くなっているのだろう。さらに愛おしさが溢れだして、もう少しからかいたくなってしまった。
    「わざわざ言わないのは、ルチアーノのことを好きなことが当たり前になってるからだよ。当たり前になったことを、わざわざ口に出したりはしないでしょ」
    「本当かよ。今さっき思い付いたから、ついでで口にしたんじゃないのか? 君は、いつも思いつきで行動するからな」
     しかし、どれだけ動揺していたとしても、ルチアーノは簡単に負けたりはしない。僕の言葉に抵抗しようと、反論の言葉を返してきた。そんな彼の態度を見ていると、なんだか恋の駆け引きをしているような気分になる。後ろめたいことなどないから、僕も真っ直ぐに言葉を返した。
    「本当だよ。僕はルチアーノのことを愛していて、いつも大切に思ってるんだ。ルチアーノが言ってほしいなら、毎日愛を伝えてあげるよ」
     想いのままに言葉を重ねると、ルチアーノは再び黙り込んだ。自分から誘ってはみたものの、ここまで言われるとは思わなかったようだ。しばらく返事を待ってみるが、声が聞こえる気配はない。
     彼が何も言わないのをいいことに、僕は前へと手を伸ばした。ルチアーノの背中に手のひらを触れると、全身を包み込むように腕を回す。さっきまでのやり取りが恥ずかしいのか、彼は布団に顔を埋めたままだ。隙間から露出した耳に顔を近づけると、僕は小さな声で囁いた。
    「ルチアーノ、愛してるよ。ずっとずっと、大切に思ってるから」
     僕の腕の中に収まったルチアーノが、恥ずかしそうに身じろぎをする。布団の間で服が擦れて、さらさらと微かな音を立てた。身体に伝わってくる温もりで、彼が照れていることは隠せなくなっている。手を伸ばして肌に触れてみると、そこは燃えるように熱くなっていた。
    「…………分かってるよ」
     しばらくの間を開けてから、ルチアーノが小さく言葉を発する。全てを観念したかのような、投げやりで尖った声色だった。全てを諦めたような態度に、僕は勝利を確信する。胸の底から嬉しさが込み上げてきて、流れる髪に口付けをした。
    「分かってくれたんだね。嬉しいな」
     耳元で囁くと、僕は彼の髪を撫で付ける。これ以上からかわれるのは嫌なのか、彼は何も言わなかった。僕にしては珍しい、ルチアーノへの完全勝利である。喜びを噛み締めながら、僕は彼の身体に手を伸ばした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💒💒💒💒💒🙏🙏🙏🙏💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator