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    いなばリチウム

    @inaba_hondego

    小説メイン
    刀:主へし、主刀、刀さに♂
    mhyk:フィガ晶♂
    文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋
    文スト:織太

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    いなばリチウム

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    >いなばさんちの主へしでケモ化(獣耳)(発情期ネタが見たい)かコスプレエッチが見たいです!ハピエンでお願いします……w

    とのことだったんですがケモ化しか入らないかもしれないですねこれは…コスプレエッチは別で書きたいです
    多分https://poipiku.com/594323/8385890.htmlの主へし

    ケモ化(獣耳)主へし 審神者と刀剣男士の恋愛が公認のものとなってから随分と長い時が経った。人というものは商魂たくましいもので、やれ禁忌だのやれ閉鎖的だのと批判的であったのに、政府が公式に認めてからはあっという間に”そういう”層向けの本や商品が万事屋に並ぶようになった。人に害のない媚薬やら片思いの人もしくは刀剣男士の心を射止めるための胡散臭い指南書などは可愛い方で、そういう仲になったふたり向けのマンネリ防止という売り文句で随分豊富な品揃えになったそれらはひょっとすると現世にある物らよりマニアックかもしれない。もちろん、関係ない層、それこそ未成年の審神者の目に触れないよう、購入するには制限やそれなりの手順が必要にはなっているのだが。
     だからこそ、今ここにそれがあるということは、審神者の目の前で耳まで真っ赤になった長谷部が、普通なら知ることのない、秘められた手順を踏んで、与えられた給金でわざわざ買ったということに他ならない。なので、審神者は「それ、どうしたの?」などと分かりきったことは聞かなかった。
    「なんでそれにしたの?」
     訊ねれば、唇を引き結んだ長谷部の肩が僅かに揺れる。その頭にぴんと立った黒い三角の“耳“はつやつやとしていて、毛並みがよさそうだった。恥ずかしそうに俯く長谷部の態度とは裏腹に、その後ろでふわふわとした毛並みの“尻尾“がゆらゆらと不安げに揺れている。返事がないので、審神者は長谷部の部屋で見つけたそれの商品名を声に出して読み上げるしかなかった。
    「なんで『簡単わんわんなりきりプレイセット』を選んだの?」
    「っ、そ、それは……」
    「しかもこれ、『お得な首輪とリードセット』って書いてあるけど、首輪は? リードも」
    「う、うう」
    「あのさ、別に責めてるわけじゃないの、分かるだろ?」
     むしろ審神者の唇は弧を描いていて、わざとらしいくらいにカラフルな箱と、それに入っていた二個セットの片方、犬の耳を模したカチューシャを順番に眺めると、最後に説明書を取り出して読み上げた。
    「へえ~効果は三時間、これを付けると疑似的な獣耳に獣尻尾が生えて? 簡易プレイに最適? ヒトにも刀剣男士にも一切のリスクなし! なるほどねえ こんなに怪しいのに政府公認のマークがついてるの面白いな」
     その間も、長谷部は声にならない声を上げていて、それが益々審神者を愉快にさせる。
    「で?」
     一通り、【政府公認の人と刀剣男士向けアダルトグッズ】を眺めてから、審神者は改めて長谷部に視線を移した。もうこれ以上は赤くならないだろうというくらい赤くなった顔に手を伸ばし、顎を捉えて正面から見据える。
    「なんで犬? そういう願望があるなら言ってくれればいいのに。こんな怪しい政府公認グッズなんて買わなくてもさ」
    「ゆ、許してください……」
    「だから別に責めてないって」
     笑いながら言うものの、長谷部はいよいよ泣きそうな顔をしていた。しゅんと垂れた犬の耳は、見るからに怪しいアイテムの効果とは言え、さすが政府公認とあって中々に精巧な作りをしている。そっと撫でて見ると、天鵞絨のように滑らかで触り心地が良いので審神者は「へえ」と感嘆の声をあげた。感覚もあるようで、長谷部が僅かに目を細めてくすぐったそうに身じろぎする。
    「俺にも犬になって欲しかったの?」
    「そ、んなことは、く、ぅ……」
    「ふふ、」
     蕩け始めた長谷部が後ろに隠していたものを空いた手で取り上げてみると、黒い合皮の首輪と、それに繋がる金具がついたリード、小瓶が出てきた。
    「あぁっ……」
     長谷部はもう諦めたように顔を覆っている。
    「やっぱりセットなんだ。カチューシャ一個は予備? 二人が付けるってわけじゃないんだ?」
    「う、それは、その、おそらく、好みで選ぶものかと……」
    「それでお前は自分が犬になりたかったってこと?」
    「……」
    「だとしても、こういうもの使うなら俺を呼べばいいのに。たまたま伝え忘れてたことがあったからこの時間に部屋を訪ねることになったけど、そうじゃなかったら一人で楽しむつもりだったの? へえ。俺という恋人がいるのに?」
    「あ、いや、その……」
     存外口を割らない長谷部の頬に、審神者はうりうりと小瓶を押し付ける。
    「長谷部が何を使いたがっても、俺はなんだって付き合うのになあ。なんで言ってくれないのかなあ」
    「あ、るじは……そう言って下さるだろうとは……思っていましたが」
    「うん?」
    「政府公認とは言え、何かあったらと……なので……」

     まずは、自分の体で試してみようかと。
     
     しおらしくそう言うので、審神者は呆れを通り越して笑ってしまった。拗ねた振りも続きやしない。あとは寝るだけなので大丈夫だろうと思ったらしいが、分かれているとは言え長谷部が寝起きするこの近侍部屋のすぐ隣は審神者の部屋だし、今までだって夜更けに、ふと思い立って部屋を訪れたこともあったのに。そもそも、本当に『何か』あったらどうするつもりだったのか。

    「お前って、真面目で、一生懸命で、なのに時々ちょっと抜けてるよね」

     何か言い返そうとした唇にそっと口付ける。小瓶の蓋をそっと開けると、微かな音を拾って、獣の耳がパタッと揺れた。ここまで来て、じゃあ引き続き試してみてねと帰るわけがない。説明書によれば、小瓶に入ったみるからにあやしいクスリは疑似発情期も体験できるらしい。どこまで本当か分からないジョークグッズではあるが、安全性についてはある程度信頼していた。政府が、ジョークグッズとは言え刀剣男士に害のあるアイテムを作るなんてありえない。それこそ、バフ効果のあるアイテムは今までにも山ほど支給されてきたのだし。

    「そこまで言うなら、まずはお前が一通り試してみようか」

     唇と啄む間に囁けば、長谷部の喉からはクゥ、と犬のような声が漏れた。それもあやしいグッズの効果だったのか、審神者には分からないけれど。


    おしまい
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    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり3
    がっつり主清初夜 多分初夜
    主清初夜R18***


    「ん、んぅ、ん……っ!」
     俺がしたのとは違う、唇を合わせるだけじゃなくて、舌がねじこまれて、絡み合って、吸われる、そんな口づけだった。舌先を吸われる度、じゅる、くちゅ、といやらしい音が頭の中に直接響いて、ぼぅっとしてしまう。それだけでもういっぱいいっぱいなのに、主の手が俺の耳朶を撫でて、くにくにと触るものだから、そんなつもりないのに腰が浮いてしまう。
    「っあ、ん……やだ、それ……っ」
    「ふふ、耳よわいんだね」
     口づけの合間に、主が声を立てて笑う。顔が離れたと思ったら、今度は耳に舌がぬるりと這わされて、ぞくぞくした。
    「ひぁ……っ」
     耳の穴に舌を入れられて、舐られる。舌と唾液の音が直接聞こえてきて、舐められていない方の耳も指でいじられるからたまったもんじゃない。ぐちゅぐちゅ聞こえる音が俺の頭の中を搔き乱す。ついさっきまで俺が主を組み敷いていたのに、今はもう完全に逆転していた。暴れそうになる足は主が太股の間に体を押し込んできてもう動かせない。膝頭が足の間に入り込んできて、ぐりぐりと押される。
    3855

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり2
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    答え合わせ さにみかになるまでと主清のはじまり だってさあ……悩みがあるのか、って聞かれて、実は欲求不満で、とか言えないでしょ、自分の刀に。完全にセクハラだもんな。
    「よっきゅうふまん……?」
     俺の体を跨ぐ形で覆い被さっている清光は、俺の言葉を繰り返して、ぱち、ぱち、と瞬きをした。かわいい。きょとんとしている。
     俺は簡単に説明した。清光に何度も心配されて、まずいな、とは思っていたこと。目を見たら本音を吐きそうで、ふたりきりになるのを避けていたこと。鏡を見れば、自分が思っている以上に陰鬱な顔をしていて、けれど解決策がないまま数ヶ月を過ごしていたこと。審神者になる前は恋人みたいなセフレみたいな存在が常に3~6人はいたんだけど全員にフラれて、まあなんとかなるっしょ、と思ったものの自分が思っていた以上になんともならないくらい、人肌が恋しくなってしまったこと。刀達のことはうっかり口説きそうになるくらい好きなこと。でも臣下に、それもかみさまに手を出すのはさすがにセクハラだし不敬っぽくない? まずくない? と思っていたこと。
    2337

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり1.5
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    一個前の答え合わせだけど審神者メインで他の本丸の審神者との交流とかなので読み飛ばしてもいいやつです
    答え合わせ 審神者くわしくサイド 一応ね、俺も、俺がちょっとおかしいってことは分かってるんだけどね。おかしい、って分かった上で、今、ここにいる。

     審神者になる前、俺は常に最低3人、多くて6人、恋人ないしセフレがいた。
     昔から、俺はどうにも”重い”らしく、恋人が出来ても大体一ヶ月くらいでフラれるばかりだった。俺は毎日好きって言いたいし毎日キスしたいし毎日くっついていたいし毎日好きな子を抱きたいのに、それがだめらしい。体目当てみたいでいやだ、と言われたので、昼間のデートもみっちりプランを立てて楽しく過ごしてみたものの、大学に通いながらデートしてその上で夜は夜でセックスするの体力やばすぎるむり、って言われてフラれる。メンヘラも俺と付き合うと根負けするレベル、って大学の頃噂されたっけ……。非常に遺憾だった。なんでだ。幸い、縁があってフラれてもまた別の子と付き合えることが多かったけど、そんなことが続いたので遊び人と認定されちゃうし……。
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    recommended works

    Norskskogkatta

    PAST主くり編/支部連載シリーズのふたり
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    審神者視点で自己完結しようとする大倶利伽羅が可愛くて仕方ない話
    刺し違えんとばかりに本性と違わぬ鋭い視線で可愛らしいうさぎのぬいぐるみを睨みつけるのは側からみれば仇を目の前にした復讐者のようだと思った。
    ちょっとしたいたずら心でうさぎにキスするフリをすると一気に腹を立てた大倶利伽羅にむしりとられてしまった。
    「あんたは!」
    激昂してなにかを言いかけた大倶利伽羅はしかしそれ以上続けることはなく、押し黙ってしまう。
    それからじわ、と金色が滲んできて、嗚呼やっぱりと笑ってしまう。
    「なにがおかしい……いや、おかしいんだろうな、刀があんたが愛でようとしている物に突っかかるのは」
    またそうやって自己完結しようとする。
    手を引っ張って引き倒しても大倶利伽羅はまだうさぎを握りしめている。
    ゆらゆら揺れながら細く睨みつけてくる金色がたまらない。どれだけ俺のことが好きなんだと衝動のまま覆いかぶさって唇を押し付けても引きむすんだまま頑なだ。畳に押し付けた手でうさぎを掴んだままの大倶利伽羅の手首を引っ掻く。
    「ぅんっ! ん、んっ、ふ、ぅ…っ」
    小さく跳ねて力の抜けたところにうさぎと大倶利伽羅の手のひらの間に滑り込ませて指を絡めて握りしめる。
    それでもまだ唇は閉じたままだ 639

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    リクエスト企画で書いたもの
    ちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅
    とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。
    枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。
    「から! りゅうみせて!」
    腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。
    「まず降りろ」
    「はーい」
    咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。
    狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。
    「勉強は終わったのか」
    「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」
    くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。
    この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。
    最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。
    大人し 1811

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも

    審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん
    飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。
    「小鳥、少しいいか」
    「なに」
     端末から目を離さず返事をする審神者に仕方が無いと肩をすくめ、山鳥毛は強硬手段に出ることにした。
    「うお!?」
     抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。
    「顔色が悪い。少し休んだ方がいいと思うぞ」
    「……今まで誰にも気づかれなかったんだが」
     そうだろうなと知らずうちにため息が出た。
     山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。
    「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 
     サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。
    「や 1357

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    軽装に騒ぐ主を黙らせる大倶利伽羅

    軽装に騒いだのは私です。
    「これで満足か」
     はあ、とくそでかいため息をつきながらもこちらに軽装を着て見せてくれた大倶利伽羅にぶんぶんと首を縦に振る。
     大倶利伽羅の周りをぐるぐる回りながら上から下まで眺め回す。
    「鬱陶しい」
    「んぎゃ!だからって顔つかむなよ!」
     アイアンクローで動きを止められておとなしく正面に立つ。
     ぐるぐる回ってるときに気づいたが角度によって模様が浮き出たり無くなったりしていてさりげないおしゃれとはこういうものなんだろうか。
     普段出さない足も想像よりごつごつしていて男くささがでている。
     あのほっそい腰はどこに行ったのかと思うほど完璧に着こなしていて拝むしかない。
    「ねえ拝んでいい?」
    「……医者が必要か」
     わりと辛辣なことを言われた。けちーと言いながら少し長めに思える左腕の袖をつかむとそこには柄がなかった。
    「あれ、こっちだけ無地なの?」
    「あぁ、それは」
     大倶利伽羅の左腕が持ち上がって頬に素手が触れる。一歩詰められてゼロ距離になる。肘がさがって、袖が落ちて、するりと竜がのぞいた。
    「ここにいるからな」
     ひえ、と口からもれた。至近距離でさらりと流し目を食らったらそらもう冗談で 738

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    重陽の節句に菊酒を作る大倶利伽羅と、それがうれしくて酔い潰れる主
    前半は主視点、後半は大倶利伽羅視点です
    『あなたの健康を願います』

    隣で動く気配がして意識が浮上する。布団の中で体温を探すも見つからない。眠い目蓋を持ち上げると腕の中にいたはずの大倶利伽羅がいなくなっていた。
    「……起こしたか」
    「どうした、厠か……」
    「違う、あんたは寝てろ。まだ夜半を過ぎたばかりだ」
    目を擦りながら起き上がると大倶利伽羅は立ち上がって部屋を出て行こうとする。
    なんだか置いていかれるようで咄嗟に追いかけてしまった。大倶利伽羅からは胡乱な目で見られてしまったが水が飲みたいと誤魔化しておいた。
    ひたひたと廊下を進むと着いた先は厨だった。
    「なんだ、水飲みに来たのか」
    「それも違う」
    なら腹でも空いたのだろうか。他と比べると細く見えても戦うための身体をしているのでわりと食べるしなとぼんやりしているとどこから取り出したのかざるの上に黄色い花が山をなしていた。
    「どうしたんだそれ」
    「菊の花だ」
    それはわかる。こんな夜更けに厨で菊の花を用意することに疑問符を浮かべていると透明なガラス瓶を取り出してそこに洗った菊の花を詰めはじめた。さらに首を捻っていると日本酒を取り出し注いでいく。透明な瓶の中に黄色い花が浮かんで綺麗 3117

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    菊酒をのんで酔い潰れた後日、大倶利伽羅が好きだなぁと自覚しなおした審神者と日を改めて飲み直し、仲良し()するまで。
    月色、金色、蜂蜜色


    急に熱さが和らいで、秋らしい涼やかな風が吹く。
    空には満月が浮かんで明るい夜だ。
    今は大倶利伽羅とふたり、自室の縁側で並んで酒をちびちびとなめている。徳利は一本しか用意しなかった。
    「あまり飲みすぎるなよ」
    「わかってるよ、昨日は運ばせて悪かったって」
    「あんたひとりを運ぶのは何でもないし、謝られるいわれもない」
    「じゃあなんだよ……」
    「昨日は生殺しだったんでね」
    言葉終わりに煽った酒を吹き出すかと思った。大倶利伽羅は気を付けろなんて言いながら徳利の酒を注いでくる。それを奪い取って大倶利伽羅の空いた杯にも酒を満たす。
    「……だから今日誘ったんだ」
    「しってる」
    静かな返答に頭をかいた。顔が熱い。
    以前に忙しいからと大倶利伽羅が望むのを遮って喧嘩紛いのことをした。それから時間が取れるようになったらと約束もしたがなかなか忙しが緩まずに秋になってしまった。
    だいぶ待たせてしまったとは思う。俺だってその間なにも感じなかったわけじゃないが、無理くり休暇を捻じ込むのも身体目的みたいで躊躇われた。
    そして昨日の、重陽の節句にと大倶利伽羅が作ってくれた酒が嬉しくて酔い潰れてし 1657

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    徹夜してたら大倶利伽羅が部屋にきた話
    眠気覚ましの生姜葛湯


     徹夜続きでそろそろ眠気覚ましにコーヒーでもいれるかと伸びをしたのと開くはずのない障子が空いたのは同時だった。
    「まだ起きていたのか」
     こんな夜更けに現れたのは呆れたような、怒ったような顔の大倶利伽羅だった。
    「あー、はは……なんで起きてるってわかったんだ」
    「灯りが付いていれば誰だってわかる」
     我が物顔ですたすた入ってきた暗がりに紛れがちな手に湯呑みが乗った盆がある。
    「終わったのか」
    「いやまだ。飲み物でも淹れようかなって」
    「またこーひー、とか言うやつか」
     どうにも刀剣男士には馴染みがなくて受け入れられていないのか、飲もうとすると止められることが多い。
     それもこれも仕事が忙しい時や徹夜をするときに飲むのが多くなるからなのだが審神者は気づかない。
    「あれは胃が荒れるんだろ、これにしておけ」
     湯呑みを審神者の前に置いた。ほわほわと立ち上る湯気に混じってほのかな甘味とじんとする香りがする。
    「これなんだ?」
    「生姜の葛湯だ」
     これまた身体が温まりそうだ、と一口飲むとびりりとした辛味が舌をさした。
    「うお、辛い」
    「眠気覚ましだからな」
     しれっと言 764