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    水月 千尋

    @arukurein

    短すぎるものは恥ずかしいのでフォロワ限。
    R18はリス限。
    一部、支部に置いてあるものとかぶってる。

    マイタグを細かく付けたので
    少しは作品を探しやすいといいなぁ……
    と、思っている。


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    水月 千尋

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    司類。現代じゃないどこかの時空。
    深刻な病持ちの類くんと、非公認な恋人・司くんの話。設定から何から謎しかない。

    #司類
    TsukasaRui
    ##司類

    【ロミオにシンデレラ】【ロミオにシンデレラ】
    「ねぇ、僕と生きてくれる?」

     ベッドの中から類が問うてくる。まるで、明日の天気でも尋ねるように。その類の隣を離れて丸テーブルの前に立っていたオレは、コップに注いだばかりの水を一口飲んで考えた。
     問いの内容は単純だ。返答も、おおまかに三種。しかし、情事の後に何の前振りもなく発せられた意図が分からずに振り返ると、類は気だるそうに前髪をかきあげてこちらをじっと見ていた。……意図は読みとれそうにない。心の中で白旗をあげるのに合わせて軽く片手をあげたオレは、コップを手に類の所へ戻った。

    「いきなりなんだ?」
    「いきなりでもないさ。僕は──ずっと考えてた」
    「…………」

     安易な相づちを打ってはいけない気がして、黙ってコップを差し出す。類はゆっくりと一糸まとわぬ身体を起こしてそれを受け取り、こくり、と喉をならしたが──薄闇に陰ったシトリンの瞳はずっとオレに向けられたままで。無言で答えをせっついてくる。
     答えないわけにはいかなさそうだ。
     コップをサイドテーブルに置いてベッドに腰かけ、近くなった類の顔を手の甲で撫ぜた。

    「……類は、ジュリエットとシンデレラのどちらになりたい?」
    「どちらも御免だよ。悲恋は嫌だし、かといってシンデレラのように悠長に待つ時間は……僕には無いからね」

     苦笑と共にコップを返される。
     そうだ。類には時間がない。類の中に深く根を張って巣食っているものは、時限爆弾を抱えている。その爆弾の時計が午前零時を刻めば物語は終わりだ。だが、一番の問題は──肝心のその時計は、類自身が嫌っている今の状況下でなければそう長くはもたないというところにある。

    「類。やはりこのままではダメか?」
    「もう嫌なんだ。監視されるのも管理されるのも……司くんと愛し合うのでさえ自由にできない、こんな状況は」
    「だが、あの薬がなければお前は……っ」

     と。不意に類がオレの首に抱きついて、唇を重ねてきた。しかし、触れ合わされただけのそれはすぐに離れて、今にも泣き出してしまいそうに目を細めた。


    「今のままだったら、きっと最期の瞬間に君と居ることすら叶わない。だからもし、僕と生きてくれるのなら」


     ──ここから、連れ出してくれ。
     虫の音色にも負けそうなほどかすかな、消え入りそうな声。紡いだ唇も細い喉もわずかに震えている。話を煙に巻く事の多い類が初めて見せた──本音と、哀願に胸がぎゅっと締めつけられる。
     ああ、オレはこんな顔をさせたいんじゃない。
     オレは類を笑顔にしたいんだ。陰りを帯びた作り笑いなんかじゃない、本物の笑顔をあげたいんだ。
     だが。
     そのために、残された時間を奪うのか?
     それともこのままで、笑顔を諦めるのか?

    「……司、くん……っ!」

     類の目尻から雫が伝い落ち。オレはたまらず、類を強く抱き締めた。情事の後だからかいつもより濃い類の匂いを肺の深くまで吸い込んで──心を決めた。


    「類。オレは──」


     この答えが最良なのか、最善なのか。はたまた、最低で最悪なのか。……今はわからない。でも、きっとオレはこの決断を後悔しないだろう。
     そんな強い確信を胸に。
     腕の中のシンデレラへ答えを告げたのだった。
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    水月 千尋

    DOODLE参謀🎈×将校🌟。(モブ参前提)
    単話調にタイトルついてますが、実質4話目。

    まだ完結してませんが、以降の話は作成中。


    ========


    【前話】
    →https://poipiku.com/599411/10134333.html
    【すれちがいの午後】
     暖かな陽気。穏やかな風に、やわらかい日射し──。前日の肌寒さが嘘のように、今日は朝から春めいた良い天気だった。屋敷前の木々へ羽を休めに来たらしい小鳥のさえずりも、心なしか賑やかだ。
     そんな変化は窓の外だけにとどまらない。普段は日当たりが良いとはいえないこの執務室にも陽光が射し込んできていた。ささやかな恩恵程度ではあるが、窓際に飾った一輪挿しの花瓶越しの光が今座っている机の所まで届くのは初めて見る。もう少し暖かくなってきたらこの部屋のまた違う一面を見られるのかもしれないと思うと、それはそれで楽しみだ。
     一方で、机の端に積んだ要望書の量は昨日や一昨日と何ら変化はなかった。放置しているのではない。処理出来た分と同じくらいの枚数が翌朝に届く為、一向に減っていかないのだ。作業自体は一枚一枚に目を通して可否のサインをしていくだけではあるものの、その可否を決めるのに手間取る案件も当然混在していて気も抜けない。
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    related works

    たまぞう

    DONE先にポイピクに載せます。
    日曜になったら支部に載せます。
    将参のお話。この間のとはセカイは別になります。
    ちょっと痛いシーンがありますがそこまで酷くないです。
    寧々ちゃんが森の民として出ますが友情出演です。
    最初と最後に出ます。
    何でもいい人向けです。
    将校は参謀と同じ痛みを感じて(物理的)生きたいというよく分からないお話ですね。
    誤字脱字は見逃してください。それではどうぞ。
    将参(友情出演寧々)「ねぇ、その首の傷痕どうしたの?」
    「っ、っっ!?」

    仕事の休憩中に紅茶を飲んでいた時のこと。
    正面の窓から現れた少女に私は驚き、口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

    「っ、ごほ…っ、げほっ、ぅ………。来ていたのですか…?」
    「うん。将校に用事があって……というか呼ばれて」
    「将校殿に?」

    森の民である緑髪の少女ーーー寧々は眉を顰めながら、私の首をじっと見つめている。そこには何かに噛み千切られたような痕があった。

    あの日のことを話そうか、少し迷っている自分がいて。
    どうしようかと目線を泳がせていると、寧々が強い力で机を叩く。

    「ほら!話して!」
    「………わっ…!わかり、ました」








    あまりの気迫に押された私はぽつりと語り始めた。
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