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    _nishikigi_

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    真ん中バースデーにあげたい🐉🐈‍⬛AU曦澄の冒頭です!プロットの時点で字数やばそうなのでシリーズになります(たぶん)

    #曦澄

    龍王の嫁取り「嫁入り……ですか?」
    広大な蓮花塢の最奥、雲夢江氏の直系と宗主が許した者しか立ち入れない私邸の一室で、澄んだ鈴のような声が響く。思ったより高い声を出してしまった。気恥ずかしさと戸惑いに揺れるこころに感応したかのように、江澄の二又に割れた尾がぞわぞわと逆立つ。
    「そうだ」
    無慈悲な父の声が響く。常に穏やかな笑みを絶やさない江楓眠にしては珍しく、わずかに眉間に皺が寄っていた。なんで俺が。男なのに。なにより、雲夢江氏はどうなる。叫び出したい気持ちを抑えながら、そっと父の傍らを見遣る。こんなこと、母である虞紫鳶が許すはずがなかった。実際、その母は最大級に怒りをはらませた表情で紫電がばちばちと音を立てて煌めいていた。虞紫鳶が口を開こうとしたその刹那、傍らの男が立ち上がった。
    「江澄が嫁に行くってどういうことだよ!大事な雲夢の跡取りだぞ!?どこのどいつがそんなことを……!」
    魏無羨が憤懣やる方ないと言った表情で叫ぶ。あまりの大声を間近で拾った耳がキーンと鳴る。思わず、頭上でピンと張ったふさふさの耳を抑えた途端、さらに大きな怒号が重なる。
    「そんなことお前に言われなくてもじゅうぶん分かっているわ!控えなさい、魏無羨」
    指に嵌めた美しい銀蛇の指輪を撫でながら、苛立ちを抑えきれぬように虞紫鳶がたしなめる。魏無羨が口をつぐみ、室内に静寂が満ちた。江楓眠が静かに口を開く。
    「姑蘇におわす龍王が、阿澄、お前を妃にと求めてきたんだ。ただし、三年という期限付きで」
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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    takami180

    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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