晴男と雨男が一緒に居ると虹がかかる「緒弧くん、嘘ついちゃダメよ」
先生が差し出すプリンには、「1しゅう間の 天きを きろくしよう」というタイトルがでかでかと書かれている。そしてその下には「月よう日 おてんきあめ」「火よう日 おてんきあめ」「水ようび おてんきあめ」・・・と7日分の「おてんきあめ」が並んでいる。
「先週は、月曜が晴れで、火曜日が曇り・・・」「嘘はダメよ、皆と同じになるはずでしょ?適当に書かないでね、授業で1人だけ違うと困っちゃうわよ。」
「・・・ほんとうです!」
先生は、俺の言葉を聞くと困ったような顔をして、隣の席のミキちゃんに話しかけた。
「ミキちゃん、緒弧くんに宿題見せてあげてくれる?お天気の記録忘れちゃってたみたいなの」
ミキちゃんが、はいっ!といいお返事をすると、先生はちゃんとお礼を言うのよ、次からは見せて貰えないからねと言って教室を出ていってしまった。
それを見送り、ミキちゃんが差し出してくれた紙を引っ掴んで受け取り、さっさと写す。お礼もそこそこに投げるように返してから、自分は教室を飛び出した。
目的地は隣の隣の教室。後ろの入口からすぐ近くの席。俺の弟が、次の授業で使う教科書を出そうとしていた。
「眠菟!」
「・・・なに?」
「怒られた?」
「怒られてないよ・・・?」
「よし!!」
不思議そうな顔をする弟を残して、俺は教室へ戻って行ったのだった。