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    ゆうら

    @08yurayuratti22

    主に鯉鶴・うさかど・菊トニ・尾白が好きですが
    かなり雑食
    色々書けていけたらいいな~
    どうぞよろしくです!

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    ゆうら

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    うさかどwebオンリーネプリ企画で出した、門さん誕生日短編の1つを公開します!
    出会って捕まっちゃう的な、うさかどあるある話です
    シンプル(?)な話が欲しいと思って書きましたが、不穏になるのは仕様ですね

    #うさかど
    houseFrontage

    そうして始まる日今日という日は、何の日か。
    世間的には七夕。
    俺にとっては生まれた日だ。
    知人友人に祝われて、少しほろ酔い気分で街中を歩いていた。
    家に帰ったって、男やもめに待つ人はいない。
    1人でいる事の…余りにも当たり前な日常を、今更変えるつもりもない。
    寂しさも特に感じていない。
    40も後半になって、未だ誕生日を祝ってくれる知人友人の顔を思い浮かべて、思わず笑う。
    俺には前世の記憶というものがある。
    明治時代を生きた記憶が。
    知人友人というのは、何を隠そうその時に出会った仲間達だった。
    名前が同じ者もいれば、まったく違う者もいる。それでも、集まりの時には昔の名前で呼び合うのだ。
    心安まる瞬間。楽しい一時。
    俺にはこんな風な繋がりだけあればいいと、そう思っていたのに…

    「…門倉部長?」

    背中の方から、聞き覚えのある若い男の声がした。
    その声に俺の脳内には警報が鳴り響き、身体は走り出そうとしたが、足を捻って躓きかけた。
    こんな時についてない。
    …俺らしいっちゃ、俺らしい。
    すると呼びかけてきた声の主が、俺の二の腕を摑んで支えてくれた。
    「やっぱり!門倉部長だ!」
    ああ…やばい。
    「あれ?僕のこと分かりませんか?…いや、そんなわけないですよね。だって…」
    耳元で低く囁かれる。

    「逃げようしましたもんね」

    完全に初動を間違えた。
    振り向きたくない…でも、振り向かないと命が無い。
    仕方なく凝り固まった首を捻る。
    大きな目に、特徴的な両頬の黒子。
    艶のある口角が上がった唇。

    「宇佐美…」

    前世の記憶にある男だ。
    元部下で、敵で、殺されそうになった相手。
    こうして今世で出会ったとしても、決して和やかに話せる相手じゃ無い。
    スーツ姿だが、間違いなくあの宇佐美だ。
    内心落ち着かなくて仕方が無いが、なんてこと無い風を装って口を開いた。
    「あー…久し振り?」
    「そうですね。100年ぶりかと!」
    ニコニコ笑って俺の腕を強く握りしめる手。
    痛い痛い!食い込んでるって!!
    顔をしかめて腕を放そうと藻掻くが、全く微動だにしない。
    今世においてもこの男は、えらく力が強いようだ。
    というか、何がしたいんだコイツ?!
    「えっと…離してくれない?」
    「逃げないと約束してくれるならいいですよ」
    「……分かったよ」
    やっと離された二の腕がズキズキと痛む。
    これ、絶対アザになってるだろ…
    「今日はこの後、何かご予定は?」
    「は?」
    なんで予定なんて聞かれるんだ?
    嘘ついて逃げようかと思ったが、約束した手前、そんな事をしたら後が怖い。
    「別に…無いけど…」
    その答えに、宇佐美の目がギラリと光る。
    …あ、やっぱ嘘ついときゃ良かったか…?
    「足元フラフラじゃないですか。ほら…」
    そう言いながら、宇佐美の肩に腕を回された。
    捻ったばかりの足首が、鈍い痛みを訴えている。ここは素直に頼るしか無い。
    「…足痛いんでしょう?僕の家近いんで、手当てしますよ」
    朗らかに笑う横顔に、先程のような怖さは無かった。
    …まぁ、善意なら受けるべきかな?
    そう思いながら曖昧に頷くと、手が腰に回るのを感じる。
    酔いで少し思考が単純になっているのもあって、俺は素直に身体を預けた。

    本当に宇佐美の住むアパートは近かった。
    鍵が開く間、ボンヤリと宇佐美の横顔を見つめた。
    こんな近くで、コイツの顔見たこと無かった。
    前世では……ああ、でも背後から耳元で話された事はあったっけ…
    でも、今はあの時と状況が違う。
    今は俺を気づかって、親切心で介抱してくれようというのだから。
    …でも、どうして親切にするんだ?
    だって、前世で俺はコイツに殺されかけただろ?
    足が縺れるくらいだし、どうも飲み過ぎていたらしい。頭が正確に物事を考えられなくなっている。
    「顔か赤いですよ?ずいぶんと飲んだんですね。まあ、無理も無いか…楽しいお酒だったみたいですもんね」
    なんで…そんな事を知ってるんだ?
    宇佐美の顔が頬に近づく。
    温かな息が、耳殻を擽る。

    「お誕生日おめでとうございます。門倉さん」

    なんで…俺の誕生日知ってるんだ?
    「…っ!」
    気付いたとて、後の祭り。
    有無を言わさず、塞がれた唇の熱。
    背後で閉まるドアの音。
    もう逃げられないと本能で悟る。
    今日会ったのは、きっと偶然なんかじゃ無かったんだ。
    …きっとコイツは、ずっと罠を張っていたんだ。
    そして今日、とうとう俺は捕まってしまった。

    全ては、俺とこれから始めるために。
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