Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sweets_m0gum0gu

    @sweets_m0gum0gu

    銀魂のろくでなし2人が好き。
    ここに上げているものは高銀のみです。
    2021年のお空ファンタジーとのコラボをきっかけにハマりました。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 33

    sweets_m0gum0gu

    ☆quiet follow

    高銀
    2023年銀時誕生日話
    ※『三百円の料理』というお話の続きになります。そちらを読んでからの方が内容が分かり易いと思われます。

    #高銀
    highSilver

    十月九日 子の刻数日前、高杉から文が届いた。
    内容はたった一行。

    十月九日 子の刻

    差出人の記載もない。
    けど、字を見ればわかる。多分ヅラと辰馬に見せても高杉からの文だってわかる。
    まあそんな事は置いといて……今回ないのよ、アレが。

    「んだよアイツ、今回文だけ? 依頼料なきゃ茶ァくらいしか出せないんですけど」

    初回に言った事もあってか、高杉からの文には大抵依頼料も一緒に届く。なかなかいい金額を貰えるので少しだけ懐に入れては良い肉を買って鍋にしたり、俺にしたら高級魚の煮魚を作ってやったりしている。
    それに慣れてきた頃合いの今、ここに来て文だけが送られてきた。
    もしかして、ただ俺に会いに来るだけ?

    「……んなワケあるかよ馬鹿馬鹿しい。ジャンプ買いに行こ」

    そんな独り言を呟いた後、その日は家を出た。

    +++

    そして文に書かれた当日。
    茶ァくらいしか出せない、とは言ったものの、結局少しの酒と肴くらいは用意してしまった。ま、いらなきゃ自分で美味しくいただけばいい。
    そんな事を思いながら夕方には新八に神楽を連れて行かせ、一人万事屋で時間まで待っていた。
    子の刻になると玄関の開く音が聞こえ、読んでいたジャンプを置いて玄関の方へ向かう。

    「わ、ほんとに来た」

    そう言いながら履き物を脱いでいる高杉を見下ろす。

    「文、出しただろうが」

    高杉は俺の目を見てそう言い、家に上がる。そして当然の様に居間へ行ってはどかりと座った。
    それを追いかけつつ、俺は柱に体を預けて立ったまま高杉に話しかけた。

    「で、今回は依頼料入ってなかったけど?」
    「あァ、依頼じゃねェからな」
    「じゃあ何しに来たの? そこに座りに来ただけ? まさかヅラじゃあるめェ」
    「そうだ」

    最後に し って言おうとしたらそれに被せてそうだって言ってきたよコイツ。それってつまりやっぱり俺に会いに来たって事だよね。変な予想が当たって動揺するも、何とか平常心を保つ。

    「へェ、やっぱりお前らグルだったんだー」

    高杉とヅラがグルだろうがどうでもいい。俺の周りに影響さえなければやりたい事をやって生きていてくれ。それだけで十分なんだよ。

    「ヅラとはグルじゃねェし、そんなんこっちから願い下げだ。今日ここに来たのは……ほらよ」

    そう言いながら高杉は大きめの袋をテーブルに置いた。そのお洒落で高級そうな袋に入った大きめの箱と包みを見て目を見開く。

    「おいコレ……ひょっとしてあの高級洋菓子店の?」

    テレビで見て神楽があのケーキが食いたいって言ってたのを宝くじでも当たったらなーって返してたケーキ屋さんの?
    だとしたらすげー美味しいヤツだよおい。
    ちょっと興奮しながらケーキに近づきたい一心で体を預けていた柱から高杉の向かいに移動して返事を待っていると、涼しい顔をした高杉と目が合う。

    「あァ、そうだ」
    「マジかよ! てか、よく買えたね」

    テレビの話だと遅い時間だと完売してるって……
    じゃあいつ買いに行ったんだ?
    そもそも高杉が自ら買いに行くわけねェよなあ。コイツが街中で並ぶなんて危ねェだろ、色々と。

    「予約しときゃいい話だろ」

    そう言いながらいつの間に着けた煙管の煙を吐き出す高杉。

    「あ、そっか〜……じゃねェよ! 何でケーキ予約してこんな夜に持ってきたわけ?」

    そこは本当にわからなくて首を傾げながら尋ねる。
    すると高杉は盛大な溜め息と共に紫煙を吐き出しながら呆れた顔をして俺を見る。

    「お前、明日誕生日だろうが」

    タンジョウビ……たんじょうび……誕生日?
    ああそうか、そうだった、忘れてた。

    「……忘れてた」
    「明日何でガキ共がそわそわすんのか先分かりできて良かったなァ」

    言われてみるとアイツら、今日も少しそわそわしてた気がしないでもない。

    「どうだろうな、逆にわかっちまってサプライズにならねェかも。そしたらお前のせいだぜ」

    そう言ってやると、口角を上げて自信満々の表情をしながらこう言いやがった。

    「構わねェよ。俺が最初に祝えたんだからな」

    今度は俺が呆れる番だった。

    「何、それが狙いだったの? てかお前もよく覚えてたね」
    「テメェとの戦績だって忘れてねェな」

    ほらまたドヤ顔したよコイツ。俺との戦績なんて覚えてたって何の為にもならないと思うんだけどな。などと思い、溜め息を一つ吐いた。

    「……お前が相変わらずだって事はわかった。とりあえずこのケーキ、食う?」
    「あァ? テメェに買ってきたんだろうが」
    「いやいや、流石の俺もこんな時間にこんなデケェの一人じゃ食い切れないし……」

    言いたい事がなかなか言えず、モゴモゴしていると、首を傾げた高杉と目が合った。

    「何だ?」
    「えーっと、その……一緒に食った方が美味いじゃん……」

    そう言うと高杉は一瞬目を見開いた後、優しげに笑う。

    「そうだな」

    高杉のそういう表情を久しぶりに見た気がして頬に熱が集まる。

    「っ……じゃあ俺、茶ァ淹れてくるわ」

    その場から逃げる様に台所へ行った。
    ったく、テロリスト顔ばっか見てたから感覚が麻痺しちまうよ……
    しかしまあ、あんな顔を見ただけでこんな風になっちまう俺も、結局突き放す事なんてできないんだろうな。
    それに、忙しいだろうけどわざわざ作ってくれた時間だ。ごちゃごちゃ考えるのはやめやめ。


    だから今夜は素直に祝われてみようか


    そう思い、茶の支度をしながら用意しておいた酒と肴も盆に乗せた。


    *****

    大遅刻すみませんでした。
    ほぼ書けてたけど、読み返す時間が取れなくて。
    誕生日当日は皆さまの素敵な創作が滝のように流れてきて凄かった…!嬉しい悲鳴ですね。

    銀さん、お誕生日おめでとうございました!
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💒💒❤💖💗💯☺💘😍🎂🎂💞👏👏😭💖💖💖💜💙😭😭😭👏👏👏💜💙💖💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works