そして、君の愛を知る。最終話1-5「まったく、いいかい。こんな馬鹿げた話があってたまるかい? ええ? 人類がいなくなってしまってからこんなことは初めてだよ。わたしがあの後どれだけきみたちを探したのか、どれだけ心配したのかわかっているのかい? いや、わかっていないから、こんな風に機体のあちこちを壊して、紛失して、二人仲良く地面に寝そべって楽しくお話をしていたんだろうさ!」
空はどこまでも青い。雨が過ぎ去ったあとの空気は澄みきっていて、時折柔らかく吹く風が心地良かった。
廃ビルの天辺から落下したハンナとオリヴァーは、仰向けになったまま雨が上がるまで待っていた。ハンナは左足と左腕を、オリヴァーは両足を破損し、とても動ける状況ではなかったからだ。不幸中の幸いというべきか、二機の頭部に損失はなく、ハンナとオリヴァーは落下後も意識がはっきりとしており、そろって自分たちのみっともなさに笑いがこみ上げて笑ってしまった。
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