Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ちまき

    @kinako_eg

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 14

    ちまき

    ☆quiet follow

    ステバキ。学パロ。第7話
    片想いスティーブ×無自覚バッキー。

    【スティーブが風邪引く話。】

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    風邪引きスティーヴィ季節は初秋。

    日中はまだ暖かいが、朝晩の空気には少しずつ冷たさが混じり始めていた。
    そんなある日、スティーブは授業中から明らかに調子が悪そうだった。顔色が優れず、咳も出ている。

    「おいおい、顔真っ白じゃねぇか。まさかまた病弱キャラに逆戻りか?」

    放課後、部屋に戻って来たスティーブに、バッキーはそう茶化しながらも、どこか本気で心配そうな顔をしていた。

    「大丈夫だよ……ちょっと寒かっただけで……」
    ふらつくスティーブをベッドに押し倒すように寝かせると、バッキーは「やれやれ」と呟いて毛布を引き寄せる。

    「もやし野郎はやっぱもやし野郎だな。ったく、俺が見ててやんなきゃダメだな」

    翌朝、スティーブの熱は少し下がっていたが、まだ本調子には程遠い。
    そんな中、寮の友人たちが部屋の前にやって来て、バッキーを遊びに誘う。

    「今日は街に出て、ちょっと遊ばないか?映画とか見に行こうぜ。」
    「お前がこの前言ってたバーガーショップ、オープンしたみたいだぜ!」

    バッキーは一瞬迷ったが、ベッドに寝ているスティーブを見るとすぐに答えた。

    「悪い。今日は無理だ」

    「えー?なんだよ、親友の付き添いか?熱くらい一人でなんとかできるだろ。保護者かよー」

    軽く言うクラスメイトたちに、スティーブが申し訳なさそうに口を開いた。

    「バッキー、大丈夫だよ。僕のことはいいから……行っておいで。だいぶ良くなってきたし」

    その言葉に、バッキーはふっとため息をついて、スティーブの額に冷えたタオルを乗せ直した。

    「……バカ。大事な親友放っておいて行けるわけねぇだろ」
    そして、少しだけ照れくさそうに笑った。

    「それに……あの時のお返しもしなきゃならねぇしな」

    あの時。そう、スティーブが初めてパーティに参加した日、自分が体調を崩して彼が最後まで付き添ってくれた日のことを、バッキーはちゃんと覚えていた。

    スティーブはその言葉に驚きつつも、胸の奥があたたかくなるのを感じた。

    「ありがとう、バック……」

    「ったく、しょうがねぇな。寝てろ、清涼飲料水でも持ってきてやるよ」

    親友。――その言葉が、少しだけ苦く感じる。
    熱でぼんやりする頭の奥に、重く沈んだその響きだけが鮮明に残る。
    自分とっては「親友」なんかじゃない。いや、それだけではいたくない――そう思ってしまう自分の気持ちに、スティーブは静かに目を閉じた。

    熱のだるさや喉の痛みよりも、その一言の方がずっと心にのしかかる。
    バッキーの優しさが嬉しい。でも、それが“親友としての”優しさだと思うと、胸が締めつけられるように苦しい。
    それでも――

    「でも、今はそれでもいい」
    スティーブは心の中でそっと呟いた。

    こうして少しずつでも、距離を近づけていけるなら。
    今はまだ、親友のままで構わない。
    この優しさに触れていられるなら――
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works