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    CMYKkentei

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    現パロ&美大パロ綾滝。続きます。またもやというか、結構ガッツリ綾→仙描写を入れるつもりなのと、またもや色々な人やらカプが出るかもなのでお気をつけください。ハピエン予定ですが自己責任でお願いします〜

    #綾滝

    ランウェイで踊る③「滝夜叉丸、僕のモデルになってよ」
    ケロッと喜八郎はそう言った。記憶が正しければ彼は「私」に「謝罪」に来たはずだとは思ったけれど、彼は何故かタカ丸が座る向かい側ですらなくてそばに腰掛けているし、すっかり別の話にすり変わっていた。
    まあでも、喜八郎の言いたいことは分かる。何故なら私自身、稀代の美青年と言えるほど眉目秀麗だからである。鼻筋は通っており、凛々しく整えられた眉毛。臙脂色の瞳に形が整った輪郭。体は服を完璧な状態で着こなすことができるように鍛えているし、さながら彫刻の如く美しい。確かに、彼が後世まで私の造形を残したいと思うのは仕方の無いことである。
    似たようなことをずらずらと口から吐き出し、おくれ毛1つないように縛られた髪をサラッと手で靡かせた。
    「嫌だ」
    相手は少しだけ眉毛を上げて「おやまぁ」と呟いた。何故かそれが驚いている、と分かってしまったが、滝夜叉丸はニコニコとした笑顔を崩さないまま追い討ちのように「嫌だ、お前のモデルにはならない。」と返事をした。
    「それはまた、何で?」
    「お前に言っても分からないよ。」
    貼り付けられたような笑顔だった。先程まではノリでリアクションをしていたタカ丸も、この時は顔の表情こそいつものままだったが、静かに黙っていた。

    滝夜叉丸は、それでもう終わりだ、と思っていた。
    何故なら、いつも大体鬱陶しがられるのは自分であり、確かに魅力的でファンも多いのだと思ってはいるものの、自身のファンはシャイな気質なのか表にだしてそれを主張している者はほとんど居ない。滝夜叉丸的にはしてもらっても構わないが、所謂「推し活」とやらは自分のペースを守るべき、とも理解しているためそれに対して不満はない。
    しかし、問題は綾部喜八郎だった。
    あの、創作以外に関してはハシビロコウか綾部喜八郎かと言えるほど興味を示さず動かないあの男が足しげく滝夜叉丸の元を訪れていた。
    「モデルになってよ」という言葉はまるでノルマかのように毎度言われてはいるものの、滝夜叉丸が「NO」を突きつけたらその後はそれに言及することはなく、伸び伸びと自由な話をして帰って行った。
    今日制作した小さなものを滝夜叉丸が作業している机に並べていくこともあれば、何も言わずに手のひら大の粘土をこねだしてその辺のものと同じものを作ったりする。一度暇そうにしていた為紙を渡してみると、さらさらと滝夜叉丸の横顔を描き出して、「お前は絵も上手いのか!」と思わず感嘆の声を上げてしまったりした。
    「あれ?なんか上手くやってる?」
    ひょっこりと入口から顔を覗かせたのはタカ丸だった。喜八郎はどーも、と相変わらずの声を出しながら小さく会釈をした。タカ丸もひらひらと手を振って返しながらそのまま滝夜叉丸のそばまでやってきた。
    「急にお呼び立てしてすみません」
    「いいよいいよ〜今日全然あいてたし」
    「助かります」
    「気にしないで!ところで」
    そう言ってタカ丸はにっと笑って喜八郎を見た。「仲良くなったの?」という質問に対して滝夜叉丸と喜八郎は「どうでしょう」と口を揃えて言った。
    「あはは、仲良しだねぇ」
    「どうなんですかね?こいつは私にただモデルになって欲しいだけなんですよ。」
    「そうですね、モデルにはなって欲しいです。」
    「えー?そうなの?」
    うなずいて「そうです」と返す喜八郎とタカ丸が見合っていると、滝夜叉丸はそのそばで机に並べていた布を持ち上げて「タカ丸さん」と声をかけた。
    「あ、はいはい」
    タカ丸は勝手知ったるように滝夜叉丸の方に向いて手を広げた。すると、滝夜叉丸は持っていた布を肩から掛けて、それから別の布を被せては他のものに変えて、というのを繰り返していた。
    「何してるの?」
    純粋な疑問だった。手持ち無沙汰だったのもある。それに対してタカ丸は「んー?」と間延びした声を出して、滝夜叉丸は布をピンで留めてから少し下がって遠くから見たりしながら喜八郎に声だけで返事をした。
    「布を合わせてる」
    「布を合わせるって?」
    「人に纏わせた状態で合わせないと印象が変わったりするから、タカ丸さんに手伝っていただいてるんだ」
    「ふうん」
    聞いておいて、興味の無さそうな返事だな、と思った。それからしばらくはその様子を大人しく眺めていた喜八郎がおもむろに口を開いた。
    「じゃあさ、それ、僕でも」
    「滝夜叉丸!」
    それを言われたくない、と思いながらも予測ができて思わず身構えてしまった。体が上手く動かない、なんて考えた瞬間に自分の名前が呼ばれて、思わずパッと顔を入口に向けるとそこには三木ヱ門がいて、何やら眉間にシワを寄せたまま片手を上げていた。

    「何か用か?」
    タカ丸に謝罪をして三木ヱ門の方へ行くと、やつは顎をくいっと動かして廊下の先を指した。タカ丸は目配せをしていて、やむを得ず三木ヱ門と並んでその先の自動販売機まで向かうと、やつは炭酸水を滝夜叉丸に手渡してきた。
    「どういう風の吹き回しだ?」
    「…悪かったと思って」
    三木ヱ門はバツが悪そうにして、滝夜叉丸に目を合わせようとはしない。彼が、何に対して謝ろうとしているかは検討がついているが、それが何だか面白かった。
    と、いうのも、そういう状態に陥ってしまっているのは何も三木ヱ門のせいでは無いからだ。それでもやつは変に生真面目な性格をしているが故にいがみ合っている滝夜叉丸に対してすら罪悪感を抱えてしまっているのだろう。
    「…私が立花先輩に断れば良かったんだ。最初はなんというか…私にも潮江先輩との関係もあるし、それにお前にとっても良いかもしれないと思ったから何だが」
    「いい、構わん」
    「いや、構わなくはないだろう。最近喜八郎がお前にやたら張り付いてるのも聞いているし、これは後から知って心底後悔しているんだがファッションショーで」
    「いいと言ってる」
    「良くないだろう!」
    相変わらず、キンキンとする声だ、とは思った。でも、必死に何かを謝ろうとする相手に言うべきことでは無いことぐらい分かっていたし、それに、滝夜叉丸だって三木ヱ門のことを嫌いという訳ではないのだ。それに、今にも彼が泣き出しそうになるほどなのはきっと、他でもない自分の、滝夜叉丸のためなのだろう。
    「三木ヱ門、本当に、もういいんだ」
    半年前なら、そうは言えなかった。あの時はあのような拒絶と、大衆の前での羞恥心は初めてだったから。
    ある日、大学の構内で美しい青年を見た。綺麗なグレージュの髪は自分の夢やインスピレーションの中に住んでいたのかと思えるほどだったし、ファッションショーのモデルを探すという課題がある時だったのも良くなかった。自分のミューズに出会ったのだと思って、心底興奮して、だから、相手の気持ちを思いやってやれなかった。他でもない、自分の落ち度だ。
    「私のミューズ、私の、私だけのモデルになってくれ!」
    背は私よりも少し目線が高い。体つきは鍛えているのかなんなのか、その嫋やかで美しい顔とは裏腹にがっちりと筋肉がついているのがわかるが、それがちぐはぐにもならないほど、彼のかたちは優れていた。だから、他に居ない、と思って思わずその手を握って引き止めた。
    その瞬間だった。バシンっと払われた手が大きな音を立てた。
    何が起きたか分からなくて、固まっていると、冷ややかな目がこちらに向けられていた。確かな怒りを含んでいた。そして、私は間違えてしまったんだなと理解した。
    「何がミューズだ」
    はっきりと耳に届いた。絶対に彼しかいない、という思い込みが自分の中に残ってしまったのと、そこまでの手痛い拒絶が初めてだったのと、とにかく、自分でも驚く程にそれで動揺してしまったのだ。
    その後はというと、おかしくなってしまったテンションのままで衣装を作り上げ、それでも彼以外のモデルは居ないから、と結局ランウェイを自分で歩いた。あの時のくすくすとした笑いがまだ耳に残っている。派手な拒絶は大学内で入学最優秀生徒として目立っていた滝夜叉丸の失恋劇として面白おかしく語り草になっていたようだった。
    そしてその時に突きつけられた評価はありえないほど低くかった。
    それもそのはずである。モデルも見つけられず、しかもその衣装は微妙に滝夜叉丸の身の丈にも合っておらず、全ての調和が崩れたような有様だったからである。それも仕方がなかった。何故なら、全部彼に合うようにと作ってしまったからだった。
    その青年の名前が、綾部喜八郎だった。
    その気持ちを断ち切るために断ち切りバサミでバッサリと伸ばしていた髪を切り落とすと、それを見ていたらしいタカ丸が真っ青になって滝夜叉丸の手を掴んだのが、なんやかんや今までの付き合いとなっている。
    だから、もう終わったことだから本当に良かったのだ。
    「良くない。だってお前が、あの時…」
    誰が悪い訳でもない。なんというか、きっとタイミングが悪かった。そんなこときっと、三木ヱ門も分かっていたからこそその言葉は続かなかった。
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