Amensia風は季節を巡らせる…春を目覚めさせ、夏を呼び秋に染まり冬を連れてくる…回れよ回れ、風車…からからと、からからと…回れよ回れ…幾年月
村正は風車を持ちながら海を見つけていた。ざざ…ざざ…と波の凪いだ音が穏やかだ。
「村正さん、隣…いいですか?」
「おや、あなたは……」
村正が顔を上げると、隣に立っていたのは昨年顕現した松井江だった。表情は悲しいような、切ないような、ふたつが入り混じった表情をしている。
「どうぞ。一緒に海を見ましょうカ」
「はい。……その、風車は……」
「ああ、コレデスカ?これは、私が大好きだった人がくれたんです。くるくる回るのが、なんか人生みたいですよね」
「人生……」
「松井江、豊前江とケンカでもしましたか?」
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