Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    芦緖(あしお)

    @futa2ai

    20↑shipper。 ふたあい(二藍)はイーベン小説中心に活動中。M:I(イーベン)、 TGM(ハンボブ、ルスマヴェ)、忍たま(こへ長)の話題多め。字書きですが、絵を描くのも好き。
    通販(基本イベント開催前後のみ公開)→https://2taai.booth.pm/

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 23

    芦緖(あしお)

    ☆quiet follow

    ハン+ボブ小話。
    マーヴとルースターの帰還後の話。二人が恋に落ちたきっかけみたいなイメージ。

    #TGM
    #ハンボブ
    humbob

     マーヴェリックとルースターが乗ったF−14が着艦し大勢のクルーが歓喜に湧くなか、ボブはすっと物陰に消えて行くハングマンに気づいた。
     先程までルースターと握手を交わし自分達とも帰還の喜びを分かち合っていたのに、周囲に何も言わず消えていく姿が妙に気になってその後を追いかけた。機材に囲まれて死角になっている場所にハングマンの後ろ姿を見つけて、ボブは声をかける。
    「……よぉ、ベイビーじゃねぇか。救世主にまだ礼がしたりないのか?」
     ハングマンはいつもの表情に、いつもの言い回しをしながらボブの方に振り返った。けれどボブは見逃さなかった。後ろに回された彼の手が小さく震えていたことを。
    「おい、どうした? 俺が凄すぎて言葉もでな」
     何も言わないボブにハングマンはさらに話しかけようとしたが、その言葉を遮ってボブはハングマンの首に手を回しぎゅっと身体を抱きしめた。
    「ボブ、お前……」
    「ありがとうハングマン。彼らを救ってくれて」
     すぐに跳ね除けられるかと思っていたが大人しく抱きしめられているハングマンにボブは静かに礼を言う。ボブにとってもハングマンは救世主だった。
    「僕はルースターに『彼はもういない。死んだんだ』としか言えなかった」
    「それがお前に求められたものだろ。……大佐は分かってたんだ。お前なら冷静に判断をしてルースターを止めるだろうって」
     間違った判断はしていないと思っているが、ボブはマーヴェリックを諦めたことを、ルースターを止めきれなかったことを心のどこかで後悔していた。止めることも後を追わないことも軍人として正しいことだとしても、一人の人間として仲間を救いに行けない自分の無力さを呪った。フェニックスだって、ペイバックとファンボーイだって同じ気持ちだった。だからこそ諦めずに何度も出動を要請し二人を救ったハングマンはボブの、みんなの心も救ったのだ。
    「止めることが僕の役割なら、きっと大佐は心のどこかで君なら最速で駆けつけてくれるって分かってたんだよ。君は選ばれたんだ、彼らの救世主に」
    「っ……ベイビーのくせに大層なこと言いやがって」
     抱きしめているので表情は分からないが、少し鼻にかかった声でハングマンが憎まれ口を叩く。肩のあたりが少し温かく感じるのは錯覚ではないだろう。
     彼も怖かったはずなのだ。無線から聞こえる叫び、マーヴェリックの言葉、響く警告音。見事救出を成し遂げたその凄さの影で、間に合わなかったらと感じた恐怖はそう簡単に消えるものではない。
    「大丈夫だよ、君はやり遂げたんだ。ハングマンのおかげで僕達はこうして笑っていられる。……ありがとう、みんなの心も救ってくれて」
     ボブがより力を入れて抱き締めるとずっと早かったハングマンの鼓動がゆっくりしたものなっていく。そしていつの間にか震えの止まった手が、優しくボブの背中にまわされた。
     自信家で嫌味ったらしくて無神経なハングマン。でも実は情に篤くて仲間のために命を張れるのに弱い部分は見せられない不器用なハングマンを、ボブはこの瞬間とても愛おしく感じた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏❤❤👏❤✨😭😭👏😍😍😍😍❤❤❤❤❤☺😭😭😭❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」
    たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
    帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
     大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
     学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
    2987

    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
    4107

    recommended works