【リクエスト】お酒とその場のノリだった。東京卍會が解散して早12年、久しぶりに集まったメンバーは不動産やペットショップで成功していた。俺はと言うとやっと自分のアトリエを持つ目処が立ったところだ。
「やっぱ女はおっぱいだぞ!おっぱいに俺の夢が詰まってる!」
「いーや脚だろ太ももから足首までの曲線美。ムチッとしててもスレンダーでも愛せる。」
「いや臀も捨てがたい……あのふわふわの触り心地はやばい」
久しぶりの集合に酔ってきたのか男ばかりの飲み会では卑猥談義に花が咲く。
「で、mtyは乳派?臀派?」
卑猥談義に花咲いてんなーと思ってたところに急にmkyに話を振られる。特に乳にも臀にもこだわりは無いがスレンダーすぎるのは心配になるなぁと言うとmkyは何処かのデリヘルサイトを見せてきた。
「この中だったら誰が一番好き?」
最近のデリヘルの宣材写真って手を口元で隠して取るか、完全顔写りNGの首から下を写した写真しかねえんだな。正直顔を写しているデリヘル嬢はどれも整形顔で区別がつかない。
「この顔NGの〇〇ちゃん。」
売り文句は黒髪清楚な見た目して誰よりもえっちなDカップ!AF以外なんでもオプションOKの頑張り屋さん!と書かれてる。
「顔も出てねえし巨乳じゃねえしなんで?」
「首元のホクロがエロい。」
そう言うと皆口々にmtyってムッツリだし性癖やばそうと言う。何となく中生時代に黒髪を三つ編みにしメガネをかけて文学小説を読み耽る初恋のあの子もの首すじにもホクロがあったなーと思い出して選んだくらいだ。よくよく考えると黒髪を三つ編みにし文学小説を読む模範的生徒で真面目だった彼女がこんなサイトに居る訳ないと思いながらも、首すじにホクロがある彼女を何となく指さしてしまった。
「じゃー俺はこの子!Jカップ!」
「ケンチンは?」
「実家が風俗店だと泡嬢じゃ萎える。」
「ケンチンは素人モノが好きっと……。」
スイスイ予約をして行くmkyちょっと待て、俺が今指さした嬢も予約してねえか?
「俺このスレンダー女子がいい!」
酒がのってkztrは乗り気だったcfyはと言うと恥ずかしがってそういうのは俺はいいっす!とあわあわしていた。
「じゃあこの近くのホテルで予約したから俺らは行くか〜。」
「ちょっ、ちょっと待て!俺のも予約したのか!?」
「だってあの子が良かったんでしょ?」
それはたまたま好みの話で女の子と致したいとかそういうのは全くなかった。いや俺はいい!と言うと当日予約はキャンセル料かかるしどうせなら一発行こうぜ〜というmkyに引きずられながらホテルへ向かう。同じ階の隣同士の部屋を3つ抑えたmkyはじゃあ後でね〜なんて手を振りながら各々部屋へ入る。
デリヘルというものを利用したことの無い俺からすると全てが未知の領域だった、mkyには適当に待ってたら部屋にデリヘル嬢が来るから後は流れに任せればいいよと言われたけど流れってなんだよ。意味わかんねえよ。
コンコン
ノックがされる心臓がうるさく童貞では無いにしろ初めてのデリヘルは緊張する。この扉を空ければサイトでは見れなかった顔とご対面する事になる。mky曰く高級デリへルにしたからサイトで顔NGだけど多分可愛いと思うよ。と言われたがこっちがどういう顔で向かい入れればいいのか分からない。
ガチャーーーーーーー。
「ご指名ありがとうございます!さくら東京から参りました〇〇です!」
そこには綺麗な黒髪に白いワンピースを着た如何にも清楚をウリにしてますと言わんばかりのデリへル嬢が立っていた。
「へ……?」
「もしかして……mtyくん?」
なんとホクロの位置が似てるな〜と思ったデリへル嬢は場外ホームラン本人だった。
「ごっごめんね!?チェンジだよね!!!今空いてる子はこの2人で後は待ちが出るかな。」
慌ててスマホをタッチして運転手に客が知り合いだった事を伝えチェンジなので他の女の子の手配をと連絡している。は?ナマエさんデリへルとか夜の街とは無関係な陽の当たる道を歩んでいたじゃないかどこで踏み外したの?
彼女が慌てて電話しているスマホを取り上げると「彼女で大丈夫です、チェンジは無しで。」そう言ってスマホを彼女に返す。
「なんもしねぇからほらおいで。」
そう言うと名前さんはおずおずとホテルと部屋へと入ってきた。彼女はというとこの状況を把握しきれないのか部屋をキョロキョロしてる。
「あっ、知り合いでヤりずらいかもしれませんがプレイします?目を瞑って好きな子の顔でも思い浮かべて貰えれば!」
彼女が慌てながら言う。いや好きな子の顔でも思い浮かべてって初恋お前なんだわ。
「ここ座って。」
ベッドをトントンと叩くと隣に座る彼女は中学生時代には思いつかないほど垢抜けた美しい女性になっていた。
「あっその前にシャワー浴びましょ!!」
「今日はプレイしねえから、お話するだけだから。」
そう言うと明らかに安心する彼女。
「また何でデリへルを?中学そんなキャラじゃ無かったじゃん。」
「その……父が350万借金したまま他界しまして……。」
「あーなるほどそれは大変だったな。」
ルナマナの癖が抜けないのか彼女の頭をぽんぽんすると彼女は泣いてしまった。彼女曰く早く借金を返すためにオプションは殆どOKで正面から顧客を獲得できない彼女は酷く抱いても大丈夫をウリに顧客を獲得していたらしく優しくされたのは久しぶりだと泣いた。
「やっぱり悪いからプレイしようか?即尺でもごっくんでも何でも出来るよ!」
まだ目に涙が溜まったままだった彼女は怖い程の満面の笑みでプレイしようと言ってくる。思わず彼女を抱きしめると彼女はまた泣き出してしまった。
「大丈夫だよ、そんな無理して笑わないで。大丈夫だから。」
抱きしめて大丈夫だよ大丈夫だと伝える。三つ編みをして文学小説を読み穢れをしない中学生だったあの子がどこまで転がり堕ちれば目に涙を溜めながら笑ってプレイしようなんて言うようになるんだ。世の中を恨んだ。
「なぁこのまま一緒に逃げねえ?」
その日一人のデリへル嬢が店から飛んだ。借金は満額振り込まれmtyは350万円と少しのデリへル料金を払って初恋を買ったのだった。