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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ「雨音」
    ⏳1時間半位
    ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。

    #キバダン
    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #kbdn

    幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
    「やっぱり降ってきたか」
    「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
    「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ」
     ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。

    「あれ。買い出しに行ったキバナって傘持って行ってないよな」
    「…出発前の映像記録にも傘を持っている姿は残ってないロ…キバナ、濡れちゃうロロロ…?」
    「そうだなぁ。ロトム、いつものスーパーまでの道のりナビできるか?」
    「ダンデがロトムの言うこと聞くって約束してくれるならできるロト!」
    「ははっ!約束しよう。じゃあ、道案内よろしく頼むぜ」
    「キバナ、きっとダンデがお迎えに来たら喜ぶロ!」

     『お迎え』と言う単語に反応したのか、外を見ていたヌメルゴンがペタペタと足音を鳴らしながらダンデ達の所へとやってくる。
    「キバナのお迎え、ヌメルゴン達も行くか?」
    「ヌメッ!」
    「め〜!」
     彼女達は、ダンデからの誘いを聞いて、待っていましたとばかりに元気いっぱいの返事を返した。

     弾む足音と、それに合わせてはしゃぐ声。片腕に小さなヌメラを抱きながら、もう片方の手でお気に入りの傘を器用にクルクルと回すヌメルゴンは大層機嫌が良さそうだった。
    淡いブルー生地に、ふんだんに白のレースが装飾されたその傘は、去年日差しが強くなってきた時期に晴雨兼用で使えるからと、キバナがヌメルゴンへとプレゼントした物だった。自身の特徴から日差しがそこまで得意では無いヌメルゴンは、その可愛らしい傘を貰えたことも、キバナからレディ扱いを受けることも嬉しかったようで外出時は殆ど毎回さしている。
     水溜りから水溜りへ。軽やかにジャンプして飛び込むたびに、腕の中のヌメラから歓声が上がる。雨を最大限に楽しんでいる微笑ましい様子を、目を細めて見ながら、ダンデはロトムへと動画の撮影をお願いしたのだった。

    「うあー、マジか。結構降ってんな」
     ちょっとそこまで。なんて一人、軽い気持ちで家を出たので天気予報なんて見ていなかった。元々ガラルは雨が降ることは多いが、ここまで大降りになるとは流石のキバナも考えてはおらず、濡れそうになる買い物袋を胸に抱き込みながらスーパー入口にあるオーニングの下へと移動する。
    「完璧ミスったわー……」
     この様子では暫く止みそうにない。じわじわと靴の底から雨水達が染み込んでくる感覚に内心舌打ちしながらキバナはため息を吐く。こうなったらずぶ濡れ覚悟で家まで走ってしまおうか。なんて考え始めていた時、キバナのスマホロトムがポケットから飛び出した。
    「ロー!ダンデからメッセージロト!」
    「お、なんだろ。買い足す物とかあったのか。ロトム、開いてくれるか?」
    「お任せロト!」

    『プリンセス達がお迎えにあがるぜ!』

     メッセージにはシンプルな一言。添付されていた動画を見れば、雨の中ではしゃぐヌメルゴン達と、傘を片手にそれを楽しげに見守るダンデが映っていた。
    「うわっ可愛いしかないわ。ロトム……」
    「動画は『たんぽぽちゃん』フォルダに移動済みロト」
    「流石ロトム分かってるな」
    「そろそろダンデ達のデータだけでロトムの容量いっぱいになるロト。保存用記憶媒体の追加購入をおすすめするロ…」
    「そっか…そうだな」
     ロトムが呆れたように言ってくるが、それだけたくさんダンデと、ポケモン達との思い出が増えたという事実の方が嬉しい。
     そんなやり取りをしていると、道の向こうから賑やかな話し声と、水溜りを足で思い切り弾く音が聞こえてくる。
     さっきまで憂鬱にさえ思えていた雨音が、幸せを運んでくれる音に変わり始める。
    「こっちだぜプリンセス達!」
     幸せを待つだけなのは自分らしくない。そう思ったら居ても立っても居られず、キバナは大股でその幸せに駆け寄る。一際派手に飛び跳ねた水飛沫が、靴も服も体も濡らしていく。その感触さえも愛しくなってキバナは口元を隠さずに大口開けて笑ったのだった。

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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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