Recent Search

    marintotiko

    @marintotiko
    大逆転裁判2らくがき投下用。兄上右固定でいろいろ。リアクションありがとうございます!!👼🌟
    憂もりも投げます。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 93

    marintotiko

    MAIKING兄様が子ども化する話の子ども化する前の序章。つづきは思い付いたら書きたい。*



    「ふう……」

     アルバートがロンドンの屋敷に戻った時には、夜中の二時を回っていた。思わず、らしくないため息がこぼれる。弟たちがこの場にいれば心配させてしまったかもしれないが、幸い彼らは週末まではダラムに滞在している。

     ここ最近はMI6や社交界がらみのことで連日忙しく、ほとんど睡眠もとれていない。疲労の蓄積を強く感じる。まだしばらくこの忙しさは続くだろうから、油断すれば文字通り倒れてしまいそうだ。ウィリアムの知恵を借りれば、もう少し負担は減るのかもしれないが。

    ーーーいや、このようなことでウィルに頼るなど。

     だいぶ弱気になっていると、アルバートは自嘲した。神のごとき知能をもつ弟に頼るのは、あくまで《計画》やそれに準じる事のみと決めている。たとえどんなに時間がかかろうと、人間ができることは神にすがることなく人の手で解決するべきなのだ。そもそも、自分の頭脳などウィリアムの半分程度の働きしかできない。それならば、彼の半分程度の睡眠時間で十分であるはずだ。

     ベッドの中に入ってもなお現状の打開策を考え続けるアルバートの心身は、その日も完全に休まることはなかった。




    2019

    marintotiko

    MAIKING誘拐に関する話。
    1万字をこえちゃったので完成版はしぶへ。
    *




     新造アヘン流通組織を巻き込んだ狂言誘拐は、すべてウィリアムの筋書き通りに進んだ。

     アルバートの部隊の者たちに無事《救出》されたウィリアムは、形式的な事情聴取ののちすぐに解放されることとなった。事後処理のため帰宅できないと思われたアルバートもまた、ウィリアムに付き添い帰ることが許された。どうやら、兄弟の涙の再会を考慮されてーーー実際は、組織と繋がっていた軍上層部の一部がてんやわんやになっているためだと思われるがーーー詳細な報告は明日で良いということになったらしい。もっとも、兄が真に報告すべき相手は、陸軍の印度方面隊の直接の上司などではないのだろう。

     モランやフレッドとも途中で合流してロンドンの屋敷に帰ると、待機していたルイスに大袈裟なまでに無事を喜ばれ、腫れた左頬に気づくなり憤慨して飛び出して行こうとする彼を宥めるのに苦労した。喜んだり怒ったりとひとしきり騒いだルイスは疲れたのか、いつもより早めに寝室に入る。モランたちもすでに自室に戻っていたから、部屋にはウィリアムとアルバートの二人きりになった。

    「兄さんも、明日は大事な報告があるでしょう。そろそろ、休まれた方が 3729

    marintotiko

    MEMOしぶにもあげたウィルアル試作*



     モリアーティ家の屋敷の中でもっとも狭く、ベッド以外の家具などない部屋が、仮にも養子として迎えられたルイスとその兄に割り当てられた部屋であった。それでも、今日は横になれるベッドがあるだけマシな方だ。身体の小さい二人でも十分横になれない物置に、一晩中閉じ込められることも珍しくない。もっとも、今晩に限ってはその心配はないだろう。スクールの寮から帰ってきている長子のアルバートが目を光らせているためである。逆に言えば、この家で彼がルイスたちのために出来ることは、たったそれだけのことだった。

     そろそろ眠ろうかというところで、部屋のドアがノックされる。こちらにそうした礼儀を尽くすのはこの家でたった一人しかいない。兄もたいして警戒せずドアを開けると、その人物を招き入れた。

    「…すまない、もう眠るところだったかな」

     思った通り、訪問者はアルバートであった。彼はこれまでもたびたび、他の家族や使用人に見咎められぬよう、こうしてこっそり夜中に訪問してきていた。

     手に持ったバスケットには、パンや干し肉、フルーツが詰め込まれている。盗み食いなどしたこともなさそうな顔をして、こっそりキッ 4172

    marintotiko

    MEMO第二話の冒頭ダラム屋敷での、ルイスと兄様の捏造話です。ウィル←アル要素がある。*


    「さて。ウィリアムが帰って来るまでに、あらかた片付けてしまおうか」

    「はい、兄様」

     返事をしつつも、なんとなく漂う気まずさからルイスは目を逸らした。

     実兄・ウィリアムが数学教授を勤めるダラム大学。その近くに家具つきの屋敷を安価で手にいれたアルバートの手腕はたしかに見事なものであった。ウィリアムの通勤時間を大幅に短縮できることは、ルイスとっても喜ばしいことだ。

     そのウィリアムはまだ、この新しく購入した屋敷に来ていない。大学の事務で転居の手続きとーーーついでに先日抹殺した貴族院議員の件の後始末も済ませてくるつもりなのだろう。共に行動できないのは残念であるが、実兄が帰るまでにこの屋敷を完璧に仕上げるのが今日の自分の仕事だと割りきっている。

     けれど、ここでひとつ、ルイスにとって大きな誤算が生じた。普段はロンドンに住むアルバートが、わざわざ軍の仕事を休んでまで、屋敷の掃除の手伝いに名乗り出たことである。兄弟三人で行動するか、あるいはアルバートが単独行動することが多いため、アルバートとルイスが長時間完全に二人きりというのは、ほとんど初めてのことであった。

    「兄様は軍のお 3766

    marintotiko

    MOURNING兄様とシャーリーがエンカウントしてしまう話(未完)。6巻以降10巻未満くらいの時系列。
    ウィルアル風味。
    *


     人払いしたユニバーサル貿易社の来客室で、アルバートはある人物と相対していた。

     よほど重要な案件でなければ彼ーーーマイクロフトがここに足を運ぶことはない。今回の作戦の報告自体はさほど重要性は高くなかったから、なにか別の目的があるのだろう。

    「さて、ここからは私の独り言なのだが…」

     思った通り、帰りがけにマイクロフトは芝居がかった口調で口を開く。独り言云々については、アルバートがまだ陸軍中佐であった時のそれの意趣返しに違いない。

    「ディオゲネスクラブの会員が複数名、ここ最近姿を見せなくなっている。もちろん、単純に他のクラブに興味が移ったというなら問題ないが…」

     彼はそうとは思っていないから、こうして独り言を装った情報提供をしているのだ。

    「我がクラブの特性上、会員の素性や動向を詮索することはできない。問題がクラブの中で起こっているわけではないのでな。そして、現状あくまで噂レベルの話であるが、どちらかと言うと君たち向きの問題であると思う」

    「…………。お話はよく分かりました。当然、クラブに入会するための推薦状は長官が書いてくださるのですよね」

     マイクロフト 4476