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    hjm_shiro

    @hjm_shiro

    ジャンル/CP雑多

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    hjm_shiro

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    凪玲/相違ありません。
    ⚠一時的に監獄から出てきている

    付き合って一ヶ月経つのに、凪が思いの外なにもしてこないから、なんで?ってなる玲王の話。

    #ngro
    #凪玲
    #なぎれお
    lookingHoarse

     付き合うって、こんなものか、と思う。

     凪と付き合い初めて一ヶ月が経っても、今までの関係性に恋人という肩書きがついただけで、特に変わりはなかった。
     いつも通り学校へ行って、授業を受ける。放課後になるとサッカー部に顔を出して、絵心から渡された特別メニューをこなしつつ、かつての仲間たちと一緒にサッカーをする。そのあとは凪と一緒に帰って、凪の部屋に上がったり、上がらなかったり。そんな感じで、凪と恋人同士になったというのに、それらしい触れ合いが一切なかった。
     もしかしてコイツ、性欲とかそういうものがないんじゃないのか――と、邪推してしまうほどである。それぐらい凪は俺に触れてこない。いや、最初のうちは触れてくる素振りがあったけれど、今では全くだ。ちょっといい雰囲気になっても、すぐに凪の方から離れていってしまう。


    「お前さー」
    「んー?」

     凪がベッドに寝そべりながら、日課であるオンラインゲームに勤しんでいる。その横顔を盗み見ながら俺はため息をついた。
     仮にも恋人が同じベッドの上に座ってんだけど? 何か思うところがないわけ? と若干呆れつつ凪を見下ろす。ふわふわの髪が揺れて、凪が顔を上げた。

    「どうしたの? レオ」
    「いや、お前さ、せっかく俺と一緒にいるんだから、何かしたいとか思わないわけ?」
    「というと……?」
    「だからッ!」

     察しろよ、クソ。と、心の中で悪態をつく。凪は本気で質問の意味が分かっていないようだ。こてんと首を傾げている。
     一九〇もある大男のくせして、面倒くさがりな性格のせいか、常に動きがゆったりしている。フィールドを駆け回るときはそうでもないのに。普段は面倒くさがりで甘えん坊。そのせいで、恋人であることを抜きにしても、凪の仕草がいちいち可愛く見えた。
     なんていうか、母性本能をくすぐるところがあるというか。ついつい構ってあげたくなるし、面倒を見てあげたくなるし、放っておけない。きっと、そんなふうに凪のことを見ている女子たちも多いと思う。
     ブルーロックから一時的に解放されて戻ってきてから、凪の人気はうなぎ登りだ。たまに、凪の連絡先を俺経由で入手しようとする生徒もいるぐらいである。もちろん、丁重に断っているけれど、いつか凪に直接アタックしてくる奴も出てくるかもしれない。そうなったとき、俺は黙って見ていられるだろうか、と想像して気分が悪くなった。

    「ごめん。ずっとゲームしてるのヤだった?」
    「いや、別に。続けろよ」
    「じゃあ、そっぽ向くのやめてよ」

     起き上がった凪に両頬を手で包みこまれる。その予期せぬ接触に、思わず距離を取った。パッと凪の手が離れる。

    「や……その、わりぃ……」
    「ううん。俺も急に触っちゃったし……。で、なに?」

     凪がじっとこちらを見つめてくる。
     その大きくも黒々とした瞳に吸い込まれそうだ。そのまま、少しかさついた唇に自分の唇を押し当ててみたいと思う。というか、少し強引にでも奪って欲しいとすら思う。けど。

    「……なんでもない」
    「なんでもなくはないでしょ。ちゃんと言ってよ。俺、言われないと分かんないよ。また前みたいにすれ違いたくないから、レオの気持ち、教えて欲しい」

     凪からの真摯な言葉に気持ちが揺れる。それならば、と口を開いた。

    「……じゃあ言うけど、お前、何もしてこねぇじゃん」
    「えーっと……。つまり……?」
    「だから! 普通、付き合ってたら手繋いだり、あと、キス……とか…………」

     するもんなんじゃねーの、という声が段々小さくなっていく。
     恥ずかしさで頭がパンクしそうだ。なのに、凪は何も言わないまま、俺のことをじっと見つめた。居たたまれなくなって、責めるみたいに言葉を重ねる。

    「お前は俺と、そういうこと、したくねぇのかよ……」
    「いや、したい。したいです」
    「ふはっ、なんだよ。したいです、って」
    「だって、レオ、逃げちゃうから……」
    「逃げる?」
    「そうでしょ? さっきも逃げたじゃん。っていうか、付き合う前はレオの方から触ってくれたのに、付き合いだしたら全然触ってくれなくなったから、俺に触られるのが嫌なのかなって」
    「はぁ!? んなわけねぇよ!」
    「でも、全然触ってこないじゃん」
    「あー……確かに……?」

     そう言われて今までのことを思い返す。
     凪の言う通り、ちょっとだけ逃げていた……かもしれない。でも、嫌悪感から逃げてたわけじゃない。恥ずかしさから来る逃げだった。

    「わりぃ、そんなつもりはなかった」
    「本当に? じゃあ、キスしていい?」

     急に距離を詰めてきた凪にビクッと肩を跳ね上げる。逃さないとばかりにまた両頬を掴まれた。ぴたりと額同士がくっつく。

    「レオ、顔真っ赤」
    「見んなよ……!」
    「もしかして、恥ずかしくて逃げてたの?」
    「ちがう」
    「違わないでしょ」

     薄っすらと開いた唇の上を、凪の指が滑っていく。ただ見つめ合っているだけなのに、心臓が破裂しそうなほど煩かった。
     あれだけ性欲はないんじゃないか、とか、何もしてこないなんて、と憤慨していたのに、いざ凪を目の前にすると恥ずかしさと緊張でどんどん呼吸が浅くなっていく。全身の血が沸騰したみたいに、体温が上がっていく。

    「俺ね、ずっとレオといろんなことしたいって思ってたよ。でも、すぐ逃げちゃうし、レオに嫌われないようにしなきゃって思ってたんだけど……」

     ふにっ、と唇同士が軽く重なる。本当に一瞬だった。凪が唇の感触を確かめるかのように、またしっとりと口づけてくる。

    「こうやってレオの方からアプローチしてくれたってことは、レオもいろいろ期待してたってことだよね?」

     すりすりと耳たぶの裏を擦られる。そのまま、なし崩し的に押し倒された。可愛いね、と額の上にもキスが降ってくる。
     だから強がって「ちがう」と答えたけれど、凪は「もう逃げないでね」と、俺の腕をシーツに押し付けた。
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    Replies from the creator

    hjm_shiro

    DOODLE凪玲/【最新】nagi_0506.docx
    ⚠監獄内の設定を少しいじってる

    凪に好きなものを与えて、うまくコントロールしているつもりの玲王と、いやいやそうではないでしょ、って思ってる周りの人たちが思わずツッコんじゃう話。
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    「たまにレオってすげぇなって思うわ」

     千切がぽつりと呟く。千切は本場よろしく油でベチャベチャになった魚――ではなく、さっくりと揚がったフィッシュフライをフォークに突き刺すと美味そうに頬張った。玲王としては特に褒められることをしたつもりはないのだが、ひとまず適当に話を合わせて、そう? と軽く相槌を打つ。

     新英雄大戦がはじまってから、選手たちは各国の棟に振り分けられている。それぞれ微妙に文化が異なり、その違いが色濃く出るのが食堂のメニューだった。基本的には毎日三食、徹底管理された食事が出てくるのだが、それとは別に各国の代表料理も選べるようになっていて、それを目当てに選手たちが棟の間を移動しに来ることもあるほどである。今日はフィッシュ&チップスと……あとはなんだったかな、と思い出しつつ、玲王はナイフでステーキを細かく切った。そうして隣にいる凪の口にフォークを突っ込む。もう一切れ、凪にやろうとフォークにステーキを突き刺したときだった。千切の隣に見知った顔ぶれが座った。
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