Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    途綺*

    @7i7_u

    🐑🔮(🐑) / 画像投稿した作品はTwitter限定公開です

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💌
    POIPOI 31

    途綺*

    ☆quiet follow

    🐏🔮//愛の理由を教えて

    相手のことを好き過ぎて喧嘩にならない話。惚気話に巻き込まれる不憫な🗡がいます。

    #PsyBorg

    甘さを控えた爽やかな味を舌で味わって、鼻に抜ける香りを堪能しながらゆっくりと飲み下す。もう何度も味わって覚えているのに、今夜も格段に美味しかった。

    「浮奇、なんて言った?」

    うっとりと酔いしれる浮奇を現実に戻すように、隣に座ったショウトが肩を掴んで揺らしてくる。行き慣れたバーであり一緒にいるのが昔馴染みとあって、やや飲みすぎている自覚のある頭がつられて揺れて浮奇は眉を顰めた。

    「揺らさないで、吐く。」
    「飲みすぎなんだよ!」

    相変わらず良くも悪くも騒がしい友人は、なぜだか複雑な顔をしている。これ以上揺らされる前にと、浮奇はグラスを置いて向き直った。

    「ふーふーちゃんを好きすぎて喧嘩にならないんだよね、って言ったの。」
    「はぁ?」

    心底意味が分からないと言いたげなショウトの顔が面白くて肩を揺らせば、不満げに睨みつけられる。そんな可愛い瞳で睨まれてもひとつも怖くないけれど。

    「惚気話なら聞くの辞める。」
    「ふーふーちゃんの好きなところはいっぱいあるんだけど、」
    「聞いてた!」

    よく吠える犬ほどなんとやら…と失礼なことを考えながら、ショウトの声は無視して話を続ける。結局、文句を言いながら最後まで聞いてくれるのは分かっているから。

    「例えばさ、」

    例えば、俺の言葉を上手く交わすところ。最近、少し太ったって話をしたら「運動しなきゃな」なんて少し意味ありげな声音で言うから、俺はてっきりそういうことだと思い込んで。珍しく積極的な彼にドキドキしてたのに、ドッゴのリードを手渡されて散歩に連れ出されたこととか。

    あとは、彼の深い声。俺がしょうもないことで怒って「ふーふーちゃんの声なんて聞きたくない」って言った日の夜に、アルバーンとコラボした配信での罰ゲームでLegatusのボイスを披露させられててComfydantsに混じって俺も被弾したこととか。笑わないでよ、だってふーふーちゃんの声は響くんだもの。

    ベッドで抱きしめられる時も好き。ふーふーちゃんの手足って金属だから冷たいのに、後ろから抱きしめられると背中があったかくて安心するんだよ。ちょっと不器用な義肢で壊れものを触るみたいに俺の髪を撫でてくるから、何に怒ってたか忘れちゃうんだよね。

    でも、俺だってちゃんと喧嘩しようとしたことはあるよ。お出かけ中に怒ったことがあるんだけど…だってふーふーちゃんってばその日に3回も女性に声掛けられてたんだよ!カフェで押し問答してたらあまりにもムカついて「もう帰る」って立ち上がったんだけどね。ふーふーちゃんが俺のコートの裾を手のひらで抑えてて。危うくコケるところだった。余計にイライラして振り返ったら「お前の帰る場所は二人の家だし、鍵を持ってるのは俺だろ。どこに帰るつもりだったんだ?」ってふーふーちゃんも怒ってて。あまりにもセクシー過ぎない?かっこよすぎて死んじゃうかと思った。

    あとね、これはショウトだから言うけど、ふーふーちゃんと喧嘩して「1週間セックスしない」って言ったことがあって。…黙って聞きな、ビッチ。それを言った日に洗面所で偶然にお風呂から上がったふーふーちゃんに鉢合わせちゃって。あとはわかるでしょ?あんな良い体してるふーふーちゃんが悪いよ。そもそも1週間も俺が耐えられるはずがない?…うるさいな。

    「こんな素敵な人を相手に喧嘩するなんて無理な話でしょ?ふーふーちゃんほど魅力的な人なんて、他にいないよ。」
    「それは大袈裟じゃないか?」

    聞き馴染んだ声が後ろから聞こえて、俺は目を丸くしながら振り返った。そこにいたのは、つい今まで話題に出していた愛しい人。

    「ふーふーちゃん!?」
    「迎えが必要らしいから来たんだが、要らなかったか?」

    ふーふーちゃんが反対側にいるショウトへ視線を向けたのでつられて振り返ると、ショウトも驚いた顔をしていて、俺は首を傾げた。

    「浮奇の惚気話を聞かされてるって連絡しただけなんだけど?」
    「それは浮奇が酔ってるって合図だろ。」
    「そうなの?」
    「酔ってる浮奇は俺の話ばっかりになるから。」

    俺の話を素直に聞いてるフリをしてふーふーちゃんに連絡していたショウトに思うことがない訳ではないけれど、そんなことはどうでもよかった。何か熱いものが込み上げて、だけど上手く表現する言葉が見つからなくて。

    ーーーだって、それって、そんなの、

    頭上にハテナを浮かべるショウトを尻目に、俺は人目も憚らず高く脚の浮くスツールから滑り落ちるように降りてふーふーちゃんの首元へ腕を絡めながら抱きついた。「おっと、」なんて声を上げるのにしっかりと抱き留められることにすら熱が上がる。

    「どうして俺はこんなにも君が好きなの?」
    「さぁな。」
    「ちゃんと責任取って。」
    「そのつもりだから俺から離れるなよ。」

    今日のふーふーちゃんはなんだか積極的で、また好きなところが増えていく。胸元に額を擦り付ければそっと頭を撫でられた。きっと普段より飲み過ぎたお酒で蕩けているだろう瞳へ愛を乗せて見上げれば、こちらを見つめ返す愛おしげな視線と交わる。その唇へ触れたくて背伸びした俺を遮るように悲鳴が響き渡った。

    「Get me out!」

    すっかり忘れてた。ショウト、ごめんって。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖☺☺☺☺☺☺💖☺☺☺👍👏👏💜❤👏👏👏👏❤😏😏👍👍👍❤💜❤💜👍👍👍💒💒💒💍☺☺👍💖💒🙏☺💒💖💞💒👍💖💒💒💒💖💖💕🍼💞👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    途綺*

    DONE🔮🐑//貴方を護る星空の祈り

    少し疲れて夢見が悪くなった🐑の話。「君の知らない真夜中の攻防(https://poipiku.com/6922981/8317869.html)」の対になるイメージで書きましたが、未読でも単体で読めます。
    人間にはそれぞれ活動するのに適した時間帯があるのだと、ファルガーが教えてくれたのはいつのことだっただろう。朝が得意な人もいれば、夜の方が頭が働きやすい人もいる。だからそんなに気にすることはないと、頭を撫でてくれたのを覚えている。あぁそうだ、あれは二人で暮らし始めて一ヶ月が経った頃だった。お互いに二人で暮らすことには慣れてきたのに、全くもって彼と同じ生活リズムを送れないことを悩んでいた。今になって考えれば些細なことだと笑えるけれど、当時は酷く思い悩んで色んな人に相談して、見兼ねたファルガーが声を掛けて「心地よくいられること」をお互いに最優先に生活しようと決めたのだった。




    そんなやり取りから数ヶ月。いつも通り深夜に寝室へ向かった浮奇は、すっかり寝入っている愛おしいひとの隣へ潜り込もうとベッドへ近づいた。静かにマットレスへ膝を付いて起こしていないことを確認しようと向けた視線の先で、眉を顰めて時折呼吸を詰めるファルガーを捉える。
    2893

    related works

    recommended works