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    手繋ぎ御剣、マネしたら危ない。忘羨、追凌もでます。

    #曦澄
    #忘羨
    WangXian
    #追凌
    chasingLing

    手繋ぎ御剣「家族大集合じゃん」

    前方に藍曦臣と江澄、思追に金凌を見つけ、ご機嫌な声をあげたのは道侶と姿を現した魏無羨。
    不浄世での清談会後、各々雲深不知処を目指していると偶然この状況が生まれた。

    「見ろ、江澄!御剣も板についただろう!」

    再び結丹を成して剣に乗る義兄に、内心喜びを噛み締めていたが、そんなことはお首にも出さない。
    魏無羨は音もなく横に着け、弟の腕を引っ張ると、

    「放せ!落ちたいようだな!」

    つれなく噛み付かれた。藍曦臣はそっと後方に下がり藍忘機に囁いた。

    「久しぶりなのだから、2人で遊ばせてあげよう。」

    幾分不満気だが、兄の言うことに大人しく頷く。

    「なんだよー。久しぶりに兄ちゃんと手繋ぎ御剣しよう。」

    唇を尖らせる魏無羨が聞き慣れないことを言う。

    「手繋ぎ御剣というのは雲夢の若い仙師たちがやる遊びですよ」

    と、金凌は呆れたように藍氏双璧に説明した。特に親しい友や好いた相手とやるものだということは伏せておく。絶対に面倒が起きるので。

    「やめろバカ!おまえは子供か!」

    江澄が怒鳴っているが、無理に振り解こうとはしていない。

    「本当にお嫌という訳では無いようですね」

    白い袖で口元を隠し、思追がおかしそうにする。

    「金凌、僕たちもやろう!」

    「え!?は!?」

    わー!という金凌の声が前方に小さくなっていくのを微笑ましく眺めながら、双璧は互いの道侶を静かに追った。

    「おや、ご覧忘機。」

    兄に促され魏無羨と江晩吟を見れば、果物や菓子を投げあっている。ひとつも落とさずに。どうやら「食え!」と魏無羨が投げ、「要らん!」と江晩吟が投げ返しているようだった。

    「手繋ぎ御剣の次は曲芸御剣かな」

    ふふ、と漏れる兄の笑い声に藍忘機も嘆息した。

    「阿澄もあれで嬉しがってるんだよ」

    どこをどう見ればそう見えるのは分からなかったが、魏嬰も柔らかい顔をしていた。

    「座学の時に戻ったかのようです」

    藍忘機が言うと、藍曦臣は濃い琥珀色の目を優しく細めた。さて、と呟いたかと思えばあっという間に加速し紫の背中の隣へ並ぶ。

    「阿澄、私も手繋ぎ御剣してみたい」

    「貴方まで何を言い出す」

    魏無羨に握られている方とは反対の手を、今度は藍曦臣に握られ眉を寄せるが……嫌がってはいない、と両脇の2人は判断した。

    「家規で禁じられているんじゃないですか?」

    文句を言いたげな魏無羨に「全部覚えているんだから分かるだろう」と言う前に、黒い衣は風に攫われた。かに思われたが、無論藍忘機だった。左手に道侶、右手に随便を持ち、疾風のように空を駆ける。

    「藍湛ー!今可愛い弟と話してたのにーーー!!!」

    声は遠ざかり、2つの背中は小さくなる。





    「チッ……なんなんだ……」

    独り言ちる手をニギニギとすると、ぎゅっと握り返してもらえた。

    「阿澄もこうして誰かと遊んでいたの?」

    眼下に長閑な農村を見ながら尋ねた。新緑は眩しく、まばらな人は活気に満ちている。

    「あいつだけだ、俺の手を握るようなやつは」

    「それと私」

    訂正を当然だと言うように鼻を鳴らした。

    「……楽しいか」

    「ええとても」

    幸せそうに笑む顔に、江澄も好きなだけ握らせておこうという気分になる。さっきみたいに騒々しいのも良い。この穏やかな時間もいい。

    「魏無羨は家族と言った」

    すりすりと指を撫でられる。

    「家族ですからね」

    感慨は深い。家族を喪い、家族を得た。家族の形を構成する人は変われど、やはり特別な居場所だ。目には見えないけれど大切な。
    分かっているよと、また握られる。

    「不知処が見えるまでだからな」

    「はい」

    聞き分けのいい子供のようだなどと思いながら、年上の男に肩を寄せる。空に描く軌跡の速度は、どちらともなく落ちていった。
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     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
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    「魏無羨から伝言があると聞いたんだが」
    「ええ」
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    「何故でしょう」
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     江澄は心中で魏無羨を呪った。初めからそう言えばいいではないか。
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     江澄は西瓜に視線を移した。赤い。果汁が滴っている。
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    「聞いてほしい。俺はあなたを欺いた」
     はっきりと藍曦臣の顔が強張った。笑顔が消えた。
     江澄は膝の上で拳を握りしめた。
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