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    以前書いた「ネクタイ」の後日談。
    最終軸ココイヌ

    #ココイヌ
    cocoInu

    ネクタイ(の後日談) 年度末も年度末。オレは部下に指示を飛ばして仕事を捌いては着々と片付けていて、それがいつもに増して追い込むように取り掛かるにはある一つの目的を達成したいがためだった。それは来る4月1日から数日、有給休暇を取得してイヌピーと2人きりで幸せな誕生日を過ごそうとしているからである。
     イヌピーの誕生日も同様で、オレのと合わせて年2回、この期間は何が何でも休みを取ることにしている。会社を立ち上げた当初はこの方針について稀咲と折り合いがつかず「アンタ社会人だろうが」と至極真っ当なことを言われて揉めることもあったが、オレがライフワークバランスの重要性をしつこく訴え続けると根負けしたのか、仕事に支障がなければ休んでいいことになっている。そのためには多少の無理をするのも当然だし、もちろん根回しだって抜かりない。そもそも、遠慮がちに「――今年は休み取れそうか?」なんてイヌピーに言われたら、誰がノーと答えられるのだろうか。
     そんな激務もあと一週間で終わりを迎える今日、今年もオレの勝利確定目前だった。それでもやはり疲れはたまってしまうもので疲弊で帰路に着いた昨夜だったが、思いもよらずイヌピーに甘えさせてもらってオレは完全復活した。でも、昨日の可愛すぎるイヌピーをついつい思い出してしまってニヤけが止まらないのは唯一の欠点かもしれない。ふわっと、情事の夢想に飛んでいきそうになるのを、これはいけないと軽く頭を振って気持ちを引き締める。そして、仕事に取り掛かるためにエグゼクティブチェアで姿勢を正して座り直したその時、扉を控えめに3回叩かれた。
    「――どうぞ」
    「失礼致します」
     現れたのは有能な秘書である。彼女は朝の挨拶もそこそこに今日のスケジュールを確認したいのと、追加で予定を入れたい連絡を受けたと言ったので、オレはその場ですぐに判断して調整をした。かしこまりましたと秘書が頭を下げて退出する直前、彼女はさらにこう付け加えた「――そのネクタイ、スーツとよく合っていて素敵ですね」
    「あぁ、これ?」
     ふいに口元が緩み、視線を自分の胸元に落とす。
    「これはオレの恋人が選んでくれてるんだよな。センスがよくて」
     秘書は、まぁ素敵とか言ってた気がする。仕事上の軽い雑談のようなものかもしれないが、オレの胸は喜びでくすぐられた。――しかし、選んでくれたと答えたものの、実際はイヌピーに無理矢理選ばせているのが事実であった。元来、イヌピーはネクタイとスーツの色合いなんて全く興味がなくって、ただオレが二択に絞ったネクタイを見せて「どっちがいい?」と訊くから何となく良さそうな方を指さしているだけ。それでも恋人がオレのためにネクタイを選んでくれたのだと頭が都合よく変換してくれるおかげでオレのやる気は上がり、こうしてモチベーションを保つことができるのだ。
     秘書が退出する後ろ姿を見送ったあと、そっとネクタイを一撫でする。誕生日まで一週間。オレは残りの業務を片付けるべく大きく息を吸ってパソコンに向かって手を動かし始めた。
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    somakusanao

    DONEココのすきなおにぎりを考えていたら、いつのまにか書いてました。
    ドラケンとイヌピーの話。
    おにぎりは作らないことになったので、タイトル詐欺です。
    そうだ、おにぎりをつくろう「ドラケン、おにぎりの具はなにが好きだ?」
    「うーん。鮭かな」
    「鮭か……。作るの面倒くせぇな」
    「待て待て。オマエがオレに作るのか?」 

     言葉が圧倒的に足りていない同僚をソファーに座らせて説明を求めてみたところ、「ココが忙しそうだから、おにぎりでも作ってやろうと思って」と言う。それはいい。全然いい。九井はきっと喜ぶだろう。

    「なんでオレに聞くんだよ……」

     乾は九井にサプライズをして喜ばせたいんだろう。それは安易に想像できる。
     だがしかし、イヌピー同担拒否過激派九井が面倒くさい。きっと今もこの会話をどこかで聞いているはずだ。最初の頃は盗聴器盗撮器の類を躍起になって探していた龍宮寺だったが、ある時期に諦めた。ようするに九井は乾の声が聞こえて、乾の姿が見られればいいのだ。盗聴器と盗撮器の場所を固定にしてもらった。盗聴盗撮される側が指定するっていうのもなんだかなと思いながらも、あらかじめ場所を知ったことで龍宮寺の心の安定は保たれる。ちなみに乾は中学時代から九井につねに居場所を知られている生活をしているので、慣れ切っている。
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