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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④延長戦
    8日目
    USJに行く二人

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    USJに行く二人「ユニバに行ったことがない!?」
     黒死牟は一斉に言われ、後ろに仰け反った。
    「そんなに珍しいことか?」
    「え? 修学旅行とかで行きませんでしたか?」
    「中学はカナダで、高校はオーストラリアだった」
     忘れていた。こいつも無惨に負けず劣らずのセレブのボンボンだった……と皆が内心舌打ちしている時に無惨が登場した。
    「無惨様はユニバに行ったことがありますか?」
    「ない」
    「え!?」
     京都生まれ京都育ちなのにない!? と皆が驚いていると、オープン当時は興味がなく、その後東京の大学に進学、海外留学などがあったので、行くタイミングがなかったという。
    「そもそもテーマパークなど興味ない。私を何歳だと思っているのだ」
     驚く皆の反応に冷ややかな言葉を返す無惨に皆が黙り込んでしまう。
    「ネズミの国はよく違う女と行って週刊誌に撮られてたのに……」
     零余子が呟くと無惨に鬼の形相で睨まれ「何だ、言ってみろ」と脅され、最終的には泣き出してしまった。
    「そうですか! 先生も黒死牟殿もユニバに行ったことがないのですか!」
     重苦しい空気を童磨が一気に変える。
    「でしたら、今度も大阪出張の時、お二人で『視察』だと行ってきたら如何ですか?」
    「え?」
     二人が声を揃えて言う。
    「もしご不安でしたら俺が案内致しましょうか?」
    「いらん」
     二人揃って答えたので「仲良しだけど、いけずー!」と童磨は笑う。
    「まぁ、俺もお二人のデートを邪魔したくはないので! でも、一度、お二人で行ってみると良いでしょう! ゴールデンウイークが終わった頃が狙い目みたいですよ」
     楽しんで来て下さいねー! と童磨は笑顔で手を振って去っていく。まるで嵐が過ぎ去った後のように事務所内はしんと静まり返っている。
    「……で、お前は行きたいのか?」
    「え? 私ですか?」
     この場合、どちらが正解か、黒死牟は必死に考えた。
     もしかして無惨も行きたいが、あんなことを言った手前、行きたいと言い出せないから、ここは自分が「行きたい」と言って「仕方ないなぁ、連れて行ってやろう」という流れにした方が良いのか。
     それとも、別に行きたくないのに自分が「行きたい」と言ってしまうと、渋々付き合うことになり迷惑するのではないか。
     いや、「そんな子供じみた場所に行って何が楽しいのだ」と皆の前で馬鹿にされる可能性もある。
     だが、「別に行きたくない」と言ってしまうと「何だ、私とは行きたくないのか?」と因縁をつけられる可能性もある。
     答えが出ない。詰んだ。
     黒死牟が口から煙が出そうなほどに悩んでいる姿を見て、無惨はスマホで検索を始める。
    「……そうだな、一度行ってみるか」
    「無惨様!?」
    「行かないと、ずっとお前らに馬鹿にされるだろう」
     むっとした様子で無惨が言うと、黒死牟が目を輝かせる。
     やはり興味があったので行ってみたいと思っていたので、無惨に感謝した。
    「黒死牟」
    「はい」
    「視察と言わず、休みにしろ。がっつり楽しんでくるぞ」
    「御意!」
     黒死牟は大急ぎでスケジュールの調整を始める。そんな黒死牟の耳元に唇を近付けた。
    「大阪の中でも、とびきり良いホテルを予約しておけ。折角の二人旅だからな」
     甘い声で囁かれ黒死牟の顔は真っ赤になる。日中、めちゃくちゃ楽しむ気でいたけど、そんな最高な夜が待っているのかと思うと、白紙に出来る予定は完全に潰していった。
     零余子や獪岳にチケットの種類を教えてもらいながら予約し、ユニバから一番近いホテルのラグジュアリーな部屋の予約も完了した。
    「これで完璧です! 無惨様!!」
     仕事が終わり、羽田空港へ向かうタクシーの中で、黒死牟は嬉しそうに動画サイトでユニバの回り方を研究している。そんなものを見なくても、無惨が金に物を言わせてエクスプレスパスを全て使ったので、アトラクションに並ぶ必要はないのだが、予習大好き黒死牟はスムーズにパーク内を回る為、ガイドブックを読み漁り、付箋だらけにしていた。
     関西国際空港に到着し、ユニバのメインゲートに一番近いホテルにチェックインしてから、無惨はバスルームから見えるパークの夜景を見ながら一緒に風呂に入ろうと誘うが、黒死牟は荷解きをしつつ、またガイドブックを読み始めた。
    「今夜は早く寝て、明日は朝からユニバで楽しみますよ!」
     もう色気も何もない状態で、子供のように目を輝かせている黒死牟を見て、無惨は一人でシャワーを浴び、シャンパンを飲みながら眠ってしまった。
     いよいよ明日だ。黒死牟は嬉しそうな表情で、無惨の隣に寝転がった。
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    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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