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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック
    22日目

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    銀座 銀座四丁目の交差点に立ち、時計台を眺めていた。
    「あの時計塔が出来て90年になるのだな」
     ライトアップされた建物を見上げ、無惨が呟いた。
    「早いものですね……当時の元号は……」
    「明治だな。まぁ、今の時計塔は昭和になって出来た二代目だ」
     無惨はボルサリーノのフェルトハットを被り直し、黒死牟と共に夜の銀座を歩いた。
    「大正くらいになると、夜も随分過ごしやすくなったと思ったが、近代化が進むにつれ、昼に拘る理由がなくなるほどに、夜は明るく、賑やかになったな」
    「そうですね……この銀座に関しては……夜の方が華やかな場所もございますね……」
     無惨はこの銀座という街を甚く気に入っていた。流行りのものが何でも手に入り、高級感があり、成熟した街だとよく話していた。
     着飾ることが好きな無惨とは反対に、頑なに洋装を嫌がった黒死牟だが、第二次世界大戦が終わった頃より無惨にしつこく言われ、洋装で、髪も短く整えた。
    「お前は元々目を見張るほどの美男子なのだから、何を着ても似合うのだ」
     黒死牟を大きな着せ替え人形とでも思っているのか、無惨は嬉しそうに何着も服を買い与えた。大柄な黒死牟に合う服は既製品では少ない。その為、無惨は自分のスーツを仕立てる時に、黒死牟のスーツも共に仕立てるよう注文していた。
     洋装に合わせた所作も身に着けたので、これで外出しやすくなると思ったが、無惨と黒死牟のずば抜けて優れた容姿は人の目を引き、かえって出歩きづらくなってしまった。そして、今ではスマートフォンの普及で一億総カメラマンの状態だ。何度もSNSに載せられ、後をつけられることなど日常茶飯事で、モデルにスカウトされることもしばしばあった。
     人の目があるせいで以前のように動きが制限されるという不便さがあったが、時代の流れに合わせて何とでも姿を変えることが出来る無惨は、一瞬でその環境に馴染んでしまった。
     今も時計塔を二人で眺めているだけで、何度も声を掛けられている。無表情で無言の黒死牟の横で、無惨は愛想笑いを浮かべ丁寧に応対している。「神対応」などと言われ、苦笑いすることもあった。
     そんな騒がしい人としての日々が無惨は嫌いではなかった。
    「私たちは“人”に見えるのだな」
     あの時計塔よりも長い年月、それは無惨の口癖のようになっていた。時代の移り変わりと共に姿を変え、その場に自然に馴染むことに拘り続けた無惨にとって、90年、変わらずにそこにある時計塔への特別な思いが何かあるのかもしれない。
     しかし、人の世が無惨の見る「夢」だとすれば、供をする黒死牟は目を逸らせない「現実」だ。
     こうして夜の街に繰り出す理由は散歩だけではない。
    「無惨様……そろそろ……“食材”を調達しなくては……」
    「あぁ……」
     黒死牟の言葉に小さく頷き、少し寂しそうな表情を悟られない為に、フェルトハットを目深に被った。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック⑤
    25日目
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。それを初めて見た黒死牟の反応も知りたいです。
    フレームレスメガネ、黒タートル、黒系ジャケット、シルバーアクセの、顔とスタイルが良くなければ絶対似合わないあれです。

    普段はスーツでしょうし、無惨様は裸眼だと思うのでどういう状況だろう…とは思いますが、絶対お似合いになると信じてい
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。 黒死牟がテレビの画面を見ながら、思わず感嘆の声を漏らした。一体何事かと思い、ソファに寝そべってタブレットを見ていた無惨は、テレビの画面に視線を移した。
     それは某映画賞の授賞式の中継だが、優秀助演男優賞を受賞した面々がレッドカーペットを歩く姿を、じっくりと見入っているのだ。
    「美しいですねぇ……」
     どの俳優を指しているかは一目瞭然である。そう、黒死牟は超がつくほどの面食いなのだ。国宝級イケメンとの呼び声高い無惨を彼氏に持つ黒死牟が見惚れてしまうほど、その俳優は美しかった。
     黒いハイネックのセーターに黒いスーツ、そして首元に輝くシンプルなパールジュエリー。どこを取っても隙のない美しさだというのに、それより何より美しいのが顔面で、その顔面の魅力を倍増させる眼鏡の破壊力。無惨は少々不貞腐れながらも冷静に分析していた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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