成星「失礼します」
樹「あ、成星くん。どうぞ」
成星「…すみません。少し遅くなりました」
樹「ううん、大丈夫だよ。時間は沢山あるし。今日は何から始めようか?」
成星「前回の続きからお願いします。あまり理解できていない気がするので」
樹「ふふ、うん、わかった。分からなかったらいつでも聞いてね?」
成星「はい。ありがとうございます」
京「やっほー!」
成星「あんたもいたのか」
京「うん!」
成星「…あんた、俺たちが魔法の勉強しているのをいつも見ているだけで楽しいのか?」
京「うん!いつきとなるせがにこにこしてるから俺も楽しい!」
成星「俺はあんたに魔法を使うことはもっと楽しいことだって知ってほしいんだ」
京「楽しいこと…?」
成星「そうだ。あんた、魔法を使いたいとは思わないか?」
京「うーん…わかんない。今までずっと…俺が魔法を使ったらみんなが怖がったり、悲しい顔してたから…」
成星「それはおそらく属性の問題だろ。だったら他の属性を使えばいいじゃないか。あんたは魔法の能力も高いんだ。それを活かさないのはもったいない」
樹「あの…成星くん、それは無理…じゃなくて…かなり難しいんじゃないかなぁ」
成星「…やはり他の属性を扱うとなると難しいでしょうか。俺でもできたからこいつの能力なら…と思ったのですが」
樹「ううん。成星くんが全属性を扱えるようになったのはかなりすごいことだよ。一般的に家系や遺伝以外に後天的に使える属性を増やすことができるのは1、2属性が限界と言われているんだ。そんな中、成星くんは元々の光属性に加えて6属性習得したのだから。ただ…」
成星「…?」
樹「その…京くんも全属性は無理でも数種類ならいけると思うんだけど…その〜…なんというか…京くんは勉強…苦手でしょう?たしかに魔法の能力自体はかなり高いけど、まず魔法を使うには根本的なところを理解していないと使えないから…」
成星「ああ、そういえばこいつはバカでしたね」
樹「うぅ…せっかく濁して言ったのに…」
成星「こいつの能力が高いから忘れていました」
樹「う、うん。まぁ…だからその…そういう理由もあって難しいかなって…」
成星「…京。あんたはどうしたい?」
京「俺?俺は…うーん…いらない。いつきがいるもん」
樹「え、僕…?」
京「うん!俺が魔法使わない分、いつきが魔法得意だし、いつきに力がなくても俺があるから大丈夫!でしょ?」
樹「京くん…」
京「えへへ、だって俺たち、それでバディ組んだんだもん」
樹「はぁ…京くん…なんていい子なんだ…」
京「えへへ!頭わしゃわしゃしてくれた!」
樹「本当に京くんは純粋でいい子だよね。…持っている属性にしては珍しいくらいに」
成星「そうですね。闇属性を扱う人間は大体性格ひねくれてますからね。紫音みたいに」
樹「な、成星くん…。紫音くんがいないからって…もしかしたら潜伏魔法で隠れて聞いてるかもしれないよ?」
成星「俺は紫音が目の前にいようが言いますよ。それに、もし本当にそうだったらこいつが反応する気がする」
京「?」
成星「あんた、俺たち以外に誰かの気配を感じるか?」
京「ううん?俺たち以外ここにはいないよ?」
成星「だ、そうですよ樹さん」
樹「京くんは潜伏魔法、使えるよね?」
京「うん…使えるけど…俺は…」
樹「あ、今使ってほしいわけじゃないんだ。ただ、気配を感じ取れるものなのかなと思って。同じ魔法を使えるからと言って感度が上がるわけではないから」
成星「こいつの人の気配を感じるのは野生の勘ってことですよね」
樹「うん、おそらくね。火属性の特殊魔法無効化は京くんは使えないはずだから…」
京「うーん?」
樹「ふふ、京くんにはちょっと難しかったかな」
成星「…あんたは本当に恵まれたやつだってことだ」
京「うんうん!俺、今すごく楽しいもん!」
成星「そういえばあんた、ここに来たときも招待状を持っていなくても来れたんだよな。本当に大したものだ」
樹「それにしても…ふふ、成星くん、京くんのことしっかり信頼しているんだね」
成星「トリオで組むことも少なくないですから。一定の信頼は置いていますよ。頭が悪いこと以外は」
京「えへへ、俺もなるせのこと大好きだよ!なるせ、いい匂いするし!」
成星「それは知らん」
樹「成星くん本当に容赦ないな…」