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    kusare_meganeki

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    kusare_meganeki

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    ロリータコンカフェに摘発に行ったら彼がいた話(ジェパサン)
    ⚠️設定の捏造、誤解釈の可能性
    ⚠️ンポがロリータ服を着てる
    ⚠️軽微な嘔吐
    話が盛り上がって生まれた産物です。頭空っぽにして読んでください。

    ロリータコンカフェに摘発に行ったら彼がいた話(ジェパサン)開拓者達の活躍により、星核が封印されて暫く。寒波の影響が収まりつつあり、死に星だったヤリーロⅥは再び宇宙との繋がりを得た。スターピースカンパニーとの交易が始まり、宇宙の流行が限界過疎文明を発展させていく。未知の文明や文化を前に戸惑いながら、それでも再び暖かな星を取り戻す為に今日もベロブルグは活動を続けていた。
    しかし、急速な成長と進化を遂げるヤリーロⅥ‪──‬もといベロブルグだったが、外との交流が始まるということは少なからず“良くないもの”も流れてくる。目下、シルバーメインが頭を悩ませているのは薬物だった。貨物に紛れ、中毒性の高い違法薬物が幾つか発見されている。それも全て見つけたわけではない。いくつかは街に流れ、人々の手に渡ってしまっているのが現状だ。スターピースカンパニーと連携を取り、強化を強めているものの効果は薄い。仲介人が誰かも分からず、売人の足取りも掴めない。開拓者達にも何度か手伝ってもらい、手掛かりこそは掴んだがその程度だった。
    それとは別に、下層部で一つ不可解なことが起こっている。子供が一部、失踪しているという。ナターシャ曰く、孤児院の子達ではない。親がいて、一緒に住んでいるような子だ。それがある日、忽然と姿を消している。人身売買の線は薄いと彼女は言うが、真実は分からないままだ。
    とにかく、人手が足りない。それでも出来ることをと日々、シルバーメインは奔走していた。裂界も全てが消滅したわけではなく、禁区への遠征は続いている。
    「麻薬の出所が分かった?」
    「はい、長官。何人かのシルバーメインが、証拠を掴みました」
    ペラがそう言って、ジェパードに一枚の紙を渡す。カラフルな印刷が施されたチラシだ。そこには『ロリータ(♂)コンカフェへようこそ』と書かれている。一瞬にして溢れる情報に、脳が理解を拒んだ。
    「……なんだ、これは」
    「コンセプトカフェですね。ロリータ服を着た……男性の、カフェなんでしょうけど」
    ‪──‬どこに需要があるのだと、言いたくなった。いや、あるのだろう。だからこそ、店として成り立っているわけで。
    しかし、これのどこに一体麻薬との関連があるのか。ジェパードがペラに視線を向けると、彼女は分かっていますと言わんばかりに大きく頷いた。
    「どこに関係があるのか……そう、疑問にもたれたことでしょう、長官。大丈夫です、わたくしも同じことを思いました」
    言いながら、ペラは写真をファイルから取り出した。そこに写っているのは、一人の女だ。服装からして、ベロブルグ在住ではないことが分かる。
    「彼女がコンカフェのオーナー、そして今回の犯人となります。スターピースカンパニーも認知している、麻薬カルテルの一人です」
    風景写真を伸ばしたのだろう、解像度の荒い写真をまじまじと見る。茶色のボブの髪型。彼女自身もロリータ服を身につけており、その横に一人の少年を連れていた。
    「店の場所は行政区の外れ、住宅街にはギリギリ位置さない場所です」
    「そうか……。裏は?」
    「取れています」
    「分かった」
    コンカフェやロリータは置いておくとして、この女性が犯人であり麻薬の出所ならば早急に動かなくてはならない。正直、未だ何の繋がりがあってロリータコンカフェと麻薬が結びつくのか納得はいっていないが。
    「ペラ、部隊を編成する。今から言う者を集めてくれ」



    ‪──‬彼女の元に、麻薬が届くのは決まって下一桁が3の倍数の日。つまり今日です。店に下ろす貨物は全て箱に入っていますから、それ以外に何かを持ち出すものがいたなら、それが売人かと。
    ペラの情報は確かだった。スターピースカンパニーから降ろされた荷物の中から、麻袋を持って男がこっそりと倉庫から出ていく。一般人に扮したジェパードは、一定の距離を保って男の背中を追い続けていた。人を撒くためか、複雑な道を選んで男は歩く。しかし、ジェパードも歴戦の男だ。その程度で撒けるほど甘くはない。
    (かなりの遠回りだが、確かに店に近づいている)
    道中、仲介人に手渡すかと思ったがその素振りもない。やがて、カラフルな看板を掲げる建物が見えた。あそこが、件のロリータカフェだ。周囲に待機させている兵士たちは、皆一様にジェパードと同じく一般人に扮している。裏口から店に入る男を見届けて、ジェパードはそこで足を止めた。
    (あの袋の中身が麻薬である証拠を掴みさえすれば……)
    それが一番の難題だった。麻薬を売ってくれなど言えば、逆に怪しまれるだろう。ジェパード自身が、一度店の中に入るのはアリだが‪──‬。
    「……何をしている」
    思考が止まった。男と入れ替わり様に出てきた人物に、ジェパードは見覚えがある。思わず近づいて問い掛ければ、彼は怪訝な顔で答えた。
    「何って、仕事ですけど」
    「……仕事は選んだ方がいいと思うが」
    「ナタに頼まれてんですよ、勘違いしないでください」
    紺色の頭髪、襟足は白く染められている。特徴的なエメラルドグリーンの瞳は、まっすぐにジェパードを見ていた。普段の着ているのか着ていないのか良く分からない服装ではなく、彼はフリフリのロリータ服に身を包んでいた。化粧をしているのだろう、いつになく綺麗な顔をしている。頭を飾り付けるヘッドドレスには、赤いバラが一輪飾られている。
    ナターシャの名前に、ジェパードが目を丸くする。その反応に、サンポはため息を吐いた。
    「下層部の子供が行方不明になっている件、知っていますよね?」
    「その件とこの仕事に何の関係があるんだ」
    「あるから潜入しているんです。そういう貴方は……麻薬の件ですね」
    全てを見通しているようで、サンポはジェパードの目的を断言した。実際その通りで、頷くしかない。
    その反応に少し考えるように視線を彷徨わせ、サンポはジェパードの手を取った。裏口から少し歩いた先の路地に連れ込んで、彼はジェパードの耳元で囁く。
    「協力しましょう、ジェパードさん」
    予想外の提案だった。しかし、そう言ったサンポの顔は真剣だ。
    「麻薬の件、当たりです。あのオーナーが元締めなのは、僕の方で確認が取れています」
    「……子供の件は?」
    「まだ疑惑の余地を出ません。一つ、目ぼしいところはありますが僕一人ではどうにも」
    「何をすればいい」
    「摘発に来たんですよね?それなら、客として入って僕を指名してください」
    そう言ってサンポが下げているショルダーバックから、一つゴムを取り出した。赤色のそれを、ジェパードの右小指に巻き付ける。
    「これが、麻薬を買いに来た印です。中に入り、水だけ注文して待っていてください。後から、オーナーに裏に呼ばれますから」
    「その後は?」
    「兵士を裏口に待機せておいて。鍵は開けておきますから。ま、後は力尽くでしょうね。頑張ってください」
    「……君の方の目的は」
    「貴方達が暴れて注目を引いてくれれば、それで。正直、その目星も当たるかは分からないので」
    「分かった」
    「交渉成立ですね。それじゃあ、僕は先に戻ります。あ、指名お願いしますね。ブルへちゃんとお呼びください♡」
    そう言って、くるりと回ってサンポはジェパードから離れた。フリルのついたスカートがふわりと浮いて、ジェパードの目を奪う。男にロリータはなんともアンバランスだが、しかし、サンポはそれを見事に着こなしていた。
    「……こういうのがお好みですか?戌衛官様も、物好きですね」
    「ち、ちが……!」
    「冗談、ではまた後で」
    呼吸するように揶揄い、サンポはその場から離れていった。
    残されたジェパードは自身の小指に巻きつくゴムを見る。サンポの協力で、シルバーメインの懸念事項は解決の糸口が見えたが‪──‬。
    (子供が関わると、あの男も真面目に働くのか)
    滅多に見ないサンポの真剣な表情を思い出して、ジェパードは息を吐いた。



    「いらっしゃいませ〜!」
    サンポの言われた通り、兵士を裏口付近に待機させジェパードは店に入る。兵士には店員の一人に協力を頼んだと説明していた。
    扉を開ければ、カランと軽やかな鐘の音が鳴る。見た目は華やかな店内、ワントーン高い声に迎えられた。
    「当店のご利用は初めてですか?」
    「あ、ああ」
    覚悟していたものの、やはり異質な空間にジェパードは気圧される。従業員は様々な種類のロリータ服でその身体を彩っていた。来店している客層は、意外と男が多い。スタッフオンリーの扉が二つ、離れた場所に存在している。席の形は不思議なものだった。椅子ではなく、ソファしかない。それも一つだけ、その前に机が置かれている。
    「当店は指名性となっております。どの子か、好みの子はいらっしゃいますか?」
    そう言ってジェパードを出迎えた店員は、コルクボードを指差した。写真の下に名前が書かれている。その真ん中に、サンポの写真を見つけて思わず彼の名前を呼びそうになった。寸でのところでそれを堪え、その下の名前を読む。
    「ブルへ……という子を」
    「かしこまりました」
    店員が頭を下げ、ジェパードを席に案内する刹那、彼の視線が小指に向いたのをジェパードは見逃さなかった。
    案内された席につく。程なくして一枚のボードを持ったサンポ‪──‬ブルへがカウンターの裏から姿を現した。彼はジェパードの姿を見るなり、笑顔で駆け寄ってくる。そして、ジェパードの横に密着する形で座ってきた。
    「な……っ」
    「ふふ、お兄さんこのお店は初めてなんですよねぇ?いっぱい、楽しい思いをしてもらえるよう頑張りますぅ♡」
    腕を絡め、ジェパードの太ももに手を這わせてサンポは妖艶に微笑む。待ってくれ、コンカフェってそういう店なのか?
    「落ち着いてください。そういう設定です、僕のキャラとしての」
    狼狽するジェパードに、サンポがそう囁いた。相変わらず、腕は絡めたままで太ももを手が撫でている。香水をつけたのか、甘い香りが鼻腔を擽った。
    「ご注文は何にしますかぁ?」
    「……水を」
    設定と言われても、すぐには受け入れ難いジェパードはサンポから視線を逸らして、言われた通りの注文を通す。
    「かしこまりました♡すぐ持ってきますね!」
    そう言ったサンポは、ジェパードの首筋に息を吹きかけた。まさかの行動にびくりと肩を揺らした彼をくすくすと笑って、水を取りに席を立つ。
    あれは本当に設定なんだろうか。自分を揶揄うためにわざとやっているのではないだろうな‪──‬疑惑が、ジェパードの中をぐるぐると回る。
    (……しかし。先ほどとは明らかにテンションが違いすぎるな)
    設定だからと言われればそれまで。だが、それを超えた違和感をジェパードは覚えていた。どこか、おかしい。
    「お待たせしましたぁ。当店特製のお水ですよぉ」
    すぐに戻ってきたサンポの声に、ジェパードは思考を切られる。トレーに乗っているそれを机に置いたサンポは、ジェパードの手を引いた。
    「お兄さん……少し、僕といいことしませんか?」
    「水も飲まずに?」
    「えへへ……身体、熱って仕方ないんですぅ。ね?」
    (これ本当にコンカフェなんだな!?そういう設定なんだな!?演技なんだな、サンポ!!)
    ‪──‬それにしたって、本気だと思うほどにサンポの頬は赤い。僅かに上がった呼吸は、人の劣情を煽るようなものだった。
    「さ、こちらに……」
    スカートを揺らし、姫袖の隙間から出るサンポの手がジェパードを誘う。
    スタッフオンリーの看板が掲げられた扉を開けて、二人して中に入った。薄暗いそこは、一見して何もない。その先にもう一つ、扉が見えた。
    「この先にオーナーがいます。僕が裏口の鍵を開けてくるので、貴方はここにいてください」
    甘い香りを漂わせながら、サンポは言う。そして足音一つ立てず、彼はその場から裏口に向かった。彼が戻ってくる間に、周辺を確認する。スチール製のラックが一つ、消防法に則って消火器が一つ、それ以外は何もない。
    店内にスタッフオンリーの看板を掲げている扉は二つあった。もう片方が事務所に繋がるものとして、こちらが麻薬を販売するための部屋というわけだ。
    「お待たせしました」
    戻ってきたサンポが、ジェパードの手を握る。その指先が驚くほど冷たく、目を丸くして彼を見た。そのことに気がついてないのか、サンポは小首を傾げている。ヘッドドレスに飾られたバラが揺れた。
    「どうしました?」
    「……いや、なんでもない。兵士は?」
    「貴方が奥の部屋に入ったタイミングで、僕がこちらに誘導します。あとは、お好きに」
    「ありがとう、助かる」
    「いいえ。それじゃあ頑張ってくださいね、鼠取り」
    小声の会話を終えて、サンポはジェパードの手を引いた。扉の前に立って、4回軽いノックをした後に一度強く叩く。ちらりとジェパードを見て、彼は柔らかく微笑んで扉を開けた。
    「こんにちは、そんなに若くて身なりもいいのに麻薬を求めるなんて、この星も大概だね」
    「……どうも」
    ジェパードが部屋に入り、扉が閉まるなり女性の声が飛んできた。この部屋も薄暗く、目の前にいるのだろう姿は視認し辛い。それでも、気配でそこに誰かがいる確信はあった。
    「何がいい?それとも、何も知らない?おすすめならいくつかあるけど……」
    「僕は、ここに麻薬を買いに来たわけじゃない」
    背後で、微かに足音が聞こえてくる。
    「麻薬カルテルの一人、この星に麻薬を持ち込んだ貴女を捕まえに来た」
    「……はぁ〜。限界過疎惑星の癖に、手が早いな。いい稼ぎ場だと思ったんだけど」
    捕まえにきたという言葉に、女性は全く焦るそぶりを見せない。それが虚勢ではなく、本当に焦っていないことにジェパードは気がついた。
    「いいよ。特に抵抗もしないし、捕まえるのなら好きにしな。ただ、惑星間の住民圏による保護法が適用されるから、この星で私を裁くことはできない。それは知ってるだろ?」
    女性の言葉に、ジェパードは目を細めた。
    「知らないなんて言わせないよ。スターピースカンパニーもそれは知っているし、そう説明も受けたはず」
    「知っている。だが、それでも貴女を捕らえる権利は僕にはある」
    「はいはい。どうせ、部屋の外に兵士でもいるんでしょう?なら、さっさとして」
    この星では裁けない。そして、女性の口ぶりからして逃げ果せる手段が存在するのだろう。彼女をこの星の司法でどうにも出来ないのは歯痒いが、それでも麻薬流出の一端を断てるのであれば、無駄ではないはずだ。ジェパードは自身にそう言い聞かせ、外で待機する兵士を部屋の中に入れる。すぐに女性を包囲し、その手首に手錠をかけた。
    「一つ、聞きたいことがある」
    「何?」
    「この星に……ベロブルグには上層と下層が存在している。その下層に住む子供が、行方不明になっている」
    「それが?……あ、あの紺色のやつとグル?」
    女性の言葉に、ジェパードは目を丸くして彼女の肩を掴んだ‪──‬サンポの存在が、彼女にバレている。それだけではなく、その目的すらも知っている口ぶりに胸中に不安が顔を覗かせた。
    「子供ならね、この店の地下にいるよ。この部屋を出てすぐ右側の方。ま、今頃あの紺色が見つけるんじゃないかな?はは、一服盛ったのに結構動くなぁ、面白い」
    「今、なんと」
    「聞いてる場合?」
    「……詳しいことは、後で全て聞かせてもらうからな」
    兵士にこの場を任せて、ジェパードは走る。女性に言われた通り、部屋を飛び出して右側に。扉を半ば蹴り開ければ、ハッチが目に入った。蓋が持ち上げられており、その前にロリータ服を着た男が伏している。
    「サンポ!」
    両腕で自身の身体を抱いて、サンポは震えていた。ジェパードがその肩を掴み、顔を見る。その焦点は歪み合っておらず、不安に揺れていた。
    「くそ……っ」
    サンポの顎を掴み、無理やりに開けさせた口の中に指をねじ込んだ。人差し指と中指で喉奥を責め立てる。口蓋垂に何度も触れ、吐き気にサンポが嗚咽を漏らした。生理的な涙が頬を伝い、彼の喉奥がごぷりと音を立てる。
    「、え‪──‬……っ」
    身体を一際大きく揺らして、その口から青紫の吐瀉物を吐き出した。何度か嘔吐を繰り返し、荒い呼吸を繰り返すサンポは涙で濡れた瞳をジェパードに向ける。
    「……褒めて」
    「え?」
    「バッド入りそう……」
    急な要求だった。困惑するがしかし、サンポの手が控えめにジェパードの服を掴んでいる。冗談ではなく、本気で求めているのだと理解してジェパードは頭を悩ませた。
    褒めると、言っても。彼の普段の素行は褒められたものではない。
    「……子供のことになると、真面目になるのは好感が持てる。頭も切れるし、状況を見て判断を下す速度は流石だ」
    余計なことを言わないよう、注意を払いながら言葉を紡ぐ。
    「頼まれたことはきちんとこなすし、自分の理念を持って動くところは君らしい。あと……そうだな」
    言おうか迷い、ジェパードはサンポを見た。普段着ていないような、珍しい格好。
    「思っていたより、その服は君に似合っている。綺麗で、可愛い」
    「……それは褒めというより、殺し文句ですね」
    「バッドは抜けたか?」
    「ええ、なんとか。助かりました、すいません。手間をかけましたね」
    盛られたもの‪──‬麻薬の影響は未だサンポを苛んでいる。焦点の合わない目で、彼はハッチの中を覗き見た。つられ、ジェパードの見る。中には子供が数人、手足を縛られた状態で寝かされていた。
    「これは……」
    「シンプルに人身売買でしょう。人数も、行方不明になった数と一致しています。なんとか、間に合ったようで……」
    良かったと呟いて、サンポは大きく息を吐いた。
    「大守護者様に、早く交易の法律の整備をしてもらってください。あと、下層部の警備も。今回のようなことが何度も起これば、ナターシャは心労で倒れますよ」
    「善処する」
    ジェパードの言葉にサンポはため息で返答とした。



    後日談。
    結局あの女性は、生まれの星に引き取られていった。償いか、幾らかの金を貰ったがそれだけだ。ベロブルグの住民に麻薬を流した罪は、裁けない。
    人身売買については未遂のため、特に取り沙汰されなかった。しかし、今回手を打つのが早かったのが功を奏したのか幾らか麻薬の取引は息を顰めている。この内にと、大守護者はスターピースカンパニーとの連携の強化を決めた。法についても、整備を急いでいる。
    「いやまぁ、僕としては完璧に依頼をこなしたんで別に良いんですけど」
    下層部、ナターシャの診療所の裏手口でサンポはジェパードにそう言った。吐き出したとは言え、麻薬を盛られた身だ。経過が心配で様子を見に来たが、ピンピンとしているサンポに杞憂だったかと思う。
    「薬物には耐性がある方なんです。それに、貴方が吐かせてくれたのもあって、その後は特に何も」
    「そうか。それなら良かった」
    「とはいえ、貴方には借りができましたねぇ……」
    「あの程度、借りにもならない。それに、君には助けられた。それであいこだろう」
    「それはそれ、これはこれ。僕は貴方の摘発を利用して、相手の裏を掻こうとしただけですから……ま、見抜かれてましたけど。あの女、すごいやり手ですよ。ちょっと舐めてましたね」
    サンポの言葉に、ジェパードは同意する。追い詰められてもなお飄々とした態度もそうだが、何よりサンポの目論みを看破していた上で泳がせていた度胸に舌を巻く。宇宙には、ああいう手合いがまた多くいるのかと思うと恐ろしく思えた。
    「次、もし相対することがあるなら次は全部読み切った上で裏を掻いて笑わせてやりましょう。……それはさておき、貴方に手を煩わせた借りですが」
    「だから、それはもういいと」
    「あのロリータ服を着てご奉仕、なーんてどうです?」
    思考が止まった。ジェパードのその様子を見て、サンポは悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
    「可愛いって言ってくれましたもんねぇ?割と、気に入ってくれたみたいで♡」
    「……何故持っている」
    「押収されませんでしたので。幸い、僕のゲロもかからなかったし」
    それで?とサンポは話を戻す。少し屈み、上目遣いでジェパードを見ながら彼は返答を急かした。
    「……そういうのは、良くないと思うが」
    「はは!真面目ですねぇ、どこまで行っても!ああでも、嫌とは言わないんですね?なるほどね?」
    ‪サンポは笑い、むっつりと揶揄う。その口を黙らせるため、ジェパードは手を伸ばして頭を引っ掴んだ。
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