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    紫蘭(シラン)

    @shiran_wx48

    短編の格納スペースです。

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    POIPOI 85

    紫蘭(シラン)

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    グルアオです。
    非常に面倒臭いgr氏で、全くかっこよくないのでご注意ください。
    また何か浮かびましたら、続きます。

    面倒臭い彼氏の扱い方-その1 少しの変化でも気づいてあげてください「わぁ、この人の筋肉ってすごいですね」

    アオイとテレビを見ていたら、プロテインのCMで筋肉バキバキの男が映っていた。
    無駄なく引き締まった体はぼくが見てもいいなと思えるもので、少し前なら誰かにそう言われても 確かにすごいねって軽く返事するか 無言でスルーするかのどちらかだったと思う。
    けれどアオイと付き合い始めてからは別。
    普通に腹立つ。
    何他の男に目移りしているんだ。

    ぐっと中央に寄った眉間を隠すために指で撫でつける。
    アオイの前では余裕のあるかっこいい大人の男として振る舞っているんだ。
    だからこんなちょっとしたことでイライラするだなんてサムすぎ…。

    「こんなに綺麗な体だと憧れますねー」

    無邪気に笑う彼女を見て、目の前の誰とも知らない相手に対して対抗意識が燃え上がる。
    …ぼくだって現役時代は同じくらい鍛えてたんだ。
    あんたには、絶対に負けない。



    それからというもの、昔利用していた体格強化メニューや栄養管理関連の本やノートを取り出して、自身の肉体改造に挑んだ。

    挑戦者を待っている間に室内でできる有酸素運動や筋トレに加え、ジム職員にすっかり任せてしまっていた雪かきだとかに励んで積極的に動いていく。
    別にアオイがあのCM男を好きになって盗られるかもとか、そんなことを考えているわけじゃない。

    ただ、好きな子の中で自分が一番であり続けたいだけ。

    彼女に気づかれないよう再度体を鍛え直して数ヶ月経った結果、ようやく納得できる仕上がりになった。
    体重も体脂肪率も、現役時代の数値に近い。
    これなら…



    「今日は泊まっていきなよ」

    食後の皿洗いをしてくれるアオイを後ろから抱きしめながら提案をすると、彼女は嬉しそうに笑いながら いいんですかと振り向いた。
    もちろんと返せば、そこから鼻歌混じりで片付けていく可愛らしい姿を見てぐっと腹の底から色々な感情が這い上がってきたけれど、今は我慢。

    早くゆっくりできる時間を確保するために、洗った食器を拭いて棚に片付けていった。



    風呂にも入ってぼくの部屋に入れば、あとは2人っきりの特別な時間。
    服を脱げば直ぐに気づいてくれるだろうか、だなんて柄にもなくワクワクした気持ちが収まらない。
    キスをしながらアオイの服を脱がして、合間に自分もと続いたけれど、彼女からは特にぼくの体に対するコメントはなく いつも通りに進んでいく。

    …最中はアオイも一生懸命だから、多分気づいてないだけだ。
    部屋も暗いし。
    終わってからさりげなく聞いてみよう。
    とにかく今は目の前の行為に集中するため、深く口付けた。



    全てが終わってお互い荒い息のままベッドの上に寝そべると、疲れた様子の彼女はうとうとし始める。
    ちょっと待ってよ。
    何か言うことあるでしょ。

    「アオイ、急だけど何か気づかない?」
    「んぇ、なん ですか…?」
    「いや、これまでとは変わったところがあるんだけど…」

    目を擦りながら完全に寝る体制に入ったアオイに対して、必死で訴えかける。
    そんなぼくを上から下まで一瞥すると、ぽつりと呟いた。

    「ぐるーしゃさん、かみのけきりました?」
    「切って、ないけど」
    「そうですか…。それならぁ…」

    大きくあくびをした後、もにゃもにゃ言いながらアオイはとろんとした甘いチョコレート色の瞳を閉じて、ぼくに擦り寄るとそのまま眠りについた。

    「え、あ アオイ?…ちょっと!」

    話の途中だと軽く背中を叩いても、うんともすんとも動じず、軽く寝息が聞こえる。
    …アオイは一度寝たら何があっても起きないから、もうダメだ。

    なんだよ、髪切った?って。
    …ぼくならアオイのちょっとした変化でも、見た瞬間わかるのに。
    なんなら、数ミリ単位で髪切ってたり、シャンプーを変えたりしてもすぐにわかるんだけど。

    この数ヶ月間、頑張って体を絞ったにも関わらず、全く気づいてもらえなかった。
    それがショック過ぎて…。

    アオイの体を抱きしめながら、目を見開いたまま 視線の先にある壁紙の皺を見つめ続ける。
    結局その夜、ぼくは全く寝ることもできずに朝を迎えた。

    …こんなの、あんまりだ。


    終わり
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    Replies from the creator

    recommended works

    chikiho_s

    PASTTwitterに上げたバレンタインとホワイトデーの連作。
    プレゼントは死ぬほど貰うけど、自分からあげるなんて無いだろうから悩み悶えていればいい
    ココアの件はフォロワーさんのリクエストで。グランブルマウンテン(砂糖たんまり)でもいいね。可愛いね。

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19706108
    氷の貴公子とチョコレイト今年もこの日がやってきた。一年の中でも憂鬱な日。バレンタインだ。

    ジムの建物内を埋め尽くす勢いでチョコレートやプレゼントが届く。言うまでもなく全部ぼく宛て。わざわざ雪山の山頂にあるジムまで届けにやってくる人もいる。多分明日は本部に届けられた分がやってくる。正直、意味がわからない。
    この日だけ特別に一階のエントランスに設置されるプレゼントボックスは何度回収しても溢れていて、業務に支障が出るレベル。下手にぼくが表に出ようものならパニックが起きて大惨事になるから、貰ったチョコレートを消費しながら上のフロアにある自室に篭もる。ほとぼりが冷めたらプレゼントの山を仕分けして、日持ちしない物から皆で頂いて、残りは皆で手分けして持ち帰る。それでも裁ききれないからポケモン達に食べさせたり、建物の裏にある箱を冷蔵庫代わりにして保管する。これは雪山の小さな特権。
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