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    an____wL

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    #6月18日はジュン茨の日 💙🩷

    ハッピージュン茨デー!!おめでとうございます♪
    初デートに赴く二人のお話です💐
    可愛いやつら〜!

    #ジュン茨
    junThorn

    2023.06.18 今日は付き合ってはじめての、二人揃ってのオフだ。
     ジュンと茨がお付き合いを始めたのはこの春、桜が散りはじめる頃。かれこれ二ヶ月以上前のことだ。
     これまでは、茨よりは時間に融通の効くジュンが副所長室を訪れたり、あれ以来習慣になった早朝のモーニングなんかで二人だけの時間を過ごしていた。
     
     しかし、ジュンも茨も世間で言うならまだまだ学生の方が多い年齢。遊びたい盛りと言っても過言ではない。
     特にジュンは、どこで得たのか……いや、八割が漫画からの知識だと思うが、夏のイベントに特別魅力を感じているようだった。
     茨と恋人同士で迎える夏が来ると、六月に入ってからのジュンは頻りにソワソワとしていた。
     
     その割に、多忙な茨を気遣ってか我儘は言わないと決め込んでいる様子のジュンは、これまで一度もデートに行きたいとは言ってこなかった。
     しかし、仕事の邪魔はしないから同じ空間にいたい、と副所長室のソファに座り、漫画片手に静かにスマホを弄っているジュンが、梅雨やら夏やらのデートスポット、なんて検索しているのを茨はパソコン越しに何度も見ていた。
     
     そんなジュンのいじらしい姿に、茨はどうにかスケジュールを調整し、仕事をこなし、なんとか丸一日のオフに漕ぎ着けた。
     そうして一週間前の朝、いつものお店でモーニングを食べながら、ジュンを茨自ら誘ったのだった。デートでも行きませんか、と。
     
     突然の申し出に茨に向けたジュンの瞳は、それはもうキラキラと輝いていて。
     ありがとう、楽しみ、大好きです、といつにもましてどストレートな言葉を投げかけてくるものだから、こんなことぐらいで浮かれちゃってまぁ、と思いながらも、茨もまた、まぁ自分も楽しみだとついつい返してしまったのだった。 
     



     そしてそんなデート当日が今日。六月十八日というわけだ。
     同室のメンバーを起こさないよう、それぞれ朝からひっそりと星奏館を出て、二人並んで目的地に向かった。
     記念すべき初デートの行き先は、県外の大きな公園。ジュンが選んだそこは、ちょうど六月下旬、一面に広がる紫陽花が見られるということで有名な、デートスポットとしても人気の公園だった。
     まだ暑くなりすぎない夏の始まりに公園で花を見るなんて、ジュンの考えそうなデートプランだ。微笑ましいものである。
     
     しかし、公園に到着してすぐのこと。ゴロゴロと不穏な音が聞こえたかと思えば瞬く間に辺りが暗くなり、えっ、とジュンが間抜けな声を出したその瞬間、ザァと雨が降り始めた。
     まずいと二人顔を見合わせて辺りを見回したが、あいにく屋根のありそうな建物はなく、茨は急いで公園のマップをスマホで開く。
     あじさい園を抜けて奥へと進むと、なにやらカフェがあるようだったが、入り口からだと距離があり、濡れた服じゃどのみち入れない。
     どうしたものか、と悩む間にも雨が身体を濡らしていった、そのとき。
     
    「茨!あそこ!」
     
     突然、冷え始めた手がぐいと勢いよく引かれた。
     
    「走りますよ!」
    「えっ、ちょっと、ジュン……!」
     
     がしりと握られた手のひらは、茨と反対にまだ暖かく、その温度にどきりとしながらも、引かれるままに足を動かす。
     
     走り出したジュンが向かう先は、遊具のあるエリア。滑り台の下だった。
     確かに入り口から見えていたが、なるほどあそこなら屋根ではないものの、問題なく雨は凌げそうだった。
     
     急に走り出したとはいえ、現役アイドルの二人だ。特段息切れをすることもなくそこまで辿り着いたが、まだ手に触れている温もりに、茨の胸はどくどくと脈打ち、息が詰まるような心地になる。
     そんな茨には気付いていないのか、ジュンは手を離さないままだ。
     
    「まさか急に降るとは思いませんでしたねぇ」
    「そう、ですね」
     
     特に気にした素ぶりもなく茨へと顔を向けたジュンに、どうにも居た堪れなくなってしまい、茨はふいと視線を下にやる。
     それに何を思ったのか、ジュンは空いた方の手で、おもむろに水の滴る茨の髪に触れた。
     
    「……茨?大丈夫?寒い……?」
     
     そのまま頬に張り付いた横髪を一房、ジュンの手がするりと撫でる。息がかかってしまいそうなほど近づいた指先に、茨がびくりとしたことにもジュンは気付いていない。
     
    「結構濡れちゃいましたね。やっぱり寒いっすか?」
    「さ、むくはないです、けど……」
     
     むしろ、顔に熱が籠って暑いぐらいだ。
     そうとは口にせず、茨はジュンの指先から逃げるように少し顔を逸らす。
     それでも、握られたままの左手のせいで、顔の熱は引きそうにない。
     
    「うーん、オレも寒くはないんですけど、どうしましょうかねぇこのあと」
     
     そう言いながら、ジュンは濡れて張り付くのが鬱陶しいのか、前髪を掻き上げて雨空を見上げた。途端に見えやすくなったその横顔に、またしてもどきりと茨の胸が鳴る。今顔を見られるわけにはいかないと、茨は今度はしっかりと顔を背けてから答える。
     
    「……少し、雨宿りしてみるしかないでしょう」
    「そうっすね、ゴリラ……違うな、なんでしたっけ、なんとか雨かもだし」
    「ゲリラ豪雨。……あと、どちらかというとこれは俄雨でしょうか」
    「ハハ、それですそれ。とりあえずすぐやむかもってことで、狭いけど、ここでちょっとだけ待ってみましょうか。ね?」
     
     そう言って、ジュンは繋いだままの手を引いて正面を向かせた茨に、覗き込むようにして笑いかける。
     アホ丸出しのジュンに、幾らかペースを取り戻したと思ったのも束の間、今度は上目遣いにやられてしまった。
     
     茨の心の内は、もうしっちゃかめっちゃかだった。自分がこんなにも、ジュンのやることなすこと全てに動揺するなんて。付き合ってからというもの、どこか自分がリードしている気に、というか、浮かれちゃって可愛いやつ、なんて思っていたが、とんでもない。
     こんな、少しジュンに触れただけで、むず痒くて、恥ずかしくて、浮かれてしまって。
     あぁもう、これ以上は耐えられない。
     
     茨は返事をすることも忘れて、ジュンから目を逸らし小さく呟いた。
     
    「あの、ジュン。手を、離して欲しい、です……」
    「えっ?……アッ?!すみませ、オレ!そういうつもりじゃ!」
     
     茨の言葉にジュンはパッと手を離したかと思うと、その手をブンブンと振り弁解を始めた。
     やはりジュンは無意識だったようで、ドギマギしてたのは自分だけかと茨は無性に悔しく、恥ずかしくなる。浮かれすぎだろう、自分と。
     それでも、今は心の平穏を優先すべきだと判断し、まずは落ち着こうと地面を見つめ深呼吸をしようと息を吐いた。
     
     そうして黙りこくる茨に、今度はジュンが慌てる番だった。無理やり手を引いてしまった申し訳なさと、嫌がられたかもしれないという焦り。
     茨とは二ヶ月ほどお付き合いをしているが、言われてみれば何か触れ合うような機会はなかった。
     いつかは、なんてもちろん思わないでもないが、アイドルという職業も相まって、急いて関係を進めるような気はさらさらなかった。
     恋人でいられるだけで、あの多忙な茨が自分との時間を作ってくれるだけで幸せだった。
     
     それでも、ジュン自身意図して仕掛けたことではないが、手を離してと、触れることを拒否されてしまったのかと思うと正直焦る。茨は恋人らしい触れ合いはしたくないのかもしれない。
     
     そう考えれば考えるほど、今まで意識していなかった、いや、敢えて意識しないように、知らず我慢してたのかもしれない、茨に触れたいという思いが溢れてしまう。
     
     狭い滑り台の下、人目に付かないようなその影で、その体温を感じられそうなほどすぐ側に茨がいて。
     きっともう意識しないなんて、出来ない。
     
     
    「茨、その……。手、嫌だった?」
     
     そう尋ねる声が聞こえて、茨はびくりとする。ジュンの自分より少しだけ、わずかに大きい手のひらを思い出してしまう。
     
    「茨……」
     
     黙ったままの茨に、そっと気遣うように近づいてきたジュンが、耳元で茨の名前を呼ぶ。その息遣いを感じるほどの距離に、茨は更にカァと顔が熱くなるのを感じた。
     
     嫌なわけじゃない。ただ恥ずかしいだけだ。
     それこそ、今も顔どころか耳まで熱くて、きっと赤く染まっているんだろうし、手のひらにはジュンの温もりがどうにもまだ残っているような気がして、一向に心臓が落ち着いてくれないほど。
     それなのに、ジュンはこちらを気遣うぐらいに余裕があるなんて。
     そのことが、茨にとってとんでもなく恥ずかしいのだ。浮かれまくり、意識しまくりの自分を、知られたくない。
     そして、そのことを自覚すればするほど尚のこと何も言えなくなってしまって。
     
     茨がどうしてもジュンの問いに答えることができないでいると、少しの間茨を伺うようにしていたジュンが、突然すぅと息を吸った。
      
    「……オレは!」
     
     その大きな声に驚いて顔を上げると、ジュンはギュッと瞼を閉じてヤケになったみたいな表情をしていた。それはもう顔を真っ赤っかにして。
     
    「えっと、その、成り行きですけど、茨と手、繋げたんだって!今めちゃくちゃ嬉しい、です……!」
     
     そして、目を開いたジュンは、茨が顔を上げたのをいいことに、改めてしっかり視線を合わせると、今度は小さく呟いた。
     
    「ねぇ、茨は……?」
     
     ハイエナなんてどこへやら。眉を下げ、子犬のようにこてんと首を傾げて茨に問いかける姿に、茨はいよいよ固まってしまう。
     
     そんな中、何か答えてくれませんか、と焦れたようにじゃりとジュンが茨へ足を寄せる音が聞こえて、思わず足元を見やると、視線の先に、先ほどより距離が縮んだからか、少し泥の跳ねた真新しいスニーカーが映った。
     
     そういえば初めて見るもので、気付いてしまう。
     三日前、HiMERU氏に何か相談していた。靴がどうとかって。
     昨日衣更さんと出かけて帰ってきた時、何か持っていた。
     そうか、多分、ジュンのことだから、初デートだって、きっと。
     
     あぁ、ほんと、可愛いやつ。分かっていたはずなのに、不覚にも自分ばかりと思ってしまった。
     そもそもなんだその顔は。締まりのない顔をして。天下のEdenだというのに、こんな顔。俺以外に見せられないだろ。なんて。
     
     こんなに浮かれてるジュンを相手に、意識してしまって恥ずかしいなんて、きっと思わなくていいのだ。
     俺と同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に、ジュンも浮かれていて、恥ずかしくて、そのくらい俺のこと、想ってくれている。
     
     茨はふふ、と笑うといきなりストンとしゃがみ込み、ジュンのスニーカーの汚れを右の人差し指で軽くなぞって拭う。
     そうして勢いよくジュンを見上げた。
     
    「え、えっ?い、いばら?急に何……ってうぉあ!?」
     
     茨の突然の行動にハテナを浮かべ、ワタワタと彷徨わせていたジュンの右手を、茨は左手でぐいと思いきり引いた。
     体勢を崩し、目の前に降りてきたジュンの顔を視界に捉えると、茨は瞼を緩く閉じて、そのままその唇に、自身のものをふわりと合わせた。
     
     ちゅ、と軽いリップ音は極々小さなものだったが、雨音に混じって、でも確実に二人の耳に届く。
     触れたか触れてないか、それほど一瞬の出来事だったが、その音は確かなものだった。
     
     茨はゆっくりと瞼を開けると、驚いて目を見開いたまま固まる目の前のジュンに、またしても、ふふ、と笑いながら今度こそ茨の方から視線を合わせると、もう真っ赤な顔を隠そうとせず、口を開いた。
     
    「……嫌じゃ、ない」
    「えっ……?」
    「ジュンに触れられて、嬉しいです。俺も」
     
     茨はそう言って、乱暴に掴んだままだったジュンの右手を一度離すと、今度は丁寧に、ゆっくりと指と指を絡めていった。
     
     
     
     2023.06.18
     6月18日はジュン茨の日!
     おめでとうございます♪
     



     
    ⊹ ࣪˖ ┈┈ ˖ ࣪⊹ ┈┈⊹ ࣪˖ ┈┈˖ ࣪⊹

    以下、話に組み込めなかった蛇足の会話文なので、読まなくてもいいやつです!



    「雨、やんで良かったですね」
    「はい。紫陽花もしっかり見れましたし」
    「そういえば、なんでこの公園を選んだんですか。他にも色々あるでしょうに」
    「あ〜えっと、引かないでくれます?」
    「場合によります」
    「うっ、その〜、あじさいってほら、紫とか青とか多いじゃないですか」
    「はぁ」
    「あんまり青色の花ってないし、オレらの色の花だなって。それで、青色の花に囲まれてる茨、見たいなって思ったから……」


    このあと、こっそり紫陽花と茨の写真撮ってたジュンくん、ホーム画面の写真それに変えてるのバレて多分怒られる。
    う〜ん、ハッピージュン茨デー♪
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    王道クリスマスに浮かれるジュンくんと、同じく王道クリスマスに浮かれる茨さんの話。


    ※茨さんはアイドルじゃないときもメンズメイクをすることがあると思っています。顔面が効きそうな商談とか、何かの催し物にお呼ばれしたときとか…。なぜなら目的のためなら手段を選ばない人だから。
    雪に咲く華の、それはそれは朱きこと 綺麗な姿はいつも見ている。
     ファンデーションの上からまた何かの粉を叩いて普段からスベスベしている肌をより一層煌めかせ、目元にはジャケットに合わせたほんのりの青と、大きな瞳を引き締めるさりげないグレー。ばさばさ音を立てそうな睫毛は軽く流れを整えるだけでクルンと天を向き、仕上げにリップクリームをん〜ま…っと塗り込めば光の粒がぷるぷる弾けた。
    「……で? さっきからなんなんですか。鬱陶しい」
    「え〜。や、綺麗だなー…って」
    「は?」
    「なんでキレるんすか……」
    「いえ別に怒ってはいませんけど」
    「えぇ……。それにしちゃあ言葉の圧が強いっすよぉ〜?」
     共演者の女の人が持ち歩いているものよりはだいぶ小さなメイクポーチ、ポーチというよりは小銭入れにも見えるサイズのそれをポイッとハンドバッグに放り込んで、着込んだコートのボタンを留めながら茨は片眉を持ち上げた。
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