ジェ監("愛してはいけない") ここは賢者の島の街外れの丘の上、ぽつんと一軒だけある小さな古書店だ。
今日も店主は注文品を発送する作業に没頭していた。
「あちゃー、郵便局しまっちゃうな」
梱包作業と伝票記入で大幅に時間を食ってしまった。
「走れば間に合うか。よし」
一人呟きつつカウンターのデスクに積んだ小包みの山をリュックサックに入れた。一気に体内のエンジン音が上がる。
「読書中すみません」
出入り口付近の窓際に置いてある小さなテーブル席へ声をかけた。
「先輩、ちょっと外出しますね。三十分で戻ってきます」
一冊の古びた本を読み込んでいたジェイドが面を上げた。
「お出かけですか」
「はい」と、小走りで出入り口へ寄る。「うっかり郵便局行くの忘れてて。少しだけ留守番お願いします。対価は──」
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