『おい一護!早く来い!』
「…ったく、今度はなんだよ」
夕食前に机に向かって課題をやってれば内から聞こえた声に一つため息を吐いて立ち上がる。そのままベッドに向かって身体を横にした途端引っ張られるように精神世界へ落ちていく。
精神世界に降り立てばいつものように白い死覇装を来た俺の斬魄刀が立っていた。問題が起きた時大体いつも居ない黒い方がやはり居ない事で遠い目をしそうになる。
「今度はなんだ」
「アレを見ろ」
「もはや定番の流れだな」
白が指差す方に顔を向ければ真っ黒い塊があった。
真っ黒い塊…よく見れば真っ黒な布に包まれた小さいナニカでモゾモゾ動いてる。明らかにホラーだろ。
「なんだよアレ…。説明しろ説明」
「どの説明が欲しい」
「全部だよ!なに端折ろうとしてんだ!!」
モゾモゾ動く物体から目を離せず、腕を組んで「あー」と悩む白に早くと腕を叩いて急かすが何度か叩いてやっと口を開いた。
「多分斬月サンなんだよアレ」
「待て待て待て!!おっさん!?アレが!?」
モゾモゾ動くやつを指差してソレと白を交互に見て、最終的に黒い塊を凝視する。
「多分だ」
「多分ってなに!?」
「斬月サンって元は滅却師の王のアレだろ?」
「おう。おう?」
「つまりあの小さいのは斬月サンか滅却師の王か。一護はどっちだと思う?事と次第によっては、殺す」
ジャキンッと刀の斬月を取り出して握る白にどっちだろうと考えたが、白の言葉に引っ掛かるものがあった。
「ちょっと待て。あの小さいのって、もしかして…いや、もしかしなくてもおっさんが子供になってんのか?」
「おう」
「おう、じゃねえよ!子供になんつーことしてんだ!」
ダッシュで近寄りぐるぐるに巻かれ括られた黒い布を解くと中から小さい、天鎖をそのまま小さくした年齢的に2、3歳くらいの子供がもそもそと出てきた。
この布よく見りゃ斬月のおっさんがいつも纏ってるマントじゃねえか。いや、それどころじゃねえな。
小さい子供はおっさんが着ている服を纏ってたが、白の言う通りどっちかは判別がつかない。
「大丈夫か!?」
「だいじょうぶだ…そしてしろのはんだんはただしい。おこってやるな」
この言葉が出るって事はおっさんだよな。
ふぅっと安堵の息を吐いたところで俺とおっさんに影が掛かりー
「なぁ、一護。どっちだと思う?」
白い悪魔が俺の後ろに立った。
振り返れば刀を肩に担ぎ冷たく見下ろしてる白。
「これは!おっさんだろ!」
「一護がそう思うならそうか。斬月サン悪いな」
「よい。おまえがちいさくなるのとわたしがちいさくなるのとではちがうからな」
俺が言えばすぐに刀を消ししゃがんで斬月のおっさんに謝る白に呆気に取られる。
お前さっきまでの冷たさはなんだったんだよ。
白は斬月のおっさんを抱き上げ、自分の片腕の上に座らせる。
いつもと逆で違和感がすげぇ。いや、いつも問題起きてるみてえな言い方は…起きてんな。
「で、なんでおっさんは小さくなったんだよ」
コレだけは聞いておかないと、と聞けば二人はキョトンとした顔をして顔を見合わせた後俺の方を向き首を傾げて口を開く。
「支配権を俺が一気に取ったらどうなるか実験してた」
「お前が原因か!!知ってた!!!」