スノーフレイクス 今回の出張には、グリップ力の高いソールの靴を選んでおいて正解だった。歩幅はいつもより小さく慎重に、足裏全体を地面に付け、重心は少し前気味に、手の振りも控えめに。
いわゆる『ペンギン歩き』という歩き方だ。初等部五年生のとき、家族で訪れたウィンタースポーツのリゾートで、南半球に生息する飛べない鳥の名がついた歩き方があると兄に教えてもらったのだ。
常日頃から自信に満ちた歩き方をする兄が、小またでちょこちょこと歩いている。そのギャップがかわいらしくて、つい笑みを漏らしてしまったことを今でも覚えている。
そして、そのペンギン歩きがもっとも雪道に適しているのだと、ラウダは尻もちの痛みでもってすぐさま理解することになったのだが。
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