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    eyeaifukamaki

    @aieyeaifukamaki

    今は沢深、仙牧メインに書いてます。たまーに別のも。

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    eyeaifukamaki

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    愛をみつける
    ②と③の間のケイside
    タイトルたまに見つけるになってる
    “みつける”が正解です
    ケイ君も深津さん大好きだけど、さぁきたや、ノアにはまだまだ魅力が及ばない、という感じで書いてます。
    これも誤字脱字確認用

    #沢深
    depthsOfAMountainStream

    大好きな人がアメリカに来る。その通訳に俺が任命された。爺ちゃんから頼まれて、断る理由はなかった。ずっと憧れてた人。俺の高校時代にバスケで有名な山王工高のキャプテンだった一つ上の深津一成さん。バスケ好きの爺ちゃんのお陰で、俺も漏れなくバスケが好きだ。うちの爺ちゃんは、NBAの凄いプレーを見るよりは日本の高校生が切磋琢磨して頑張る姿が好きらしい。俺は爺ちゃんの娘である俺の母親とアメリカ人の父親の間にできた子だから、基本的にはアメリカに住んでるけど、爺ちゃんの影響と俺自身バスケをやってる事もあって、日本の高校生のプレーを見るのは好きだった。その中でも唯一、プレーは勿論、見た目もドストライクな人がいた。それが深津さんだ。俺はゲイかというとそうではない。好きな子はずっと女の子だった。深津さんは好きという言葉で表現していいのか分からない。最初から手の届かない人で、雲の上の存在。アイドルとかスーパースターを好きになるのと同じ。ファンや推しみたいな、そういう漠然とした感じの好きだった。会えるなんて思ってなかったし、せいぜい試合を見に行って出待ちして、姿が見れたら超ラッキー。話しかけて手を振ってくれたら大喜び。サインをもらえたら昇天するくらいの存在だ。深津さんを初めて見た時は、プレーじゃなく深津さん自身に惹かれた、目を奪われた、釘付けになった。どの言葉もしっくりくるし、当て嵌まる。それからはもう、虜だ。爺ちゃんもどうやらタイプは同じらしい。高校を卒業しても追いかけて、深津さんが大学に入ってすぐに、卒業したらうちの実業団にと既に声をかけていた。気に入ったら行動が早い。条件もあるが良い選手は早い者勝ちだ。アプローチするのは当然。その甲斐あってか、深津さんは爺ちゃんの会社を選んでくれた。深津さんのプレーを間近で見れるようになった俺は、もっと深津さんに心酔していった。一つ上なのになぜかすごく色気があって、でもどこかほっとけない雰囲気も醸し出していて、それがまた堪らない。深津さんのアメリカ行きの話が出て通訳を任された時は、そんなに長くない人生だけど、生きてきて一番喜んだ瞬間だった。こんな事があるなんて。爺ちゃんがお偉いさんでよかった。爺ちゃんの孫でよかった。俺は深津さんとは面識がない。ただ俺が一方的に心酔してるだけ。だから、深津さんの語尾がピョンというのも爺ちゃんから聞いた。深津さんは高校の時は誰にでもピョンを使ってたみたいだけど、今は限られた人の前だけ。話してるのを想像しただけで可愛い。爺ちゃんもそれを気に入ってて、爺ちゃんに対しては敬語禁止で語尾にちゃんとピョンをつけるように強制した。おかげでアメリカに来ても沢北と話す時はずっとこの話し方だ。非常に可愛い。残念ながら俺と初めて話した時は敬語だった。そりゃそうだろうと思ったけど、物凄く他人っぽくて、沢北との差をはっきりと認識させられて、かなり凹んだ。でも、俺の年齢が一つ下だと分かると、少し喋りやすくなったのか、軽い敬語で話してくれるようになった。だから、親しくなれば誰にでもピョンになると、最初の頃は思っていた。でもそれは間違いだった。ある程度時が経っても、俺や他のスタッフやプレーヤーには同じ喋り方で、沢北にだけピョンがついていた。喋りだけじゃない。見てると、深津さんの沢北に対する態度は他とは全然違っていた。どうやら二人は恋人同士らしい。俺はこの二人のイチャイチャを見ながら働かなくてはならなかった。爺ちゃんに文句を言うと「深津君が好きな子と一緒にいるんだからイチャイチャしててもいいじゃないか。それより普段見せない可愛い深津君の話を聞かせろ」と返ってきた。なるほど、そういう考え方か。俺も決して深津さんの幸せを奪おうとは思わない。何より俺も深津さんと話せるという、かなり大きいメリットがある。確かに沢北の前でだけ見せる深津さんの可愛い態度は沢北がいないと見る事ができない。だから、イチャイチャも我慢だ。爺ちゃんからはこっちの深津さんを逐一報告する命令が出された。イコール、深津さんを頭のてっぺんから足の先まで観察していいという事だ。別にエロい目で見ているわけではない。これは命令だ。深津さんが沢北の恋人であろうとも、日々深津さんの全部が見れて、俺は幸せだった。なのに、その深津さんが一年を過ぎてからどんどん弱っていった。ずっと遠距離をしてて、やっと恋人と近くにいれるようになったのに、何故か深津さんは弱っていった。ただ、周りはそれに気づいていない。俺の仕事は通訳だから、他の奴らのことを考えなくていい。日々深津さんだけを見つめていられる。だから俺は深津さんの小さな変化に気づけたんだろう。深津さんは一番に沢北のことを気にしている。沢北には絶対に気づかれないように、深津さんの意識は沢北に向けられている。それがなんとも歯がゆかった。沢北は深津さんが悩んでいることなんて露ほども知らず、のうのうと過ごしている。沢北は見た目もバスケの才能も元から人よりは持っていて、そこらの人間とは根本的に考え方が違う。それは素晴らしい事で、俺たち凡人には到底できない努力だったり精神力だったりする。でも、だからこそ気づかないんだろう。人がどう悩み、どう弱っていくかを。人は脆い。特に、一度大勢の他者から心ない言葉を浴びせられた人間は、なかなかその恐怖から脱出することはできない。深津さんはそれを経験している。俺は深津さんが湘北の試合の後、世間からどんな罵声を浴びせられたかを、爺ちゃんから散々聞かされて知っている。多分、近い人間にすらいろいろ言われてきたと思う。それは、さっさとこっちに来た沢北には一生理解できないのかもしれない。だから、深津さんがこんなにも苦しんでるのに気づけない。深津さんを見てるのが辛い。これなら日本に帰した方がいいんじゃないか。報告義務があるから、爺ちゃんには何度もそう話した。でも、社会ってのはそう上手くは動かない。契約に縛られて、どうすることもできない。深津さんが話さないから、俺から他の人に話すこともできない。弱っていく深津さんを見ながらずっとモヤモヤした想いで日々過ごしていた。そんな時に現れたのがGMだった。上に立つ人間はさすがに人を見る目がある。かなり久々に顔を出したと思ったら、深津さんを見てすぐに顔がこわばった。その後すぐに俺を見た。爺ちゃんの事も頭に入ったらしい。もしかしたら、日本に戻されるかもと思ったのかもしれない。それは今の深津さんの仕事ぶりを見てると多分都合が悪い。深津さんの存在はそれくらい今のチームに影響している。一瞬で全てを把握して、でもその場は普通にやり過ごし、どうやら後で、深津さんの事でミーティングをやったみたいだ。その話は俺にまで回ってきた。深津さんが弱ってることを隠す気はないようだ。多分俺も共犯にしたいらしい。でもそれでいい。俺が深津さんの為に役に立つなら。それからは、深津さんのスケジュールが管理されるようになった。まずは食事と睡眠の改善だった。深津さんが弱った原因。それは多分、沢北だろう。俺がそう思うんだから、GMはもっといろいろと確信があるはずだ。案の定、それからは不自然にならない程度に深津さんが沢北と距離を置けるようなスケジュールが組まれた。でも結局、根本的な解決には至っていない。だから、先にGMが動いた。爺ちゃんから連絡が入って、それが分かった。どうやら、深津さんを沢北から離すらしい。そうなると俺は深津さんといれなくなる。でもそれでいい。それがいい。今の深津さんは辛そうで見ていられない。でも俺は深津さんよりも年下で深津さんの為に何かできるとは思わないし、できる力もない。それができるのは、地位も名誉もお金も持ってる経験豊富な人間だ。爺ちゃんやGMがそれに値する。この人達がきっとどうにかしてくれる。いや、してくれないと困る。なんでもいい、どんな手段を使ってもいい。元の深津さんに戻るなら。
    だから、だから、早く、深津さんを救ってくれ。
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    eyeaifukamaki

    DONEバレンタインなので、甘々な仙牧です。「いくつもの波を超えて 前編」からの4年後の二人が番になった後のカフェで気持ちを伝え合うお話。後編の内容を含む内容がありますが、そもそもまだ後編を書いてないので、牧さんと仙道との間に色々あって、それを乗り越えて番ったんだなと思いながら読んで下さい。仙道視点です。そのうち、店員視点と、モブ客視点も追加したい。重要では無いですが、時代的に携帯が出始めの頃の話
    甘い告白「牧さんこっち」

    手を引いて、目の前のドアを開ける。開けた途端、コーヒーの香ばしい香りがして、心がワクワクした。「いらっしゃいませ」という声と少し驚いた店員さんの顔。「まだいけますか?」と聞けば「大丈夫ですよ」と返ってきた。こういう所にでかい男が二人で来ることが珍しいんだろう。少し迷ってあまり一目に晒されない奥の席に案内された。こじんまりとしたテーブルは、牧さんと顔を合わせてヒソヒソ話をするには、丁度いい空間だった。ここは駅から牧さんの家に行く途中にある、俺が前から気になってたカフェテリア。本当は今日ここに来る予定は全然なかった。牧さんは大学四回生になり、就活を始めた。プロの道に行くかと思ったが、発情期の事を気にして、プロに行くのをやめた。俺はそんな事を気にせずにやればいいと思ったけど、真面目な牧さんはチームに迷惑がかかる事を良しとしなかった。でもそのお陰で、バスケに左右される事なく、こうやって約束してなくても会える時間が増えた。今日は俺の予定が流れて時間が空きダメもとで誘ってみたら、牧さんの予定も丁度終わったところで誘いに乗ってくれて、閉店ギリギリの時間にここに来る事ができた。俺がここに来たかったのは、牧さんの家に行く道すがら、ここの看板のメニューを見ていたから。だから、俺はメニューを見なくても頼む物は決まってる。だけど席に座ると自然とメニューに手がいってしまう。テーブルの横に立てかけてあったノート型のメニューを取り、中を見ると、手書き風な文字で書かれていて、如何にもカフェといった感じだ。やっぱり、男二人が入るには些か不自然な場所だった。
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    eyeaifukamaki

    PROGRESS沢深 監禁②
    沢北が深津さんに対して恋と自覚する話。
    深津狂の女の子がでてます。
    沢北を死ぬほど嫌ってますが協力者です。
    メインキャラでこれからも出てきます。
    誤字脱字確認用
    SIDE 沢北栄治

    中学になると自然と耳に入ってくる名前が何人かいる。中学で活躍してる選手は沢山知ってるし、合宿に参加して仲良くなった奴もいる。その中でも一際目立つ存在は何人かいた。その一人が深津さんだ。プレーもそうだが、それとは別の不思議な雰囲気を持ってる人。なんだか分からないけど、みんな気になる存在として深津さんを見ていた。高校に入ってその答えがわかった。深津さんが人を惹きつけていたのは色気だった。中学の時は色気と表現できるほど、あの雰囲気を理解していなかったが、露わになったうなじや服の間から覗く肌、流れて光る汗が何故か全部いやらしく見えて、近づけばほのかに甘い匂いがする。極め付けはあのぽってりとした唇と少し下がった瞳。無表情なのにどこか柔らかくて、細身ではなくむっちりとした体は見てるだけで堪らなかった。それでもモテるという存在じゃなかったのは、この人の性格だろう。明るくて元気な性格ならもっと目立っていただろうし、注目もされていた。そうじゃないのは深津さんがバスケ以外に興味のない性格で、積極的に話す方でもない。揶揄ったり面白いことを言ったりするけど、賑やかな人じゃない。語尾がおかしいから、そっちが気になって深津さんの魅力に気づかない人もいる。だから、深津さんに夢中になる人間は、どちらかというと、近づかず遠くでずっと見守ってる奴らが多い。言ってしまえばストーカーみたいなもんで、粘着性を持ってるからタチが悪い。老若男女、虜にするから、深津さんを狙う奴はかなり多い。男性はどちらかというとストーカータイプばかりだが、自分に自信のある女性はタイミングがあれば近づいていこうとする。だから、俺はそんな子達の気を俺に向かせた。もう既に深津さんを神聖な目で見ていた俺は、汚れた奴らが深津さんに近づいていくことが嫌だった。あの人は穢れた庶民が触っていい人じゃない。バスケだけに集中させていれば、あの人は輝く。恋愛なんて余計なもので穢さないでもらいたい。あの人に触っていいのは、あの人以上にバスケが上手くて、あの人が信頼できる人物だけ。だから俺が阻止する。絶対に深津さんが誰のものにもならないように。でも、その中に一人落ちない奴がいた。深津さんと同学年の文月麗華(フヅキレイカ)だ。文月は名家と言われる程の名の知れた一族で、政界や経済界にも沢山その名が通っている。麗華の家は父親が血文月総合
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    eyeaifukamaki

    DONE何番煎じかの記憶喪失ネタ。同棲中に沢北が事故にあって深津さんの記憶を無くして、深津さん出ていきます。沢北を狙うモブ女がでてきて、でも沢北は相手をしなくて、なんじゃかんじゃがあってのハッピーエンド。沢北も深津さんもお互い大好きなので、お互いを思って行動します。沢北は最後まで記憶なしです。そしてもう一度恋をするのです。フォルダはR-18に繋がるので、そのうちR-18を載せます。
    もう一度、恋をするside 深津

    まだ少しだけ陽の光が周りを照らしていた場所は、既に照明の光へと姿を変えている。予定の時刻は遥か昔に過ぎ去っていて、スマホの画面とにらみ合うのは既に別の目的へと変わっていた。電話をかけても留守電にすらならない。思い当たる場所にかけてみたが、いい返事は返ってこなかった。コツコツと動く針が、外と同じ光の色を示している。

    『分かってます?時計をプレゼントするって事は、時間を束縛するって事っすよ!俺はそういう意味で渡すんです。だから、受け取るなら…そんな想い全部、ちゃんと貰ってくれないと困るんです』

    受け取って欲しい、でも軽くみられたくない。そんな想いが綯い交ぜになって、怒りたいのか、泣きたいのか、照れてるのか、その全部を混ぜたような、なんとも言えない表情で、おずおずと差し出された手の平の箱。その中に入っていた時計は、あれからもう三年の月日を刻んで、今の俺の腕に収まっている。その針が約束の時間より更に一回りして、先の見えない時間を刻んでいく。
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    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ⑤の後のケイside
    みんなから愛される深津さんが好き
    誤字脱字確認用
    深津さんが倒れた。
    深津さんがノアと契約して離れるものだと思っていたけど、結局俺も、通訳として一緒に行動することを許された。多分、爺ちゃんとの契約だろう。ノアは思ってる以上に忙しくいろんなところに飛び回っていて、そのアシスタントである深津さんも同じように行動する。日本に行くことになって、深津さんも俺もそれぞれ休暇がもらえて、深津さんは実家に帰り、俺は爺ちゃんのところに行った。休暇の間は深津さんの行動は分からなかった。倒れたと連絡があった時はどうやら深津さんは東京にいて、爺ちゃんの会社にいたノアが一番早く病院に駆けつけて対応した。俺が病院に着いて個室に行くと、ベッドの横にテーブルがあってノアがパソコンを広げて仕事をしていた。深津さんは眠っていて、睡眠導入剤を入れられて明日まで起きないと言われた。ノアを背にしてベッドの横に座って深津さんの顔を見れば、涙を流した跡があった。疲れからくる発作で心配ないと言われたけど、そんな事はないと確信した。多分俺がくる前にノアと話をしたんだろう。何かがあったんだとモヤモヤして、このままだと帰るに帰れなくて、ノアに何があったのか聞いた。案の定、話してくれるはずもなく、それでもしつこく問いただすと、カズのプライバシーの事だからと一喝された。分かってる、分かってるけど、倒れるほどになるまで深津さんがおかしくなってしまった理由を知りたかった。いや、理由なんて沢北のことだって分かってる。ただ何があったのかを知りたかった。
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    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間の沢北side
    ネトフリ公式ので、萌え散らかしたww
    これ聞いて、ちゃんと深津さんに愛されてるよって思ってるけど、このさぁきたくんは相当自信をなくしておりますww
    ちなみに深津さんは沢北ファンの前では一緒にいないようにしてるので、深津さんと沢北ファンとの接点がなくて、みんな沢深推しなのに誤解されたまま。
    誤字脱字確認用
    『カズがノアとアシスタント契約を結んだらしい』

    それはチーム内でもすぐに噂になった。でも、誰もあまり驚かない。それは深津さんがそういう人材に適してる事を意味していた。まだ早いんじゃないかという意見も聞こえたが、概ね、みんな納得してこの事実を受け入れた。ただ、深津さんはみんなから好かれてる。

    「カズがいないと寂しい」
    「エージ、カズはいつ帰ってくるんだ」

    みんな口々に俺にそう言ってきて、深津さんの情報を聞き出そうとする。でも、そんなのは俺が知りたい。誰よりも深津さんは俺を避けている。これから深津さんの話を聞くことができるのは、俺以外の誰かから。

    なんで?
    どうして?
    俺が嫌だった?
    好きじゃなかった?

    でもよくよく考えたら、深津さんから好きって言われた事がない。高校の時に、俺から告白して、無理矢理体を繋げて、それで今までずっと上手くやってきたから忘れていた。行動で示してたつもりだったけど、馬鹿だな、俺は。深津さんの気持ちをちゃんと聞いたことがない。自分が頑張れば、深津さんは自分のものにできると、ずっと思って行動してきた。それはそれで間違ってはいないけど、それに言葉が伴ってない。深津さんの気持ちも聞いてないし、俺だって、最初の一度きりでそれ以来、ちゃんと気持ちを伝えてない。全部、何もかも、俺の勢いと想いだけで成り立っていた関係だった。だから、今になって、なんで?どうして?と、根本的な疑問しか考えられない。普通なら“好き”が大前提にあって、それとは別にここが嫌だとか、こうしてほしいとか、そういう具体的な問題が出てくるもんだ。でも最初から言葉が足りてないから、何が嫌なのかも分からない。頑張ることだけをやり続けていた俺には、追いかける術を持っていない。正直、これからどう対処すればいいのか、どう動けば正解なのか、全く分からない。動いたら動いたで、何もかも裏目に出そうで、それが原因で本当に深津さんを失いそうで、その恐怖が付き纏って何もできなくなってしまっている。深津さんがいなくなって、十日経ったあたりから、俺のファンも異変に気づき始めた。情報収集は俺より優れているから、もう、どういう状況かも把握している。心配そうに聞いてくるのを、困った顔で返す事しかできなかった。
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