鶴月SS「私の味方はお前だけになってしまったな」
その言葉を聞いた月島は静かに目を見開いた。
「私だけ? ハ、いえ、すみません。……勿体無いお言葉です、そんなこと言って頂かなくても私は……」
銃をキュッと握って月島は少し目を伏せる。しかし、すぐに顔を上げてキビキビとした声を出した。
「お気を確かに、鶴見中尉殿。たった一目でも外をご覧ください。貴方を信じて命をなげうつ者達がこれだけ……当然私もその一人です」
なんだか、月島はそう自身に言い聞かせているようだった。自分は特別なのだと考えを避けようとするような……。
「私はただお前といたいだけだ。空を翔んで太陽に焼かれる時も、安寧を求めて地獄に突き当たる時も、お前といたいから」
その望まれぬ言葉を鶴見は飲み込んだ。私には高尚な志があるから、大義、救済、仲間、そう、仲間のため、それは嘘ではない……。けれども、理屈ではまかり通らない愛を、無償の抱擁と温もりを、私にだけ向けられる慈しみの眼差しを求めるのは許されないことだろうか?
どうして、互いに想う気持ちを等しく持っているのに、伝えることが叶わないのだろう。どこで、二人の在り方は間違った? 私が……いや、そう考えることがきっと、最も『彼に』許されない。