そんなわけで御披露目されたぬい暁人とぬいKKは当然アジトメンバーのおもちゃになった。元々おもちゃのカテゴリーではあるが。
「すごーーーいかわいーーーい!!!!!」
「これは中に呪物が入っているのか?解体……が無理ならサーモグラフィにかけてみようか」
『ただの反射的反応じゃない。まるでボクらが見えて聞こえているようだ』
「サイズ計ってもいい!?服買いたい作りたい!!!」
「何者かが操っているか擬態している可能性もあるな。KK、ここ数日の言動はどう?」
『KKは暁人を守ろうとしているのか?指示系統があるのかな?』
「うるせえ!いっぺんに喋るな!」
好き勝手言う三人にKKが短気を起こすと逃げ回っていた二匹はKKに飛び付いた。
「懐いてるんだー!」
「オマエらが喧しいからだ。普段はその辺で何にもしないで寛いでるよ」
「僕らもエーテル能力に反応してこうなってると考えてはいるけど、確証はないし、乱暴に扱うのはかわいそうで……」
ようやく暁人が口を挟むと乱暴反対!乱暴禁止!と絵梨佳が叫ぶ。暁人と絵梨佳に言われてはマッドサイエンティストも下がる他なかった。
「ぬいあき」
『け!』
「ぬいけけ」
『…と』
「ちゃんと返事してくれる!賢い!」
喜ぶ絵梨佳の隣で凛子が送ってくる視線が刺さる。KKにもその意味は理解できている。しかし自ら「暁人の『と』だ」と説明することもできず、したところで何の弁明にもなっていない。
『二体がエーテルで動いているのは間違いない。恐らくKKと暁人から多くエーテルを吸収しているのだろう』
「え、それって大丈夫なの!?」
『ごく少量だから影響はないだろう。その代わりこの人形はほぼ無力だ』
ぬいけけの方は天狗に案内させて来たがワイヤーを出すのではなく咥えられるか掴まれて来たようだ。
「エーテルショットは?」
ぬいあきが短い腕を前に出すとわずかに光が集まるがすぐに拡散してしまう。
「札…ちょっと光るだけね」
次に札の上に乗ったが結果はエーテルと大差なく、しかしぬいあきは札の上でぴょんぴょん跳ねた。
『け、け!』
「ソイツらに何をさせようってんだ」
戦闘能力を確かめる凛子にツッコミを入れるとキッチンから「そろそろできるよー」と暁人の声が聞こえてきた。皿を持ったデイルも手伝えと言ってくる。
「ぬいたちってご飯は?」
「食えるわけねえだろ」
ぬいたちも察したのか並んでクッションに横たわった。座れないので必然的にそうなる。
『…と』
『け!』
「ラブラブだねえ」
「一音で何がわかるんだよ」
苦言を呈するもののKKにはぬいけけの言いたいことがはっきりとわかる。ぬいあきは率先して絵梨佳や凛子に付き合い、ぬいけけを庇っていた。理由は言わずもがな。その気恥ずかしい感情を隠して炊きたてのご飯をよそった茶碗を受け取った。
「いつもありがとな」