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    前(https://poipiku.com/8254300/10980511.html)の続きのけけ視点です

    ##K暁

    般若への嫌がらせのために魂を集めたせいか、趣味が高じて妖怪を追いかけたせいか、それともアイツに言われるままに幽霊の頼み事を聞いてやったせいか。正解はわからず終いだがオレは生き返った。
    絵梨佳や凛子が消えるまでは肉体を奪い返して生き返る算段だったのでそれ自体は僥倖だ。何故か絵梨佳と凛子も無事だったのも。
    ただ、これで暁人にとってオレは不要になってしまったのだと自覚すると死にたくなった。
    あの夜オレは暁人を『相棒』と呼んだし実際にそうだったと認識している。暁人の体と人間性、オレの能力と知識。それらのお陰でオレたちは東京を、ひいては世界を救うことができた。
    だがあの夜を過ぎてしまえば、オレの能力や知識は暁人の人生にほぼ役に立たない。多少適合者としての能力は残ったがそもそも般若のせいでマレビトや妖怪が増えていただけで普段は能力を使用しない、探偵のような仕事がほとんどだ。Z世代には氷河期世代の考えなど骨董品のようなもので、ネットで調べた方がマトモな知識が手に入る。ついでにオレは妻子に逃げられるような褒められた性格も持ち合わせていない。
    だから暁人は夏期休暇も終わって大学が始まれば徐々にオレから離れていくだろうと考えていた。そうしたらオレは何のために生きればいいのか。縋るモノが何もない、誰もいない夜の渋谷に放り出されたような気持ちだった。
    ところが暁人はオレから離れていかなかった。エーテルの修行を頼み、可能な範囲で依頼を手伝い、アジトの掃除をし、散らばった主にオレの服を洗濯して片付け、キッチンを新品同然にして飯を作り始めた。
    就職もほぼ内定して卒論の目処もついて家では麻里が復学の勉強で大変そうだからと暁人は言うが、それなら部屋に籠るか遊びに出て行けばいいだけだ。それが遂にはオレの家にまで来るようになった。
    絵梨佳がはしゃいだ様子を隠せずに
    「暁人さんってKKのこと好きなのかな!?」
    と聞いてくるがオレが知りたいしエドは
    『これを期に健康な生活を取り戻すべきだ。その方が正しいデータが採取できる』
    などと抜かすのでデイルがリクエストしたコロッケを腹一杯食べてやった。
    「KKの好きな食べ物って何?」「甘くなければ洋食もいけるよね?」「塩分控えられるように生姜を入れたんだけどどう?」
    なんてあの甘いマスクで問われてその気にならないヤツなんていない。断じてオレは同性愛者ではない、が暁人は『特別』だった。なにせあの夜に誰にも見せてこなかった、見せたくなかった弱い部分を見られて、受け入れられている。そんな相手が残り半分の人生で現れる確率は低い。
    オレには暁人しかいない。そしてもしも暁人も同じように思っているなら。
    上手いこと呼び込んだオレの家の合鍵を
    「お互いの都合を合わせるのが面倒だから」
    と理由をつけて渡すと暁人はわかりやすく喜んで、ますます来るようになった。
    「オマエは特別だ」
    と言うと嬉しそうに目を細め口角を上げる。
    これはそういうことだろう。違ったって、今更逃がす気はない。オレの懐に入ってきたのは暁人の方だ。
    遂にオレが紫煙を被せてキスすると暁人は目玉が飛び出そうなくらい驚いた。
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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    もちこの本棚📖

    DONE過去に幽霊けけシリーズの短編で書いたものを加筆修正しました。お題は「傘」をお借りしています。

    幽霊けけシリーズってなぁに?という方は本編後の暁人くんの元に幽霊として帰ってきたKKが再び一心同体状態で生活を共にしている、という設定が前提にあるおはなし、と解釈していただければ…!
    (過去作を読んでいただけると尚のこと嬉しいです………!)
    幽霊の相棒と、傘と ――スマートフォンのアラーム音が鳴る。
     うーん、と軽く唸りながら暁人がスマホに手を伸ばし、画面も見ずにアラーム解除をタップした。まだ眠り足りない暁人が再び眠りにつこうとすると、突然金縛りにあったように体が動かなくなり、目がバチッと開かれ閉じることが出来なくなる。ずしり、と体の上に何かの重さを感じ、恐る恐るソレの正体を確認…することはなく
    「けぇけぇ……金縛りで起こすのやめてくれる…?」
     寝起きの少し掠れた声で暁人が困った顔をした。
    『こうでもしないと起きないだろ、オマエ』
     金縛りを起こしたのは幽霊の相棒である、KKの仕業だった。霊体姿で暁人の上に胡座をかいて座っている。
    「大丈夫だよ……二度寝したって間に合うようにアラームセットしてるんだから……」
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